ハンドボールパリ五輪アジア予選(2023年10月18日~、カタール)に向けて日本ハンドボール協会は10月13日、男子日本代表(彗星JAPAN)のメンバーを発表しました。直近のアジア大会とはメンバーを少し入れ替えて、一部の海外組とは現地合流で合わせる形になります。メンバー20人の特徴を見ていきましょう。(背番号、名前、所属、ポジションの順)
1:中村 匠(豊田合成)GK
国内でナンバーワンのGK。長い手足で迷いなくボールに飛びつき、逆をつかれても残り手、残り足でなんとかしてくれます。シュートを止めたあとに、もうひと飛びしてマイボールにする姿は、他のGKにはない動き。エンプティゴールを狙える強肩も魅力です。
2:安平 光佑(ヴァルダル / 北マケドニア)CB
富山・氷見高の2018年高校三冠達成の立役者で、この世代の顔とも言える存在。トリッキーなシュートで、早い段階から海外でも活躍しています。「国際慣れ」しているのが最大の強み。2対2もやりつつ、短時間に点を取るオプションとして期待できます。
3:徳田 廉之介(ザブジェ / ポーランド)RB
得点力のある兄・新之介とは対照的に、アシスト能力が非常に高い左利き。以前一緒にプレーしていた吉田守一とセットで使うと巧さを発揮します。吉田との2対2から絶妙のポストパスで、セットOFの流れを変えてくれるでしょう。(下に記事が続きます)
7:蔦谷 大雅(ジークスター東京)RW / RB
元木博紀に憧れて、限りなく元木に近づきつつある左腕。中央大時代から日本リーグ経験があり、代表経験もあります。非常に度胸がいい選手なので、何が起こるかわからない国際大会でも、普段どおりの力を発揮してくれそうです。
9:杉岡 尚樹(トヨタ車体)LW
攻守の切り替えの早さには、目を見張るものがあります。ボールを奪って飛び出すスピード感はアジア最高峰。腕を内ひねりさせて、高いアーチを描くループシュートも唯一無二の技です。あとは相手の息の根を止める一本を。
13:吉田 守一(ダンケルク / フランス)PV
OFだけに限定すれば、日本のピヴォットで歴代最高の選手。海外の2m級の選手に押し負けず、スクリーンを張れる強さがあります。徳田廉之介とセットで出てくる「ショータイム」をお楽しみに。2年前よりもDFが上達していたら、なおよし。 (下に記事が続きます)
15:部井久 アダム勇樹(ジークスター東京)LB
遠くから打ち込めるシュート力に、3枚目を任せられる守備力でいまや攻守に欠かせない存在になりました。たまにシュートが枠外に飛んでいく時もありますが、それもご愛嬌。DF力も向上し、攻守に世界で通用する選手になりました。
17:坂井 幹(大崎電気)GK
海外でプレーしていた坂井が、今季途中から大崎電気に移籍しました。昔から「海外向き」と言われていて、海外のシュートを沢山受けてきたのが強みです。国際仕様の対応力で、初見のシューターにも素早くアジャストしてくれるはずです。
19:徳田 新之介(アル・ドゥハイル / カタール)RB
速射砲のようにパカパカ打ち込む点取り屋でしたが、豊田合成在籍時にDFに目覚めました。1対1の強烈なフットワークをDFに応用することで、高い位置で圧をかけられるディフェンダーに変貌。山口・岩国工時代から国際大会に強いのも武器のひとつです。
20:渡部 仁(トヨタ車体)RB / RW
高精度のライトウイングだったのが、ダグル・シグルドソン監督の要望もあってライトバックもできるようになりました。OFではライトバックとライトウイング。DFでは右の1枚目と2枚目。2ポジション掛け持ちで攻守のバランスを整えてくれるベテランです。(下に記事が続きます)
21:岡本 大亮(トヨタ車体)GK
足を手のように使いこなす、ヨーロピアンスタイルのセービングが特徴です。顔の高さのボールでも足で止めてしまうから、相手は困惑すること間違いなし。スローイングも地味に上達しています。
25:元木 博紀(ジークスター東京)RW / RB
スピードとテクニックのある左腕です。ライトウイングでは高精度なサイドシュートが持ち味。ライトバックならDFの陰を利用したステップシュートが得意。攻撃を俯瞰でとらえて、的確なアドバイスを送る「天の声」役にも期待です。
27:玉川 裕康(ジークスター東京)PV
身長2mの「髭男」は守りの要。長いリーチでシュートをブロックし、速攻では先頭を走るほどの脚力があります。新規のハンドボールファンを増やす「ゼロを1にする」活動にも力を入れているナイスガイです。
31:吉野 樹(トヨタ車体)LB
腕を伸ばした独特のテークバックから、ゴールの四隅に打ち分けるロングシューター。一度見たら忘れられないシュートフォームです。カットインやポストパスにDFも年々上達し、攻守にバランスの取れた選手に成長。今が最盛期です。
33:東江 雄斗(ジークスター東京)CB
ケガがちなのが気になりますが、体調万全ならば打ててさばける国内最高の司令塔です。正統派のゲームメイクを軸にしながら、勝負のキワでバックシュートや左手でのシュートなど、トリッキーな技を繰り出します。
37:泉本 心(中央大)LB
中央大インカレ2連覇の中心メンバー。今回唯一の大学生とはいえ、アジア大会にも選ばれています。力強いカットインに、9mの外から打てるシュート力もあります。 (下に記事が続きます)
44:髙野 颯太(トヨタ車体)LW / PV
守備型の大きいレフトウイングは、攻守にいいアクセントになるでしょう。3枚目を守るだけでなく、髙野がトップの5:1DFも大きな武器。手足が長くて運動量があり、トップDFに最適です。高さのあるサイドシュートも、他の選手にはない強みです。
48:山田 信也(トヨタ車体)PV
守備型のピヴォットで、トヨタ車体では早くからDFのまとめ役を任されていました。愚直に体を張ってくれるので、派手さはなくても信用できる選手。片手キャッチが上達するなど、ピヴォットの動きもよくなっています。
74:笠原 謙哉(ハルズール / アイスランド)PV
日本のDFの精神的支柱。ラグビーや格闘技などからトレーニングを学び、細かった体を大きくしました。自分で自分を高められる選手で、頼れるベテランになった今は、自身のノウハウを惜しみなく若手に伝えています。試合中もこまめにしゃべりながらDFを修正する姿は必見。 (下に記事が続きます)
99:可児 大輝(大同特殊鋼)CB / LB
若くて得点力のあるセンターです。下手にゲームメイクを考えるより、シンプルに前を狙っていった方が「らしさ」を出せるでしょう。シグルドソン監督は「打てるセンター」が好み。力強く打ち込む姿が、OFの起爆剤になるはずです。
ダグル・シグルドソン監督
親日家のダグルさんは、現役時代はアイスランドの代表キャプテンで、世界的な司令塔でした。日本の湧永製薬(現ワクナガ)でもプレーしました。毎回のように代表メンバーを入れ替えて、多くの選手に代表を経験させて、誰を呼んでも短期間で合わせられるチーム作りを7年かけてやってきました。「日本代表なのに、リーグの単独チーム(ジークスター東京)より試合内容が悪い」と批判を浴びた8月のパリ・サン=ジェルマン戦も「短期間で合わせる練習」と、プラスに捉えていました。すべては今回のアジア予選のための準備です。厳しい戦いになるでしょうが、1988年のソウル五輪以来となる「自力での五輪出場」を決めてくれることを願います。
ハンドボール男子 パリ五輪男子アジア予選 参加国は10カ国。2組に分かれて予選ラウンドを戦い、上位2カ国ずつが決勝トーナメントに進出する。日本はイラン、バーレーン、クウェート、カザフスタンと同じグループBに振り分けられた。優勝国にパリ五輪出場権が与えられ、準優勝なら来年の世界最終予選へ回る。かつてのライバル韓国が衰えたとはいえ、ヨーロッパからの帰化選手で強化したカタールが頭ひとつ抜けている。また近年はバーレーンが強化に成功。かつて「中東の笛」で騒がれたクウェートも、地道な強化で息を吹き返してきた。直近のアジア大会では1位:カタール、2位:バーレーン、3位:クウェート、4位:日本だった。
初戦は10/18、イランと
- 10/18(水) 17:00(23:00)対イラン
- 10/19(木) 17:00(23:00)対バーレーン
- 10/21(土) 15:00(21:00)対クウェート
- 10/22(日) 13:00(19:00)対カザフスタン
※カッコ内は日本時間
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