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ハンドボールのルールは難しくない!ぶつかってシュートを叩き込む【基本ルール5】

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ハンドボールのルールと見どころをざっくり紹介します。ハンドボールはルールブックが薄くて、覚えるべきルールはそんなに多くありません。激しくぶつかり合って、思い切りシュートを叩き込む、とてもシンプルなスポーツです。ハンドボールを取材して20年以上になる[ペンスポ]コラムニスト・久保弘毅が分かりやすく解説します。

撮影:久保弘毅(以下すべて)
目次

デンマークとドイツ、2つのルーツ

11人制の動画(国際ハンドボール連盟YouTubeより)

ハンドボールにはデンマーク発祥の7人制と、ドイツ発祥の11人制の2つのルーツがあります。昔はサッカーと同じコートの広さで、スパイクを履いてプレーする11人制が主流でした。その後はフットサルと同じサイズ(縦20m×横40m)でプレーする7人制に移行していきました。基本的には冬場のヨーロッパで楽しむ体育館スポーツです。

強豪国はフランス、デンマーク、スペイン

ハンドボールの強い国は、東京五輪男子金メダルのフランス、2023年男子世界選手権金メダルのデンマーク、スペイン、ドイツ、スウェーデンなど。人口36万人のアイスランドは国技がハンドボールで、世界の上位に食い込んできます。ちなみに男子日本代表のダグル・シグルドソン監督はアイスランド代表の元キャプテンで、ハンドボール界では世界的なビッグネームです。

女子もフランスが東京五輪で金メダルでした。2021年女子世界選手権金メダルのノルウェーに、デンマーク、スペイン、オランダ、ロシアなども強豪国です。身体能力抜群のブラジルは、独特のリズムで相手を苦しめます。韓国はキレキレのフェイントで上位を脅かします。

【基本1】時間60分、延長なら7mスローコンテストも

7mスローコンテストは5人で決着がつかない場合、勝敗が決まるまで1人ずつ続ける

ハンドボールの試合時間は前後半30分ずつ。延長戦の規程は大会ごとに異なりますが、日本リーグのプレーオフの場合は、5分×2の第1延長、同じく第2延長をやって、それでも決着がつかない場合は、サッカーのPK戦みたいな7mスローコンテストを行います。

タイムは球を持っている側が申請OK、3回まで

チームを立て直すためのタイムアウト。直後のプレーが重要になる

タイムアウト(一時停止)は攻撃側(ボールを持っているチーム)が申請できます。タイムアウトは合計3回まで。ただし前半や後半だけでまとめて3回取ることはできません。また後半残り5分を切ったら、タイムアウトは1回しか取れません。最後の5分間で1回しか使えないタイムアウトをどこで使うか。相手を助けるタイムアウトになっていないか。勝負のポイントになります。

【基本2】7人でプレー、交代は自由

ベンチからゴール前へ急いで戻るGK

ハンドボールは7人でプレーします。基本はゴールキーパー(GK)が1人で、コートプレーヤー(CP)が6人。メンバー交代は自由で、攻守でベストの布陣を組むために人を入れ替えていきます。ただし交代するスキを狙って相手が速攻で押してくるケースもあるので、2人を攻守で入れ替える「二枚替え」にはリスクが伴います。できれば交代は1人ぐらいにしたいところ。交代なしで、どんどん速攻で押せるのがベストです。

ルール改正でGKが交代しやすくなったため、GKの代わりにCPを入れる「7人攻撃」が増えました。以前はGKはビブスを着たCPとしか代われませんでしたが、今はどのCPと交代しても構いません。7対6で攻められるので、確実に数的優位を作れます。退場者が出た時もGKを下げて6対6で攻めるのが定番になりました。ただしゴールが空っぽになるので、攻撃でミスをするとロングスローで簡単に1点を失ってしまいます。

【基本3】ボール持った選手は「3歩」まで。空中キャッチ後は「0歩」

ゴールから6m離れた実線を踏まずにシュートを打つ

ボールを持った選手は3歩まで歩けます。ただしハンドボールの場合は、空中でボールをキャッチしたあとの着地を「0歩目」と定義しています。だからバスケットボールの3歩よりも1歩多いような感覚です。たまに沢山歩いているように見えるシーンがありますが、それはジャンプして空中でドリブルを1回ついています。

パスキャッチしてから3歩歩いて、ジャンプフェイクからワンドリブルを挟んで、また3歩歩けるので、巧い選手はドリブルを上手に使いながらディフェンダーをすり抜けていきます。

日本ハンドボールリーグのYouTubeより

シュートは6mラインの外から打たないといけません。6mラインを少しでも踏んでしまったら、「ラインクロス」という反則で、相手ボールになります。6mラインの内側のゴールエリアに入ってもいけません。ただし空中でのプレーは認められているので、ゴールエリア上空でパスをもらう「スカイプレー」はOKです。もちろんシュートより着地が早いと「ラインクロス」になります。

審判は「身体接触、どっちのせい?」を判断

明らかなシュート機会を妨害されると、7mスローになる

ハンドボールの審判は「身体接触でどちらに過失責任があるのか」を見ています。攻撃側と守備側の過失割合が50:50なら、お互いに3m離れてフリースロー(試合再開のスロー。直接シュートを狙ってもいい)で仕切り直しになります。守備側が明らかに相手のシュートチャンスを妨げた場合は、攻撃側に7mスロー(サッカーで言うPK)が与えられます。逆に100:0で攻撃側が悪いと判断されたら、オフェンシブファウル(攻撃側の反則)という反則になり、相手ボールになります。

単純に白か黒かで判断できないし、審判ごとに判定の基準が違ったりするので、そこが初心者にはとっつきにくいかもしれません。審判と選手が話していたら「今日はここまでやっていいんですね?」「これ以上はダメですよ」と確認し合っていると思ってください。ハンドボールは選手と審判がコミュニケーションを取って、共に作り上げていくスポーツです。

審判は監督、選手とコミュニケーションしながら、判定の基準を示していく

【基本4】「ナイスファウル!」あるのがハンドボール

正しいプレーで相手の攻撃を止める「いいファール」

ハンドボールでは守備側が正面から相手の攻撃を受け止め、バチンと止めたら「ナイスファウル」でフリースローになります。5ファウルで失格になるバスケットボールを知っている人からすると「ファウルにナイスなんてあるの?」と思いますが、ハンドボールでは正当なファウルが認められています。

ハードな当たりで攻撃の流れを止めて、フリースローをどれだけ取れるかが、DF力の指標にもなります。海外の監督は「ゲームストップ(相手のパス回しを止めた)」と表現し、チーム全体でどれだけフリースローを取れたかを集計しています。「フリースローを取れている=相手の攻撃を分断している=守れている」と考えていいでしょう。

悪質ファールは「警告」と「退場」。退場は3回で失格に

(写真左)イエローカード(写真右)2分間退場

悪質なファウルの場合には警告(イエローカード)、2分間の退場になります。警告は個人で1枚、チームで3枚までは特に何もありません。文字通りの警告で「次やったらダメですよ」と、判定の基準を示すだけです。個人で2枚目、チームで4枚目からは退場になります。相手を横や後ろから押したり、空中で押したりといった危険なプレーには、序盤でも警告なしで退場が出されます。退場が3回になるとレッドカード(失格)になり、その日の試合には出場できなくなります。前半で2回退場した選手は、3回目(失格)が怖いのでハードに守れません。相手は失格に追い込もうと狙ってきます。2回退場した選手を攻撃だけにして、3回目の退場を防ぐのか。それとも信頼して守備でも使い続けるのか。勝負を左右するポイントです。

【基本5】反則「ブロッキング」ボール回しと関係ない小競り合い

どちらが先に位置を取っているか。ライン際の攻防にも注目を

いろいろな反則がありますが、一番分かりにくいのが「ブロッキング」かもしれません。ボール回しとは直接関係ないところでの小競り合いです。突然笛が鳴って相手ボールになった場合は、ブロッキングの可能性が高いでしょう。ピヴォット(ライン際でくさびになる選手。ポストとも言う)が先に位置を取って、スマートにプレーしていれば、ブロッキングにはなりません。

ピヴォットが強引に割り込んだり、ディフェンダーをお尻や手で突き飛ばそうとしたら、ブロッキングで相手ボールになります。いつの間にかいい位置にいて、さりげなくブロック(ディフェンダーをせき止めて、スペースをつくる動き。スクリーンとも言う)をかけるのがピヴォットの役目。ボールだけでなく、その周りにいるピヴォットまで視野に入れておけば、試合の解像度が上がります。

攻撃が消極的だと「予告」、パス4本カウント

ボール回し中に審判の手が挙がったら、パッシブプレーの予告

攻撃が消極的だと審判が判断した場合は、審判の手が上がります。パッシブプレーの予告です。予告が出たあとにパス4本以内でシュートを打たないと、攻撃権が相手に移ります。審判が大きな声で「い~ち~、に~」とパスの数を数えるので、間近で見ているとわかりやすいでしょう。バスケットボールなら「24秒以内」と数字で決まっていますが、ハンドボールの場合は審判の主観になります。ちなみにハンドボールで1回のセットOF(お互いに陣形が整った状態での攻撃)に要する時間は約30秒。この数字が目安にはなりますが、状況によってパッシブプレーの予告が早く出る場合があります。僅差の終盤で、リードしているチームが明らかな時間稼ぎをしていると見なされた場合は、審判の手が早めに挙がることもあります。

相手の戻りを待たずに仕掛けられる「クイックスタート」

ハンドボールのルール
シュートを決めたら、喜びながらも急いで戻る

昔のハンドボールは、点が入ったあとは相手の戻りを待ってからスローオフ(失点を許した側の攻撃開始)でした。今は相手が戻り切る前に「クイックスタート」で攻撃できます。しかも2022年からは、センターサークル(スローオフエリア)のどこかを踏めばクイックスタートできるようになりました。センターラインを踏んでスタートしていた時代よりも、格段にクイックスタートが仕掛けやすくなっています。点を取っても、のんびり喜んでいる暇はありません。すぐに戻ってDFに備えないと、簡単に数的優位を作られてしまいます。

アップテンポで魅力的に

ハンドボールのルール改正には「より多く点が入って、アップテンポで魅力的な競技にしたい」との思いが根底にあります。また選手の安全を確保するために、顔面にボールや手が当たった場合の罰則も厳しくなりました。ハードだけど安全に、フェアプレーで、ハンドボールを楽しんでほしい――。この大原則を理解していれば、細かいルールを知らなくても充分に楽しめる競技です。

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