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【バレーボール】石川真佑、イタリア3季目「勝ちにこだわる」

強豪ノヴァーラで2季目を迎えた石川真佑=2025年10月12日(写真提供:Igor Volley Novara)
強豪ノヴァーラで2季目を迎えた石川真佑=2025年10月12日(写真提供:Igor Volley Novara)
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2025年の代表シーズン、VNL(ネーションズリーグ)でも世界バレーでもメダル獲得まであと一歩の4位と健闘したバレーボール女子日本代表。昨年までキャプテンで絶対的エースだった古賀紗理那(29)が引退し、そのポジションをまるまる受け継いだのは石川真佑(25)だった。躍進の余韻が残る代表活動をどのように感じ、またイタリアで3季目、ノヴァーラで2季目を迎える今季、石川はどのように戦っていくのか。前回の関菜々巳に続く今回の記事では、日本人対決となった10月12日の試合レポートと試合後の石川の肉声をお届けする。

ノヴァーラ対ブスト・アルシツィオの試合後、談笑する石川と関=2025年10月12日、中山写す
ノヴァーラ対ブスト・アルシツィオの試合後、談笑する石川と関=2025年10月12日、中山写す
目次

言葉よりプレーで見せるキャプテンシー

2025年10月15日のキエーリ戦、強烈なインナースパイクを決める石川(写真提供:Igor Volley Novara)
2025年10月15日のキエーリ戦、強烈なインナースパイクを決める石川(写真提供:Igor Volley Novara)

エースとしてキャプテンとして、ずっと女子日本代表を引っ張ってきた古賀紗理那(29)がパリ五輪を最後に引退し、監督をはじめとしてスタッフやメンバーが大きく変わった。2年間のイタリアで大きく成長した石川は、その新生日本代表のキャプテンに抜擢された。

「新しい役割を担うことになってチームへの行動の仕方も変わったし、イタリアでやってきたことや熱量をしっかり出していくように。自分は言葉でなくプレーで引っ張るタイプなので、自分がまずしっかりやってる姿を見せるということを意識していました」

自分が一番若い時代があった時のことを振り返り、初代表の若い選手がやりやすいチームづくりを目指した。結果、選手全員が「自分が点を取ってチームを勝たせるんだ」という気持ちをもつようになり、うまくチームとして「ハマった」のがVNL(ネーションズリーグ)と世界バレーだ。両大会ともに4位という躍進につながった。

しかし、メダルには一歩及ばず。守備力や精度が高いプレーが日本の強みだが、まだ「見えない一点」を取れきれない部分があったと石川は分析する。これからまた、個々の選手がそれぞれのクラブで切磋琢磨するしかない。「海外リーグはやはりレベルが高く、いろんな刺激を受けて幅が広がった」と石川も自身の成長を実感している。そんな石川をつぶさに見て、新たに海外挑戦する選手も出てくるだろう。(下に記事が続きます)

陽キャラ加入、雰囲気ガラリ

2025年10月12日のブスト戦、熱い抱擁を交わす石川とヘルボッツの新OHコンビ(写真提供:Igor Volley Novara)
2025年10月12日のブスト戦、熱い抱擁を交わす石川とヘルボッツの新OHコンビ(写真提供:Igor Volley Novara)

石川は昨シーズンと同じくノヴァーラで、馴染んだ環境でプレーを続ける。スタメンメンバーではセッター、リベロ、ミドル1人の3人が抜け、チーム全体でも半数近くの入れ替えがあったが、サイドの主力であったOH石川、アルスマイヤー、トロク、OPミムズは残留。新キャプテンはノヴァーラ6季目を迎えるもう1人のミドル・ボニファーチョなので、雰囲気はさほど変わらないかと思いきや、「いや、だいぶん変わりました、全然違います」と石川は言った。

その主な要因は、新規加入した「陽キャラ」OHコンビだ。スカンディッチから移籍したベルギー代表キャプテンのヘルボッツは、闘志を前面に押し出すパワープレーヤー、一方ローマから移籍したメッリはやんちゃな少年のような見た目のまんま、ユーモアたっぷりにチームを盛り上げる。

コミュニケーションの大事さは、代表でもとても重要だと感じたところ。「新旧メンバーかかわらず、今まで以上にクラブでも積極的にコミュニケーションを取っていきたい」と語る。(下に記事が続きます)

ベルナルディ監督「サイドは回して使う」

2025年9月27日、クールマイユールカップの優勝盾を持つ石川、アルスマイヤー、ミムズの仲良しトリオ(写真提供:Igor Volley Novara)
2025年9月27日、クールマイユールカップの優勝盾を持つ石川、アルスマイヤー、ミムズの仲良しトリオ(写真提供:Igor Volley Novara)

昨シーズン、クラブ内1位である344スパイク得点や安定した守備でチームに貢献した石川。しかし今季はチャンピオンズリーグ出場も控えているからか、OHにヘルボッツを獲得し、石川、アルスマイヤーの3人が入れ替わり起用される。オポジットにはトロクとミムズ、そしてアルスマイヤーが入ることもある。

「サイドは決められる選手ばかりなので、コートに入れなくても何か悪いことがあるわけではない」。シーズン前にベルナルディ監督からこのような説明があったので、入った時に自分の最高のパフォーマンスができるように準備しようとポジティブに考えられているそうだ。

コネリアーノ、ミラノ、スカンディッチ、ノヴァーラの4チームで行われたプレシーズンカップ・クールマイユールカップでは、ノヴァーラは準決勝でコネリアーノを破り、決勝でもスカンディッチを倒して見事に優勝。開幕戦でもA2から昇格したばかりのサン・ジョバンニ・イン・マリアーノに対してストレート勝利を収め、最高の滑り出しとなった。

「マユ大好き」子の心わしづかみ

日本の石川ファンの間でもおなじみとなったアリーチェちゃん(8)=2025年10月12日、中山写す
日本の石川ファンの間でもおなじみとなったアリーチェちゃん(8)=2025年10月12日、中山写す

10月12日のホーム開幕戦は、ブスト・アルシツィオとの対戦だった。ブストには関菜々巳が所属するため、日本人ダービーでもある1戦だ。記者席に座ると、サイド側に見覚えのある女の子がいた。石川の大ファンであるアリーチェちゃん(8)だ。

両親の許可を取り、なぜ石川が好きなのかを聞いてみるとちょっとモジモジ。照れる娘の代わりに「プレーもだけど何より人間性が好きなんだよね」と父が答えた後、「私はマユが大好きで、マユも私のことが大好きなのよ」と嬉しそうに言った。

観客席を見回すと、他にも石川のユニフォームを着た小さなファンが数人いる。試合後に石川のファンサービスを待つ男の子(12 )に同じ質問を投げかけると、「僕も小柄のOHなので、マユみたいになりたい」。中学生の男の子にも憧れられるプレーヤーなのだ。(下に記事が続きます)

自由にやりたいように、左耳の3つ目のピアス

2025年10月15日のキエーリ戦でのサーブレシーブは返球率55%、成功率41%(写真提供:Igor Volley Novara)
2025年10月15日のキエーリ戦でのサーブレシーブは返球率55%、成功率41%(写真提供:Igor Volley Novara)

石川はスタメンで、4セットともフル出場。今季加入でMVPを受賞したアメリカ人ミドル・アイジディに最多得点は譲ったものの、チーム2位の17得点を記録した。ブロックの手の先でタッチアウトを狙ったり、ブロック間のわずかな隙間を通すなど、持ち前の多彩な攻撃を発揮した。とりわけ、度肝を抜くインナースパイクは貫禄たっぷりだった。

挑戦の1年目、躍進の2年目、そして3年目はどんな年になるのか。リーグだけでなく、チャンピオンズリーグという新たな大会においても「自分が成長し続けるのはもちろん、今季は勝ちにこだわっていきます」と力強く締めくくった。

「いい意味で自由に、自分がやりたいようにやってます」と告白したのは、日本で左耳上部の軟骨部分に新しく開けたピアスホール。そこに光るゴールドピアスのように、石川の胸に同じ色のメダルが輝くことを期待せずにはいられない。

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