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【バレーボール】石川真佑、関菜々巳、福留慧美。三者三様ほろ苦 コッパ・イタリアデビュー

優勝したコネリアーノの関菜々巳(右)と準優勝ミラノの福留慧美(左)は初出場でメダルを手にした=2025年2月9日、写真提供:Maurizio Lollini@3mmedia.it
優勝したコネリアーノの関菜々巳(右)と準優勝ミラノの福留慧美(左)は初出場でメダルを手にした=2025年2月9日、写真提供:Maurizio Lollini@3mmedia.it
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バレーボールのイタリアリーグ女子1部(A1)の前半上位8チームで行われるコッパ・イタリアでは、準々決勝を勝ち抜いた4チームによる「ファイナル4」が2025年2月8〜9日にボローニャのウニポル・アリーナで開催された。リーグ戦で21戦全勝のコネリアーノ(リーグ1位)に所属する日本代表セッター・関菜々巳(25)、ミラノ(リーグ2位)に所属する日本代表リベロ・福留慧美(27)のイタリア1年目コンビはもちろん、ノヴァーラ(リーグ4位)に所属する日本代表OH・石川真佑(24)も2年目で念願の「ファイナル4」初出場となった。準決勝では約7000人、決勝では9000人の観衆が見守る中、日本人3選手はどんな思いで戦ったのか。2024年秋にも独占インタビューをした3選手が、それからのシーズンをどのように過ごしているのか、現在の状況もあわせてレポートする。

目次

途中交代、2得点の石川「決めきれず情けない」

MVPを受賞したコネリアーノMB・ファールに阻まれる石川真佑。実質2セットの出場で、2得点に終わった=2025年2月8日、写真提供:foto Rubin - Zani / LVF
MVPを受賞したコネリアーノMB・ファールに阻まれる石川真佑。実質2セットの出場で、2得点に終わった=2025年2月8日、写真提供:foto Rubin – Zani / LVF

関菜々巳のコネリアーノと石川真佑ノヴァーラが対戦した準決勝の第1試合は、コネリアーノがストレートでノヴァーラを下した。試合後に関が石川に駆け寄ってくると、再会の喜びから笑いが止まらない二人。しかし談笑した後に関が去ると、石川はまた曇った表情に戻った。

今季無敗のコネリアーノに対し、ノヴァーラのベルナルディ監督はOHしか入ったことのないアルスマイヤーを初めてOPに、OHには石川とトロクを据える新フォーメーションの奇襲作戦に出た。その作戦が功を奏したのか、ストレート負けに終わったものの、第2、第3セットは最後までコネリアーノを苦しめた。敗戦の理由を石川は「最近の試合も勝ったり負けたりで、この試合の中でも波があった」と述べたが、その後はたった2得点しかあげられなかった自分自身への反省の言葉を並べた。

序盤からコネリアーノの高いブロックに再三つかまった石川に、トスが上がる回数がだんだんと減ってゆく。数少ないトスが上がった時も決めることができず、さらにトスが回ってこなくなる、の繰り返し。「自分が決めきれないせいでトスが別の選手に偏り、相手ブロッカーを容易にさせてしまった」と言葉を絞り出すように語った。

3セット目はスタメンから外れ、終盤にリリーフサーバーとしてコートに戻ったのもつかの間、石川のコッパ・イタリアは幕を閉じた。「リーグ戦もCEVカップも佳境に入った今、しっかり気分を切り替えて調整していきたい」と言い残し、表情は曇ったまま会場を後にした。

悔しさだけが残った石川(左)だが、関(右)と笑顔で健闘を称えあった=2025年2月8日、中山写す
悔しさだけが残った石川(左)だが、関(右)と笑顔で健闘を称えあった=2025年2月8日、中山写す

出場なしの福留「スタメン落ちで苦しい時期」

スタメンをジェリンに譲り、ベンチを温める日々が続く福留慧美=2025年2月8日、中山写す
スタメンをジェリンに譲り、ベンチを温める日々が続く福留慧美=2025年2月8日、中山写す

どんなボールも取りこぼさずに拾いまくることから、高機能掃除機メーカー・ダイソンの愛称で親しまれている福留慧美。しかし、その「ダイソン福留」が身を潜めている。スカンディッチ(リーグ3位)をフルセットで下した準決勝も、女王コネリアーノに第1セットで37-35の死闘を演じながらストレート負けした決勝でも、コッパ・イタリアで福留は一度もコートに入ることはなかった。

準決勝ではチームが決勝進出を決め、その勝因を「ブロック&ディフェンスのシステムがよく機能した」とうれしそうに述べた福留。決勝の後は「ここという時にレセプションがよくなかったり、ミスが出て惜しかった」と敗戦の弁を述べつつも、初コッパ・イタリアで銀メダルを受け取り笑顔も見えた。しかしコートに立てていないことに対しての気持ちを聞くと、神妙にその心情を吐露し始めた。

変化が訪れたのは、1月5日の同じ日本代表の石川真佑が所属するノヴァーラ戦。フルセットの末にノヴァーラが勝ったその試合で、1セット目を先取したミラノが第2セットに入って8-20と大幅にリードされた時、福留はベンチに下げられた。「チーン、という感じで。それから体調崩して熱も出て、またまたチーンでした」。「何をしにイタリアに来たんやろ、とも思った」と言うように、かなり落ち込んだ。しかし、体調が回復したところで気持ちが吹っ切れたと言う。

ラヴァリーニ監督も福留と話をしたかったようだが、言葉の問題でなかなかきっかけがつかめずにいた。その後のホームゲームでよく応援に来てくれる日本人高校生が助けてくれたこともあり、福留も監督の気持ちがようやく分かった。技術的な問題ではないので、いつでも試合に出られるように今まで通り練習に励んで欲しい、そんな言葉に「ちゃんと見てくれてるんだな、って。今は練習の試合形式でBチームにいて、相手にエゴヌなどトップ選手がいるので、しっかり練習したい。コートに立ったら自分の良さを出せるように」と笑顔で締めくくった。(下に記事が続きます)

今季3冠目も涙の関「サーブミスが悔しすぎて」

準決勝では2度、決勝では1度、リリーフサーバーとしてコートに立った関菜々巳=2025年2月8日、写真提供:foto Rubin - Zani / LVF
準決勝では2度、決勝では1度、リリーフサーバーとしてコートに立った関菜々巳=2025年2月8日、写真提供:foto Rubin – Zani / LVF

決勝後の第一声で「こんな大きな会場でできるのはめったにないですし、初めてのコッパだったので楽しみました!」と、声を弾ませた関菜々巳。しかし、準決勝のノヴァーラ戦では第2セット23-21の場面と、第3セットの22-20の場面とで2回、決勝のミラノ戦では第1セットの21-20の場面でリリーフサーバーとしてコートに入った時は、かなり緊張したと言う。準決勝では緊張しつつもサーブは成功したが、決勝ではボールはエンドラインを割った。優勝決定後に盛り上がっている中で涙を流してデ・ジェンナーロなどにハグで慰められていたのも、このサーブミスに対して「なかなかチャンスがあるわけではないのに、あまりにも悔しくて」と振り返った。

第1セットはミラノに4度もセットポイントを握られながらも、最後は37-35でコネリアーノに軍配が上がった。その強さの秘密を聞いてみると、「真剣に毎日の練習を繰り返し続けている結果、勝負どころで言われた戦略をしっかり遂行できること、いつも変わらず楽しみながら、当たり前のことを当たり前にできる精神力」だと言う。そして優勝してもなお、「あのボールをあげられなかった」などと現状に決して満足しないところ、勝ち負けでなく自分たちのバレーを見せられたかどうかにこだわることが圧倒的な強さになっている、と分析する。

「ここにいられるだけでも貴重な体験。シーズンも残り少なくなっているので、世界トップの選手が間近にいるすばらしい環境を無駄にしないように、1日1日を大切に目標を持って過ごしています」と決意を新たにしている。(下に記事が続きます)

連勝街道まっしぐら、コネリアーノ貫禄V

今季はスーペル・コッパ、世界クラブ選手権そしてコッパ・イタリアと、出場大会すべてで優勝しているコネリアーノ=2025年2月9日、写真提供:foto Rubin - Zani / LVF
今季はスーペル・コッパ、世界クラブ選手権そしてコッパ・イタリアと、出場大会すべてで優勝しているコネリアーノ=2025年2月9日、写真提供:foto Rubin – Zani / LVF

コネリアーノはこの優勝で、コッパ・イタリアの6連覇を達成した。今季はスーペル・コッパ7連覇に始まり、世界クラブ選手権でも優勝、チャンピオンズリーグもリーグ戦も現在まで無敗を続けている。連勝だけではない。フルセットになることもなく、勝ち点を1ポイントたりとも落としていないのだ。

リーグ戦は残り3試合となった。コッパ明けのコネリアーノは、同2位のミラノと同4位のノヴァーラと上位との対戦が続く。プレーオフへの1位通過は確定しており、プレーオフも盤石と予想される。いっぽうで2〜4位までは5ポイント差以内にひしめく大混戦だが、この上位4位までが変わることはなさそうだ。焦点は、いったいどのチームがコネリアーノを倒すのか? その一点に絞られると言っても過言ではない。

石川、福留、関のそれぞれが課題をもって終えたコッパ・イタリア。悔しい思いを胸に、残りのリーグ戦、そしてプレーオフでの躍動を期待する。

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