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【ハンドボール】パリ五輪代表の玉川、髙野「応援を力に」。母校の浦和学院高で壮行会

浦和学院高の壮行会で激励を受けたハンドボール男子日本代表の玉川裕康と髙野颯太
浦和学院高の壮行会で激励を受けた玉川裕康と髙野颯太=2024年7月9日、原田写す
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パリ五輪に出場するハンドボール男子日本代表(彗星JAPAN)にPV玉川裕康(29)=ジークスター東京=、LW髙野颯太(25)=トヨタ車体=の卒業生2人を送り込んだ埼玉・浦和学院高等学校(さいたま市緑区)が2024年7月9日、2人のオリンピアンを激励する壮行会を開いた。

目次

2人とも東京五輪代表「落選」からリベンジ

浦和学院高在校生の激励を受けた玉川裕康(左)と髙野颯太
浦和学院高在校生と記念撮影する玉川裕康(左)と髙野颯太

玉川、髙野ともに五輪代表は初選出となる。

日本代表で最も背が高い2m00cmの長身を生かしたディフェンスとポストプレーからの得点が期待される玉川は、3年前の東京五輪直前の代表選考合宿で腰を痛め、メンバーを外れた苦い過去がある。東京五輪の期間はヘルニアが悪化し、車いすで神奈川県川崎市の日本鋼管病院に入院した。病床のテレビで仲間たちの五輪の戦いを観ていた。

玉川は8年ぶりの母校訪問で後輩たちを前に力強く語った。「東京五輪は選考合宿でけがをして悔しい思いをしましたが、今回こうしてパリ五輪の代表に選ばれた。ハンドボールをもっと多くの人に知ってもらうためにも、日本代表として、そして浦和学院代表として精一杯頑張ってきます」

攻守にユーティリティー性が光る髙野も東京五輪代表候補だったが、直前で落選。パリ五輪代表に晴れて選出された今回、母校を6年ぶりに訪問し、「パリ五輪では自分の持っている力を最大限発揮したい。みなさんの応援は本当に力になります」と語り、憧れの視線を向ける在校生から喝采を浴びた。

岩本総監督「みんなが感動するプレーを」

2人を育てた同校の岩本明総監督(62)は「2人とも高校時代から類まれなハンドボールのセンスがあり、性格も素直で学校中から愛されていた。これは将来、日本代表になる器だと感じていたので、私もそうなるように育てなければと責任を感じていた」という。

壮行会のあいさつで岩本明総監督は「今まで君たちがお世話になった方々への感謝の気持ちを忘れずに、最高の準備をして、パリ五輪では全力で戦ってほしい。みんなが感動するようなプレーを期待しています。頑張ってください」とかみしめるように語りかけた。(下に記事が続きます)

浦学、全国選抜大会2度優勝の強豪

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壮行会を美爆音で盛り上げた浦和学院の吹奏楽部メンバー
壮行会を美爆音で盛り上げた浦和学院の吹奏楽部メンバー
東京五輪ハンドボール男子日本代表キャプテンだった土井レミイ杏利さんも浦学の卒業生。廊下にはサインが飾ってあった。
東京五輪ハンドボール男子日本代表キャプテンだった土井レミイ杏利さんも浦学の卒業生。廊下にはサインが飾ってあった
さすが浦学。全校生徒約2,400人のマンモス校。校内にファミリーマートがある。
浦学は全校生徒約2,400人のマンモス校。校内にファミリーマートがある

浦和学院といえば、全国屈指のハンドボール強豪校。全校生徒約2,400人のうち男子ハンドボール部員は31人。春の全国選抜大会は過去に優勝2回、準優勝1回。夏の全国インターハイでは準優勝2回、3位4回。今年も33年連続でインターハイ埼玉県予選を勝ち上がり、来月8月の全国北部九州総体(インターハイ)でも虎視眈々と初優勝を狙っている。

TikTok動画で人気の「レミタン」で知られた東京五輪ハンドボール男子日本代表当時のキャプテン、土井レミイ杏利さん(34)も卒業生。数々の日本代表選手を育てた岩本明総監督が浦学ハンドのベースを築き、2021年秋から息子の岩本岳監督(29)が現場指導を受け継いでいる。玉川、髙野はそんな浦学から巣立ち、大学、社会人で愚直に技術を極め、パリ五輪日本代表にまでたどり着いた。

玉川を初取材したのは10年前

フェロー諸島戦でプレーする玉川
パリ五輪前の国際親善試合・フェロー諸島戦でプレーする玉川=2024年7月3日、東京・代々木第一体育館でⒸPen&Sports

筆者は玉川に特に思い入れがある。初めて玉川を取材したのは10年前の2014年8月、イラン・タブリーズで開かれたジュニア・アジア選手権だった。

私は当時、北京五輪予選などでハンドボールのフェアプレーを歪めた「中東の笛」を吹いた審判の調査報道のためにイラン入りしていた。そこで開かれていた大会でU21日本代表として戦っていたのが、浦和学院高を卒業して国士大1年になったばかりの玉川だった。

その選手団の近森克彦団長や、滝川一徳コーチのはからいで、チーム宿舎でのミーティングから食事会場、練習、バス移動に至るまで、記者という分際なのに招いていただき、まるでチームスタッフのような歓迎を受け、1週間以上にわたり密着取材した。そして、この大会でU21日本代表は30年ぶりに世界ジュニア選手権の切符を勝ち取った。

U21当時の玉川は、チーム最長身の198㌢が目を引いたが、今とは比べ物にならないほど線が細かった。なにより、ナイスガイ過ぎて、気持ちも優しいからか、ほかのメンバーに比べてやや闘争心にかけ、遠慮がちにも見えた。そんな玉川は、父の母国であるイランに入ってから急性胃腸炎になり、まともに食事が喉を通らない日が続いた。

「近森団長が自分を心配して作ってくださったおかゆまで吐いてしまいました」と、7月1日のフェロー諸島戦後に当時を振り返った玉川。あれから10年、玉川は心身共に見違えるようにたくましくなった。9月開幕の新リーグ「リーグH」に臨むジークスター東京では新キャプテンを務めることが決まっている。(下に記事が続きます)

10年前のU21代表からパリ五輪代表は3人

パリ五輪前の国際親善試合・フェロー諸島戦でプレーする徳田新之介=2024年7月3日ⒸPen&Sports
パリ五輪前の国際親善試合・フェロー諸島戦でプレーする徳田新之介=2024年7月3日、=2024年7月3日、東京・代々木第一体育館でⒸPen&Sports

2014年8月ジュニアアジア選手権(U21)の日本代表メンバーを改めて見てみると、このなかから玉川のほかに、徳田新之介、坂井幹(いずれも当時筑波大)の3人だけがパリ五輪日本代表メンバーに入った。徳田は点取り屋として当時から異彩を放っていたが、あまり目立たなかった玉川、坂井が10年の時を経て、フル代表に選ばれているのが興味深い。

【2014年8月ジュニアアジア選手権(U21)日本代表メンバー】

日本ハンドボール協会(JHF)ホームページより

彗星JAPANの出身高校:私立8人、県立9人

前列左から中村匠、安平光佑、櫻井睦哉、杉岡尚樹、吉田守一、部井久アダム勇樹、徳田新之介、渡部仁、岡本大亮。後列左から元木博紀、玉川裕康、吉野樹、藤坂尚輝、髙野颯太、坂井幹、水町孝太郎、笠原謙哉=2024年6月28日、久保写す(以下すべて)
前列左から中村匠、安平光佑、櫻井睦哉、杉岡尚樹、吉田守一、部井久アダム勇樹、徳田新之介、渡部仁、岡本大亮。後列左から元木博紀、玉川裕康、吉野樹、藤坂尚輝、髙野颯太、坂井幹、水町孝太郎、笠原謙哉=2024年6月28日、撮影:久保弘毅

パリ五輪に臨むハンドボール男子日本代表の出身高校を改めて調べた。

AP選手を含めた17人の選手のうち、2人を代表に輩出したのは浦和学院高のほか、元木博紀、櫻井睦哉の茨城・藤代紫水高と、岡本大亮、徳田新之介の山口・岩国工業高の3校だけだった。あとの選手の出身校はバラバラだ。パリ五輪日本代表の17人のうち私立高出身は8人。半数以上の9人が県立高出身と健闘している。これもハンドボールならではの特徴だろう。

背番号選手年齢出身高校 ★は私立
1中村 匠27福岡県立福岡魁誠高校
2安平 光佑24富山県立氷見高校
4櫻井 睦哉24茨城県立藤代紫水高校
9杉岡 尚樹30★大阪・桃山学院高校
13吉田 守一23和歌山県立那賀高校
15部井久 アダム勇樹25★福岡・博多高校
19徳田 新之介28山口県立岩国工業高校
20渡部 仁34大分県立大分舞鶴高校
21岡本 大亮29山口県立岩国工業高校
25元木 博紀32茨城県立藤代紫水高校
27玉川 裕康29★埼玉・浦和学院高校
31吉野 樹29★千葉・市川高校
39藤坂 尚輝22★福井・北陸高校
44髙野 颯太25★埼玉・浦和学院高校
17坂井 幹28神奈川県立有馬高校
38水町 孝太郎29★福岡・西南学院高校
74笠原 謙哉36★福島・聖光学院高校
ハンドボール男子日本代表

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