ハンドボール男子日本代表(彗星JAPAN)は2024年1月11日からバーレーンで開かれるアジア選手権に出場する。新たに富永聖也、田代翔真、榎本悠雅、松岡寛尚ら若いメンバーを登用したダグル・シグルドソン監督は「アジアトップ4に入って、世界選手権行きを決めたい」と控えめだが、パリ五輪アジア予選に続いての金メダル獲得を期待したい。
アジア選手権:世界選手権へ上位4か国
2年に一度開かれる世界選手権は、世界ではオリンピックと並ぶ位置づけの大会です。参加国数が多いため、オリンピックよりもレベルが高いとも言われています。この世界選手権に出続けることが、代表の強化に欠かせません。2022年の男子日本代表(彗星ジャパン)は、大会直前に10名の新型コロナウイルス陽性者が出たため、世界選手権の予選にあたるアジア選手権を辞退しています。今回は是が非でもアジア選手権を突破して、世界選手権の出場権をつかみたいところ。参加16カ国中上位4カ国が、2025年に開かれる世界選手権に出場できます。
展望:予選C組、サウジ戦がヤマ
予選リーグはサウジアラビア、イラク、インドのいるC組になりました。初戦(1月11日、日本時間23時~)のサウジアラビア戦が最初のヤマ。ここを勝ち抜けば、C組1位通過はほぼ確実でしょう。4チーム総当たりのメインラウンドでは、仮にC組1位になった場合、グループ1ではA組1位、B組2位、D組2位との対戦が待っています。順当にいけばカタールがA組1位で来るでしょうから、他の2つに確実に勝って、世界選手権行きを決めたいところです。
今大会では、長く代表の中核を担ってきた東江雄斗(ジークスター東京)と吉野樹がいません。ゲームを落ち着かせる司令塔と、ロングを決めてくれる得点源を欠きますが、若い力でカバーできれば、パリ五輪へ向けての競争がさらに激しくなります。こういう時のために、ダグル・シグルドソン監督は代表メンバーを固定せずに、裾野を広げてきました。新戦力の台頭に期待してください。今回のメンバー20人を紹介します。(背番号、名前、所属、ポジションの順)
1:中村 匠(豊田合成)GK
長い手足に抜群の運動神経。全力でシュートに飛びつき、さらにリバウンドにまで飛びついて、マイボールにします。常にポジティブな声かけも魅力。Instagramで人気のGKチャレンジを見てもわかるように、スローイングの能力も一級品です。
2:安平 光佑(ヴァルダル / 北マケドニア)CB
日本のニューヒーロー。パリ五輪アジア予選では短期間の合わせにもかかわらず、司令塔の役割を十二分に果たしてくれました。キレキレの1対1にトリッキーなポストパスはワールドクラス。ミスが続く時間帯を減らせたら、言うことありません。
7:蔦谷 大雅(ジークスター東京)RW / RB
強心臓の蔦谷。とにかく肝が据わっています。しびれるような場面での7mスローで、堂々とループシュートを決めて帰ってくるあたりは、並の若者ではありません。今大会も怖いもの知らずで突っ走ってくれるでしょう。
9:杉岡 尚樹(トヨタ車体)LW
速い展開に持ち込みたいなら、レフトウイングは本職の杉岡を使いたいところ。ボールを奪って速攻に飛び出す姿は、本当に絵になります。高い弧を描く独特の「杉岡ループ」も絶品。あとは勝負の節目で確実に決めてくれたら。
13:吉田 守一(ダンケルク / フランス)PV
ライン際の強さはアジア随一と言ってもいいでしょう。吉田がピヴォットで位置を取ってくれるから、王道の「真ん中での2対2」ができるのです。課題だったDFも、フランスリーグでもまれて成長中。
15:部井久 アダム勇樹(ジークスター東京)LB
エースポジションで打ちまくって、トップDFでも動き回る。日本代表に欠かせない選手になりました。攻守ともにスケールが大きく、まだのびしろを残しています。今大会はエースの働きが求められます。
17:坂井 幹(大崎電気)GK
日本リーグ復帰後はあまり当たりが出ていませんが、いつも言うように「坂井は国際大会でこそ光り輝く選手」です。海外での経験を生かして、ここ一番でノーマークシュートを防いでくれたら。阻止率よりもインパクトを。
19:徳田 新之介(アル・ドゥハイル / カタール)RB / RW
2023年10月のパリ五輪アジア予選では、久しぶりに「いい新之介」が見られました。速攻へ飛び出す勢い、あっという間に点を取って帰ってくるスピード感、これぞ日本の暴れん坊将軍。今大会もDFからの速い攻めに期待です。
20:渡部 仁(トヨタ車体)RB / RW
攻撃型がひしめく左利き軍団のなかで、アジアではおなじみの「ジン・ワタナビー」は攻守で2ポジションを担える万能型。右側の2ポジションのバランスを考えたら、絶対に外せません。「2026年まで代表でいたい」と言えるくらい、コンディションも万全です。
21:岡本 大亮(トヨタ車体)GK
足を手のように使いこなす、ヨーロピアンなGK。ユニフォームの着こなしから、顔よりも高く足を上げる姿まで、何から何まで本場の香りを漂わせる選手です。世界選手権デビューの前に、まずはアジアで実績を。力は十分にあります。
24:北詰 明未(トヨタ車体)CB
日本リーグに入ってからセンターに転向し、今季は大ブレイク。所属でもセンターの一番手になった北詰は、今が旬の選手です。シンプルに間を割れる強さを生かしつつ、ゲームメイクでも長足の進歩を見せています。火力の高いセンターはシグルドソン監督の好み。鮮やかなジャンプフェイクを、アジアでも見せてほしい!
25:元木 博紀(ジークスター東京)RW / RB
30歳を過ぎても、いい意味で若々しく、美白を保っています。衰えることのない脚力はもちろんのこと、冷静に状況判断できるのが元木の強みです。ウイングから全体を見渡し、今のチームに足りないプレーを補ってくれるはず。
27:玉川 裕康(ジークスター東京)PV
パリ五輪アジア予選で一番悔しい思いをしたのは玉川でしょう。5:1DFが機能したため、6:0DFの3枚目を務める玉川の出番が大幅に減ってしまいました。DFでは絶対欠かせないサイズの持ち主。長いリーチと走力で、今大会は見せ場を作ってほしい!
37:泉本 心(中央大)LW / LB
ウイングでもバックでも点が取れる攻撃型の選手で、大学球界屈指の点取り屋です。カットインの力強さは抜群で、大学レベルなら余裕で1試合10点を叩き出します。レフトウイングから回り込んでのミドルや、1枚目と2枚目の間を割るプレーに期待。
40:富永 聖也(トヨタ車体)LB
初の代表入りを果たしたアイク(愛称)。ケガで代表を辞退した吉野樹(トヨタ車体)の代わりの位置づけですが、OFの躍動感は吉野以上かも。バネを活かした高い打点からのシュートで、セカンドメンバーの得点源になってほしい1人です。高い身体能力で、試合の流れを変えてくれそうです。
41:田代 翔真(大同特殊鋼)PV
初招集の守備型ピヴォット。田代が成長してくれると、代表も大同特殊鋼も助かります。今季は大同特殊鋼でレギュラーに抜擢され、パスキャッチなどで「ピヴォットらしい」動きが増えてきました。左の2枚目のDFで、吉田の休憩時間を作ってくれると助かります。
43:榎本 悠雅(タタバーニャ / ハンガリー)RW / CB
初招集の小さな左利き。代表ではセンターで期待されている模様。層の厚い左利き軍団のなかでも、センターができる選手は榎本しかいません。世界のトレンドでもある左利きのセンターは、攻撃の流れを変えるオプションになるか。左利きの榎本がセンターをできたら、今までの日本になかった攻撃が期待できます。
44:髙野 颯太(トヨタ車体)LW / PV
パリ五輪行きの立役者。髙野がトップに入ることで、5:1DFの強度が格段に上がります。フルバックの笠原が相手エースに詰める時、髙野が裏のスペースをさりげなく消してくれます。今大会もバーレーン、カタール相手に大活躍してくれるでしょう。
49:松岡 寛尚(SKKPブルノ / チェコ)CB / LB
初の代表入りを果たした小さな点取り屋。身長174cmながらアグレッシブに点を取りにいく松岡は、チームの起爆剤になりそうです。大崎電気でもチェコリーグでも、当たり前のように1試合で10点取ってくる得点力が魅力です。時間あたりの得点効率のよさは、インパクトプレーヤーの資質です。
74:笠原 謙哉(ハルヅール / アイスランド)PV
5:1DFのフルバックは笠原しかいません。こまめに声をかけながら、ピンチを未然に防ぎます。特にトップに髙野が入った時の連携は見もの。トレーニングマニアで研究熱心。大きな体を使いこなすための工夫を積み重ねて、今の地位を築きました。
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