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20時、鹿児島。体を張った”ぼっち鶏たたき選手権”

鶏たたき
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スポーツ取材の遠征先での楽しみは「ご当地グルメ」です。ただ食べるだけではつまらないと、私は自分に「一品縛り」を課しています。2023年1月、訪ねた鹿児島での一品は「鶏たたき(鳥刺し)」です。仕事を終えた20時、連夜の「鶏たたき選手権」は開幕しました。

目次

甲子園V監督の名言から始まった

2013年夏の全国高校野球選手権大会では、前橋育英高が初出場、初優勝を成し遂げました。荒井直樹監督の指導方針は「凡事徹底」。たとえば素振りのような単調な練習を毎日繰り返していくうちに、わずかな違いに気づけるようになる。その積み重ねが大事だと言っていました。

だれでもできることを、だれよりも続けることで、そういう境地に達することができるのか!いたく感動した私は、自分にもできる「凡事徹底」を探しました。

トイレ掃除?靴をそろえる?もちろんそれも大切ですが、取材の遠征先でなにかやれることはないか?

ただご当地グルメを食べるだけじゃつまらない。同じジャンルの物を食べ比べて、わずかな違いを感じ取ろう。

こうしてスポーツ取材の遠征先で、一品縛りの食生活に挑む「○○選手権」がスタートしました。初回は、ハンドボール日本選手権(女子の部)取材で訪ねた鹿児島での記録です。

おりひめジャパンのドクター「カンピロバクターに気をつけて」

久保弘毅
まるごとかぶりつく筆者

鹿児島には鶏肉を生で食べる文化があり、独自の厳しい基準を設けています。だからスーパーなどでも当たり前のように、鶏のたたきや刺身が売られています。ただし食べるのはあくまでも自己責任で。食べ慣れていない人はカンピロバクターにやられて、腹をくだす可能性があります。

若きトップレフェリーは「鹿児島では鶏のたたきは怖くて食べられませんでした」と言っておりました。それが本来のあるべき姿勢かと。レフェリーをするために鹿児島に来ているのですから。鹿児島に本拠地を置くソニーセミコンダクタ・マニュファクチャリングの選手も、鶏の生食はしていないそうです。トップアスリートだから当然ですね。

おりひめジャパン(ハンドボール女子日本代表)のチームドクターだった井本光次郎先生からも「カンピロバクターに気をつけてくださいね」と忠告を受けました。はい、わかりました。大会の取材を途中で離脱することのないように頑張ります。

基本は「もも、むね、刻み」の3点セット

基本は「もも、むね、刻み」の3点セット=久保写す(以下すべて)

鹿児島で売られている鶏たたきの基本は、もも肉、むね肉、刻みの3点セットのようです。もも肉は色が濃く、鉄分を感じるような味わい。むね肉は淡白で、九州の甘口醤油をよく吸い込んでくれます。刻みは手羽を炙(あぶ)った切れ端でしょうか。噛みごたえがあって、なおかつ炭火の香りが口の中に広がります。どれも全部違って、全部いい!交互に食べるうちに、ひとパック分があっという間に消えてなくなります。そう、いい肉は消えてなくなるのです。

色んなスーパーを回りながら、鶏のたたきを食べ比べました。取材終わりが閉店時間の20時近くになるので、時間と戦いながらコンプリートしていきます。調子に乗って、たたきだけでなく炭火焼も買ってみました。某スーパーの炭火焼は人工的な炭火調味料を使っているようで、口に入れるとホームセンターのような匂いがしました。残念。

スーパータイヨー「親鶏レア炭火焼」ねっとり

スーパータイヨー「親鶏レア炭火焼」
スーパータイヨー「親鶏レア炭火焼」

しかし素晴らしい炭火焼もありました。スーパータイヨーの国産親鶏レア炭火焼【生食可】です。炭火で焼いているのに、中はねっとりと生ハムみたいなピンク色です。物すごくあごが疲れるけど、鶏のうまみと炭火の香ばしさを味わえて、楽しい一品でした。

大会3日目からメイン会場の西原商会アリーナへ行くと、スーパータイヨーがバス停のすぐそばにあるじゃないですか。ソニーの大城章監督(当時)が言うには「鹿児島の人は『スーパーで鶏のたたきを買うなら、タイヨーが一番おいしい』って言ってましたよ」とのこと。さすが鹿児島のローカルスーパー。これは朝から買って食べるしかない。その日からバスを降りたらタイヨーで鶏のたたきを買って、アリーナの近くのベンチで食べてから、何食わぬ顔で会場入りするようになりました。朝から川のほとりで鶏のたたきを食べるオッサン。完全に不審者です。でもおいしいからやめられません。

むね肉1枚丸ごとガブッ

百貨店ではカットされていない丸ごとの鶏のたたきも見つけました。むね肉一枚丸ごとの超大物です。キッチンバサミも包丁もないので、そのままかぶりつきました。うん、食べにくい。いい歳をして「映え」なぞを意識して、そのまま食べようとした私が愚かでした。肉の部分はいいとしても、皮がなかなか噛み切れません。鶏皮は大好物なのですが、たたきになると一気に食べにくくなります。皮はやっぱりパリパリに焼いた方がおいしいかなぁ。

鶏のたたきは九州の甘口醤油で食べるのが基本です。そこにニンニクを入れるか、ショウガをいれるか、両方とも入れるかは自由です。パックについている袋だけでは足りないので、特にショウガはチューブで用意しておきましょう。

また店によっては、玉ねぎスライスとポン酢(もしくは和風ドレッシング)とセットになっているものもあります。これもサラダ感覚で、なかなかいけます。塩だれの鶏の刻みもありました。ごま油の風味がレバ刺しっぽくて、箸が進みます。どんな味つけでも受け入れてくれる、鶏肉の懐の深さに感謝する日々が続きました。

専門店「地鶏の元」で5パック1200円!ぼっち祭り

(写真左)皮(写真右上から)ハツ、砂肝、刻み、ささみ
(写真左)皮(写真右上から)ハツ、砂肝、刻み、ささみ

大会は1日4試合ペースで進んでいきます。基本は朝から晩まで体育館に拘束されます。準決勝は2試合のみ。早くあがれるので、これは専門店にもアタックしてみないと!準決勝が終わったら、鹿児島中央駅の近くにある鶏のたたき専門店「地鶏の元」へ直行しました。テイクアウト専門というか、ショーケースのみのお肉屋さんです。品揃えが充実していて、しかも安い! あれもこれもと、5パックも買ってしまいました。

ひとつ目がささみ。むね肉とはまた違ったあっさり具合で、淡白な味わいのようで身がしっかりしています。炭火の香りも本格的で、専門店の矜持が感じられます。2つ目は手羽の刻み。弾力と炭火の香ばしさを同時に味わえます。3つ目は皮の刺身。鳥肌が炭火で焼けて、生センマイぽいブツブツした見た目になっています。生センマイを焼肉屋で頼む人なら、皮の刺身も好きになれそう。4つ目はハツ。こちらは「加熱用」につき、刺身醤油がついてきません。ちなみに地鶏の元の刺身醤油は、ニンニクの風味がほんのり香るニンニク醤油です。ラストは砂肝。これも「加熱用」ですが、なかなか他ではお目にかかれない代物です。

これだけ食べて、5パックで1200円だから驚きです。ありがとう地鶏の元。次に鹿児島に行く時も必ず買いに行きます。レアな鶏肉だけでお腹いっぱいになる、貴重な体験ができました。

シメは坂留鶏肉店「冷凍刺身の自販機」横浜でも宴

(写真上)坂留鶏肉店の自販機(写真下)冷凍の鶏刺し
(写真上)坂留鶏肉店の自販機(写真下)冷凍の鶏刺し

帰りは鹿児島空港から徒歩10分にある坂留鶏肉店で、鶏の刺身の自販機を発見。もも肉の刺身を250グラム600円で(値段は当時のもの)、24時間いつでも買えます。冬場だったので、冷凍されていた刺身が、横浜に戻るころにはほどよく解凍されていました。たたきでも刺身でも、九州の甘口醤油で食べる鶏肉は最高です。

その後の体調についても伝えておく必要があるかと思います。大会期間中に腹をくだすことはありませんでした。しかし横浜に戻った翌日からしばらくは、色々と緩みました。電車に乗ったら途中下車を繰り返して、何度もトイレに駆け込みました。おそらく潜伏期間があったから、大会中は無事だったのだと思われます。

自己責任で開催した鹿児島鶏たたき選手権、もし次回があるようならエントリー数を絞って、リスク管理をしっかり行います。みなさんも己の内臓を過信することなく、謙虚に鶏のたたきと向き合っていただけたら幸いです。

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