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【2024パリ五輪】日本代表内定選手リストを随時、更新しています。(6.25更新)

【バレーボール】セリエA・ペルージャ会長「何としても石川祐希を!」| インタビュー前編

ペルージャ報告vol.01
2023‐24シーズンで勝ち取った4冠を含む、輝かしいトロフィーの数々とジーノ・シルチ会長=中山写す
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「世界最高峰」と称されるイタリア男子バレーボール・スーペルレガの中でも、昇格から12年の間にリーグ優勝2回の他、コッパ・イタリア、スーペル・コッパ・イタリアーナ、世界クラブ選手権など、国内外で常にトップグループにいるのがペルージャ(正式名:SIR SUSA VIM PERUGIA=シル ・スーサ・ ヴィム・ペルージャ)だ。来季2024-25シーズンは日本代表のキャプテン・石川祐希を獲得したことで、日本のファンにも広く知られたことだろう。石川選手加入の公式発表から10日後、ウンブリア州ペルージャに足を運んだ。ホームアリーナの他、チーム本部もあるアッシジ郊外のSIR SAFETY SYSTEM(シル・セーフティ・システム)社を取材したので、4回にわたって報告する。1回目はオーナーであるジーノ・シルチ(Gino Sirci)会長インタビューの前編で、移籍の裏側などを語ってもらった。

目次

1979年創業、作業服・安全靴メーカー

SIR SAFETY SYSTEM本社=中山写す
SIR SAFETY SYSTEM本社=イタリア・ウンブリア州アッシジで、中山写す

「彼はいわゆる personaggio(=ペルソナッジョ)だね 」。ペルージャのシルチ会長は、よくこのように形容される。personaggio はイタリア語で劇や小説などの登場人物や著名人という意味もあるが、強烈な個性を持つ人物に対して使うことが多い。シルチ会長は、まさにこの「personaggio」。ペルージャの試合を見ていて、喜怒哀楽を爆発させながら観戦する会長の姿に目を奪われた方もいるだろう。

とにかく熱い、濃い、エネルギーをメラメラと放出させる人……筆者も今までこんな印象を持っていた。それゆえに今回のペルージャ訪問で会長がインタビューに応じてくれると聞いたとき、大変光栄に思うと同時に、一種の畏れのようなものも感じていた。

SIR SAFETY SYSTEM社は、現社長であるシルチ氏により1979年に創業された作業服・安全靴のメーカーである。年と共に成長を続け、現在では業界の国内シェアトップ、年間総売上は9,000万ユーロ(約153億円)に達する。世界30か国に流通するウンブリア州を代表する企業だ。そんな企業がなぜバレーボールチームを持つようになったのか?いつからこんなに強くなったのか?石川祐希の獲得はいつどのように決まったのか?シルチ会長に訊きたいことはたくさんあった。

取材のはずがTシャツ制作「特別審査員」に

WELCOME YUKI 特別Tシャツ(写真提供:SIR SUSA VIM PERUGIA)
WELCOME YUKI 特別Tシャツ(写真提供:SIR SUSA VIM PERUGIA)

チームの事務部門は社内1階に置かれ、シルチ会長の呼び出しをしばし待つ。約束の時間から30分ほどして、朝から筆者に帯同してくれているソーシャル・メディア・マネジャーのフランチェスコの携帯電話が鳴り、上階の大きな応接間に2人で向かった。緊張しながらも自己紹介、そして今回の取材の意図などを話し始める筆者。しかし最初の質問をしたのは筆者でなく、シルチ会長であった。

「あ、記念Tシャツの話は聞いてる?僕はこの第一案をあまり気に入ってないんだけど、キミの意見を聞かせてよ」。スマートフォンをスクロールして保存してあったデザインを筆者に向け、興味津々に筆者の答えを待ち構える会長。

「別の案をいま考えさせてるんだけど、あ!もうここでやっちゃおう!デザイナー呼ぶわ」。インタビューのためにやって来たのに、いきなりTシャツの制作会議に参加することに。急に呼び出されて急いでやって来たデザイナーは「3分やるから、はい!プレゼン!特別審査員(筆者)もいるから」と言われ、慌てて抱えていた紙を並べて、いま進行中の代案2つについて説明をし始めた。

「Block Devilsは25%増しにしよう」「この文字はどういう意味?」「イタリア語か日本語かどっちで入れる?」「このモチーフとバレーボールの関連性は?」立て続けに質問やアイディアを並べる会長、そして筆者をはじめそこにいた皆も各々の意見を出して大方の意見がまとまり、修正後にまた検討することになった。

こうして最終的に決定したデザインの「WELCOME YUKI」Tシャツは下記で販売中だ。

会長「イシカワはすでに私たちの一員」

2023-24シーズン、スーペルレガのスクデットも獲得(写真提供:SIR SUSA VIM PERUGIA)
2023-24シーズン、スーペルレガのスクデットも獲得(写真提供:SIR SUSA VIM PERUGIA)

売れるかどうかと聞かれ、「特別Tシャツを作ってくださったというだけで、イシカワファンは間違いなく買うと思います」の返答に、満足そうな会長。あのレオン(ポーランド代表のアウトサイドヒッターで世界最強選手とも呼ばれる)が加入した時でさえも、こんなTシャツは作らなかったと言う。

「レオンは確かに素晴らしい選手だけれど、ペルージャに来た時はなんていうか、神のような感じだった。だってそれまでに数多くの勝利を手に入れて来た選手だからね。何より内向的な性格っていうのもあったんだけど、イシカワは違う。いい意味で普通の人、いつも笑顔でペルージャに来ることを心から喜んでくれているのが分かる。最初から私たちの一員だと思うことができたよ」。

ペルージャには過去にも元イタリア代表のオポジット、イヴァン・ザイツェフや前述のレオン、現在もイタリア代表キャプテンで2022年の世界選手権優勝時にベストセッター賞とMVPも受賞したシモーネ・ジャンネッリが所属しており、彼ら3人だけは個別に入団会見を開いたそうだ。石川選手はVNL(ネーションズ・リーグ)やオリンピックの関係で今のところ個別会見は難しそうであるが、この特別Tシャツしかり、SNSでの新規選手加入紹介でも渾身のアニメ制作など、チームをあげての特別待遇になっているのは歴然だ。

「いい数字をすぐに提示したよ」

石川祐希加入の公式発表はSNSを賑わせた(写真提供:SIR SUSA VIM PERUGIA)
石川祐希加入の公式発表はSNSを賑わせた(写真提供:SIR SUSA VIM PERUGIA)

筆者を含め、ファンの方が知りたいのはきっと、その獲得までの状況だろう。おそらく全てのクラブにおいて、選手の選択は会長、監督、スポーツ・ディレクターなど関係者皆で話し合い、ペルージャも例外ではない。話し合いは1月に行われ、シルチ会長がイシカワが好ましいと思う、と口火を切ると、満場一致で賛同されたと言う。

「イシカワが来てくれたら最高だ、それはもう、ワーーーオゥ!だろう!?」と驚嘆の表情と抑揚をつけて当時の様子を再現してくれる会長、まさにTV画面越しから感じていた人柄が全開で、筆者も話を聞きながら前のめりになってしまう。そして気になる交渉は、最初からうまくいったのだろうか?

「交渉は難航しなかったかって?何としてでも彼に来てほしかったので、最初から断れないようないい数字をすぐに提示したよ。実際に彼が断ることができなかった数字をね」。

いい数字という言葉を発する際に筆者に目配せをしたため、具体的な数字を聞くのはなんとか堪えた。しかしそれが聞けなくとも、期待を裏切らない「シルチ節」はまだまだ続く。(後編は6月下旬に配信します)

※このインタビューをしたペルージャ取材を6月14日、オンラインで報告しました。ご参加くださったみなさま、ありがとうございました。

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コメント一覧 (2件)

  • Sirci è davvero un gran personaggio!!
    Sono molto curioso di leggere le prossime puntate!
    Sicuramente Yuki-san si troverà bene a Perugia e potrà vincere tanto, ne sono sicuro.

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