サッカー男子日本代表は2026年6月25日(日本時間6月26日)、米国テキサス州アーリントンのダラススタジアムで北中米ワールドカップ・グループF最終戦臨み、スウェーデンと1-1で引き分けた。1勝2分で勝点5を積み上げ、グループ2位で決勝トーナメント進出が決定した。グループステージ無敗は2002年の日韓ワールドカップ以来24年ぶりで、自国開催以外では初となる。
ラウンド・オブ・32で日本は6月29日午後7時(日本時間6月30日午前2時)にグループC首位通過のブラジルとヒューストンスタジアム(NRGスタジアム)で対戦することになった。
難しい展開で手堅くドロー
70,137人の観衆が駆けつけた試合は、スコアレスで折り返す。そして55分に右サイドの菅原由勢が中央に入れたボールを堂安律が上田綺世とワンツーパスで撹乱してペナルティエリア内に流す。そこに左サイドから走り込んでいた前田大然がワントラップし倒れ込みながら右足でゴール左に決める。流れるような4本のパスによる絶妙なコンビネーションで日本が先制した(1-0)。
62分には、右サイドでボールを受けたアントニー・エランガ(ニューカッスル・ユナイテッドFC)が、カットインから左足で放ったシュートは弧を描きゴール左に決まる。卓越した個人技でスウェーデンに同点に追いつかれた(1-1)。(下に記事が続きます)
長友が歴代最多5大会連続のW杯出場
75分に中村敬斗に代わって長友佑都が出場し、日本代表で歴代最多となる5大会連続のワールドカップ出場を果たした。
試合終盤に差し掛かり、勝利したいがそれ以上に失点はしたくないという難しい舵取りが求められる状況で、森保一監督は長友佑都を投入した。
他会場ではオランダがチュニジアにリードしており、日本は大量得点で勝利しない限りグループ1位になるのは難しく、最少得点差で勝利しても引き分けでもグループ2位になることが濃厚だった。そこで、森保一監督は手堅い戦い方を選択した。
無理に試合のリズムを崩さずに体力の消耗も抑え、良い状態でノックアウトステージに臨むことを選んだのだ。(下に記事が続きます)
ブラジルとのリターンマッチに森保監督は勝負師の顔
決勝トーナメント1回戦の相手はブラジルに決定した。2006年ドイツワールドカップでは1-4で屈したブラジルに対して、2025年の親善試合で初勝利を収めた日本。
1日前にグループを終えたブラジルが中4日なのに対して日本は中3日での対戦でやや不利ではあるが、日本はターンオーバーを行いチームの疲労は限定的だろう。
決勝戦にピークを持っていくことを念頭に置くブラジルは7割程度の仕上がり具合だろうが、日本は先のことを考えずにこの一戦に賭ける必要がある。
グループFを1位通過していれば、モンテレイでモロッコと対戦することになっていた。空調が効いているヒューストンスタジアムでの試合は、長期的な体力の消耗を抑えることにもつながる。しかし、それは勝ち上がることができればの話だ。
ブラジルではなくモロッコとの組み合わせを目指すべきだと筆者は考えていた。ブラジルよりモロッコの方が日本が勝てる確率が上がると見立てていたからだ。
モロッコはメキメキと力をつけておりチームの完成度は高く、ブラジルと対等に渡り合った。一方、歴代最強とは言えず日本に初勝利を献上してしまったセレソンではあるが、乘ってしまった時の個々の破壊力は頭で分かっていても止められるものではない。
さらに、新興国である日本に2連敗すればサッカー王国の面目丸つぶれであり、血相を変えて迎え撃ってくる。モロッコも個々の能力の高いチームではあるが、それに加えて優れた組織力を持つ。組織力は日本も世界屈指であり、まだ対抗できる余地がある。
しかし、試合後の森保一監督は、ブラジルとの対戦が確定すると、ギラギラと目を輝かせ勝負師の表情をして歓迎した。森保ジャパンの勝算は、いかなるものなのだろうか。(下に記事が続きます)
七変化のカメレオン作戦
オランダ戦からチュニジア戦では4人の先発メンバーを入れ替えた日本代表は、チュニジア戦から先発メンバーを3人(前田大然、瀬古歩夢、菅原由勢)入れ替えてスウェーデン戦に臨んだ。
グループステージ終了時点で出場機会がなかったのは、体力の消耗が限定的で試合中の交代が稀なポジションであるGKの早川友基と大迫 敬介、そして追加招集で体調を崩していた町野修斗を合わせた3選手のみだった。
代表チームは合同で練習する機会が少なく、連携を高めてチーム力をアップさせるためにもある程度メンバーを固定するのが一般的だ。しかし、2022年カタールワールドカップで伏兵コスタリカに足元をすくわれ、心身ともに憔悴しきってPK戦でクロアチアに敗退した経験を踏まえて、第2次森保ジャパンはターンオーバーでしっかりとワールドカップを勝ち上がっていく戦略を立てて、4年間にわたり準備を進めてきた。とりわけ、連携が重視される守備陣の大幅入れ替えは異彩を放っている。
フィールドプレーヤーで唯一グループステージにフル出場した伊藤洋輝は、以前に筆者が「不動の左センターバック」と評価した通り、代えの利かない存在になっている。長期の負傷から明けて間もなく、酷使の長期的な影響は気がかりではある。しかし、それ以外のセンターバックは、もはやどの組み合わせになるのかはその時の状況次第といったところだ。
他のフィールドプレーヤーで、出ずっぱりの選手は皆無である。これにより、選手の鮮度は高く維持できている。鮮度とチーム力を高く維持できるかは別問題であるが、森保一監督はその両立を可能にし、稀有な手腕を発揮している。
この戦略には、もう一つの効果が期待できる。対戦相手の日本分析が困難になるのだ。キックオフ直前にチームシートを見るまで、ブラジルは日本のどの選手が出場するか見当がつかない。システムこそ【3-4-2-1】がベースになっているが、日本はまるでカメレオンのように七変化するとらえどころのないチームだと対戦国の目には映っていることだろう。そして、負傷した久保建英と板倉滉は間に合うだろうか。
「ブラジルと対戦する前に元日本代表監督のジーコに連絡を取る」と言って微笑んだ森保一監督。果たしてブラジルを相手に公式戦の初勝利を収めることはできるだろうか。



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