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【ハンドボール女子】広島で8月、パリ五輪予選 | 宿敵・韓国の左腕封じる秘策とは

ハンドボール女子中山
ライトバックの中山 佳穂(北國銀行)=久保写す(以下すべて)
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ハンドボール女子のパリ五輪アジア予選が8月、広島で行われます。五輪出場枠は12。開催国フランス、2023年11月の世界選手権優勝国、4大陸予選の各1位に2024年の世界最終予選から6チームを加えた計12チームです。日本はアジア予選でパリ切符をつかめるか。ペンスポ・コラムニストの久保弘毅が展望します。

目次

5か国総当たり、1位がパリ出場権

日本の司令塔・相澤菜月

8月17~23日に広島市のマエダハウジング東区スポーツセンターで開催される女子のアジア予選には、日本、韓国、中国、カザフスタン、インドの5カ国が参加。総当たり戦で順位を決め、1位のチームがパリ五輪の出場権を手にします。

2位になれば世界最終予選に回り、パリ五輪への可能性は残されますが、世界最終予選はかなりの激戦区です。2021年の世界選手権の2~7位の6チームと、各大陸予選から合わせて6チームの計12チームが参加します。4チームずつの3ブロックに分かれて総当たり戦を行い、各ブロックの上位2チームに出場権が与えられます。

2021年の世界選手権で日本は11位でした。世界最終予選に回ると、格上を2つ倒さないとパリ五輪への切符をつかめません。かなりの「狭き門」になるので、アジア予選でパリ五輪行きを決めておきたいところです。

ヤマ場は最終日の韓国戦

韓国の得点源はリュウ・ウニ

アジア予選では、おそらく最終日の韓国戦が優勝(=パリ五輪行き)をかけた大一番となるでしょう。直近の世界選手権では日本が11位に対して、韓国は14位でした。この数字にだまされてはいけません。韓国の女子は1988年のソウル五輪、1992年のバルセロナ五輪で2大会連続金メダルを獲得するなど、2008年の北京五輪まではメダルの常連国でした。

近年は選手層が厚くないため、世界選手権のような長丁場で好成績を残せていませんが、一発勝負になれば世界のメダル級に勝てるだけの力をまだ秘めています。

日本が韓国との国際試合で勝ったのは、記録のうえでは2012年のジャパンカップが最後です。この時はお互いに若手を起用したため、フルメンバーでの勝利とは言えません。それ以前にも韓国がメンバーを落とした時に勝ってはいますが、ガチンコ勝負で勝ったと言えるのは、2010年アジア大会が最後かもしれません。

対韓国戦、日本は7勝2分58敗

韓国のイ・ミギョンは日本リーグでも活躍した

日韓戦の通算成績は、日本の7勝2分58敗。女子に関しては「アジア№1は韓国」の図式が40年以上続いています。

日本が韓国の喉元に迫ったのが、昨年のアジア選手権決勝でした。日本は前半から丁寧なセットOFで良質な得点を積み重ねていきます。佐々木春乃(ドルトムント/ドイツ)、中山佳穂(北國銀行)がロングシュートを放つ時は、必ず大型ピヴォットの永田美香(北國銀行)がDFの間に入っていました。単発のロングシュートではなく、常にピヴォットへのパスをにらみながらロングシュートを選択できる形を作るあたりは、さすが楠本繁生監督です。センターの相澤菜月(北國銀行)の間違いの少ないゲームメイクもあり、前半だけで16-10と点差を広げました。

延長戦、シュートねじ込まれ逆転負け

しかし後半に韓国が巻き返します。リュウ・ウニとイ・ミギョン(元オムロンほか)の2人が、かなり強引にシュートをねじ込んできました。日本が組織的にロングシュートを組み立てていたのに対し、後半の韓国はほぼ個人技。特にリュウ・ウニのシュートには理屈を超越したすごみが感じられました。日本もパスカットのうまい吉留有紀(北國銀行)、クレバーな初見実椰子(三重バイオレットアイリス)らをDFに入れて対抗しましたが、リュウ・ウニの前に何もできませんでした。後半終了で27-27と追いつかれ、延長戦ではホームの韓国びいきにも見える判定もあって、29-34で敗れました。

歴代最高の組織力で挑んだ日本に対して、問答無用の個の力で決めてきた韓国。世界的な左腕のリュウ・ウニと、日本でも長くプレーしたイ・ミギョンの2人をどう止めるかが、パリ五輪アジア予選でも重要なポイントになってきます。特にライトバックのリュウ・ウニを止める左の2枚目(DFの左端から数えて2人目)にだれを起用するかが見どころです。楠本監督のことでしょうから、吉留や初見の他にもオプションも用意しているはず。アジア予選では、リュウ・ウニを止める秘策に期待しましょう。

楠本繁生監督と「おりひめジャパン」のチーム力

女子日本代表の楠本繁生監督は、大阪体育大でインカレ9連覇

ハンドボール女子日本代表(おりひめジャパン)は、2008年の黄慶泳監督(現・三重バイオレットアイリス監督)の就任以降、世界で戦えるレベルになってきました。その後も栗山雅倫監督(東海大監督)、デンマークから来たウルリック・キルケリー監督が代表チームを強化し、東京五輪後の2021年10月から楠本繁生監督体制になりました。楠本監督は洛北高、大阪体育大を何度も日本一に導いた名将で、大阪体育大と代表の監督を兼任しています。昨年にはインカレ9連覇を達成しました。

判断力を鍛え、組織力を練り上げるために、一切の妥協を許しません。歯を磨くように2対2(バスケットボールで言うピック&ロールのような、ピヴォットを絡めた駆け引き)を日々積み重ね、常に選択肢を持ったなかでのプレーを落とし込んでいきます。

時間をかけてチームを作り上げる指導スタイルのため、即席チームを短期間でまとめる代表監督はどうなのかと見る向きもありましたが、大阪体育大の教え子を中心にうまく戦っています。オールスターのようなワクワク感はないものの、しっかりとした意思統一のもと、地に足のついた戦いを続けています。

「スペシャルなしでも格上に勝てる」信念

クレバーな初見実椰子はDFのカギを握る1人(写真はソニー時代のもの)

誤解しないでほしいのですが、楠本監督は教え子とハンドボールをやりたいのではありません。U24の世界学生選手権で監督を務めた時から、楠本監督は東京女子体育大出身の初見を重用していました。初見は人と合わせるのがとても上手で、行く先々で高いハンドボールIQを評価されている選手。楠本監督はクレバーな選手を好み、判断力のある選手を集めて勝とうとしているのです。間違いのない判断力と最高の組織力があれば、スペシャルな選手がいなくても格上の相手に勝てる――。洛北高、大阪体育大で培った信念は、代表監督になっても揺るぎません。

「おりひめ」の核、24歳の相澤&中山

センター相澤は得点力と判断力を兼ね備える

日本の核になるのは、センターの相澤と右バックの中山。ともに大阪体育大で楠本監督の教えを受け、楠本監督が日本代表を率いると同時に、日本の中心選手になりました。相澤は常に冷静なプレーメーカーで、なおかつシュート力があります。非常に完成度が高く、日本のセンターではレジェンドの田中美音子(現大阪ラヴィッツ監督・日本リーグ歴代最多得点記録保持者)以来の逸材と言われています。

ライトバック中山のシュート力はワールドクラス

左利きの中山は世界でも通用するロングシュートの持ち主。大きくインに回り込んで放つロングシュートだけでなく、アウトスペースを割る動きもできて、バランスのいい点取り屋です。韓国にイ・ミギョンとリュウ・ウニがいるなら、日本には相澤菜月と中山佳穂がいます。韓国の2人が30歳を過ぎたベテランであるのに対し、日本の相澤と中山はまだ24歳とこれから最盛期を迎えます。日本と韓国が誇る「司令塔&大型左腕対決」も見逃せないポイントです。

”東京”は開催国枠、48年ぶり「自力」出場を

永田美香は攻守の要。180㎝の長身でありながら機動力もある

前回の東京五輪は開催国枠での出場でした。自力での五輪出場は1976年のモントリオール五輪が最初で最後。自力でパリ五輪に行くことが、日本のハンドボールの未来につながることは、誰もが理解しています。8月は広島でおりひめジャパンに熱い声援を!歴史を変える可能性は十分にあります。

公益財団法人日本ハンドボール協会

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