サッカー男子日本代表は2026年6月20日(日本時間6月21日)、メキシコ・ヌエボ・レオン州グアダルーペのエスタディオ・モンテレイで北中米ワールドカップ・グループFの第2戦チュニジア戦に臨み、4-0で勝利し勝点3を獲得、決勝トーナメント進出に向けて大きく前進した。チュニジアは、ワールドカップ敗退が決定した。
「カルタゴの鷹」初のW杯中の監督交代
記念すべきワールドカップ1000試合目の直前には相手陣営で、きな臭い動きが表面化していた。
チュニジアサッカー連盟(TFF)は、グループF初戦でスウェーデンに1-5で大敗すると2026年1月に就任したばかりのサブリ・ラムシ氏を電撃解任し、後任としてエルヴェ・ルナール新監督の緊急登板を発表したのだ。
本大会開幕後の新監督就任は、ワールドカップ史上初であり、日本には不気味に映った。日本陣営も公開情報は最小限となり、互いに煙幕を張ったなかで当日を迎えた。
51,243人の観衆を集めた球場は情報飢餓の異様な緊張に包まれた状態で第2戦が幕開けした。(下に記事が続きます)
上田綺世、日本初のW杯1試合2得点
試合が始まると、日本は早々の4分に左サイド深くに切り込んだ中村敬斗のクロスに、鎌田大地が左足ヒールでフリックして先制(1-0)。
10分には左CKを伊東純也がクロスし、GKが弾いたボールを拾った上田綺世が1トラップでゴール方向を向くと、右足を一閃。相手選手に当たったボールはゴールライン上でGKが掻き出し、ノーゴールの判定。冨安健洋が詰めたがポストの外に外れた。
31分に板倉滉が入れたクサビのパスを受けた上田綺世が、ドリブルから右足で相手選手の股間を打ち抜きゴール左下にミドルシュートを決める(2-0)。合掌して目を閉じ天を仰いだ上田綺世。
69分には、田中碧のクサビのパスに上田綺世がポストプレーでフリックすると、伊東純也が3人目の動きで相手ディフェンスラインを抜け出しGKと1対1の場面。ゴール右隅に落ち着いて流し込み、試合を決定づける追加点(3-0)。
83分には、佐野海舟が伊東純也とのパス交換で右サイド深くに走り込み、ふわりと高く上げた右足クロス。上田綺世が滞空時間の長いヘディングで、相手の頭上を超える技ありゴールを決めると両腕を左右に広げた(4-0)。
上田綺世は、ワールドカップにおける日本初となる1試合2得点を記録。10分に発生した「上田の1ミリ」がゴール判定となっていればハットトリックもありえた。この試合では1アシストも決め、最優秀選手に選出された。(下に記事が続きます)
日本史上最多W杯通算3勝目、森保監督の筋書き通り
森保一監督は、日本代表史上最多のワールドカップ通算3勝目となった。日本は初戦から4選手を入れ替えてチュニジア戦の臨んだが、その采配から指揮官の心の中を覗き見ることができる。
システム【3-4-2-1】の日本に対してチュニジアは【5-4-1】で事前の大方の予想通り守備を固めてきた。
オランダ戦で活躍も無念の負傷交代した久保建英に代わって伊東純也が先発した。これまでジョーカー的な役割を果たすことの多かったベテランの伊東純也(33)を先発させたことは、前半から勝負をかけるという森保一監督の意思の表れでもある。その狙い通りに、日本は立ち上がりに2得点を決めた。
前田大然に代わって守備的MFで田中碧が先発したのに伴い、鎌田大地が一つ前のシャドーストライカーの位置に入った。
強豪オランダに対する前線の守備を意図して抜擢した前田大然に代わり、日本がボールを支配することが予想されるチュニジア戦では、ボールプレーにより試合をコントロールすることに長け、得点センスもある鎌田大地を攻撃的なポジションに配置した。
初戦でも得点した鎌田大地が先制点を決め、ズバリ采配が当たった。南野拓実、三笘薫、久保建英が負傷し、鈴木唯人も鎖骨骨折が癒えたばかりだ。守備的MFでのプレー希望を明言している鎌田大地を前のポジションに戻す可能性は筆者が以前に予見したが、厳しい台所事情で考え抜いた末の苦肉の策ということもできるだろう。
センターバックは渡辺剛と谷口彰悟に代わって、冨安健洋と板倉滉が先発した。守備陣は戦力が充実しており甲乙つけがたい。守備を固めるオランダ戦から代わった2選手は、前にボールを持ち出すことを得意としており、さらには共にアヤックス・アムステルダムでプレーしているため、コンビネーションの練度も高いため、2人をセットとしてターンオーバーしたことが考えられる。
チュニジアのエースであるハンニバル・メイブリ(バーンリーFC)に、同じくイングランドでのプレー経験のある冨安健洋をマッチアップさせて見事に抑え込んだ。
シュート本数は、チュニジアが2本(枠内0本)に対して、日本は11本(枠内5本)と圧倒した。(下に記事が続きます)
3点目が決まりクローズに舵
69分に勝利を決定づける日本の3点目が決まると森保一監督は、守備固めの選手交代に動く。73分に鎌田大地に代えて鈴木淳之介、74分に堂安律に代えて菅原由勢を投入。
79分に中村敬斗と冨安健洋に代えて、鈴木唯人と瀬古歩夢が投入された。
この日2得点1アシストの上田綺世に代えて、84分に後藤啓介が投入された。
チュニジアを無得点に抑え、さらにはワールドカップで日本代表の歴代最多となる4得点を記録した。先行逃げ切りという森保ジャパンのゲームプラン通りに進んだ試合だった。
大量得点差をつけたことで余裕を持った選手交代を行えて、心身ともに体力の損耗を抑えることに成功した。これは、勝ち進んでいくなかでチームの活力を維持することにもつながるだろう。


Pen&Sports ニュースレター(無料)に登録する
スポーツ特化型メディア“Pen&Sports”[ペンスポ]は毎週、無料ニュースレターを配信しています。原田亜紀夫編集長が勝ち負けを伝えるだけに終わらない、舞台裏のストーリーや本質に焦点を当てたコラムをお届けします。読めばニュースの見方が多面的になり、きっと気づきがあるはずです。登録・解除はいつでも可能です。





![Pen&Sports[ペンスポ]スポーツ特化型メディア](https://sports.pen-and.co.jp/wp-content/uploads/2026/01/スポーツを深くしる手書き_白字.png)




\ 感想をお寄せください /