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【車いすハンドボール】9/16-世界選手権。日本代表11人、狙いは初出場初V

2024年8月24-25日の代表合宿に参加した14名の選手たち(久保写す、以下すべて)
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日本車椅子ハンドボール連盟はこのほど、2024年9月16日からエジプト・カイロで開かれる第3回車いすハンドボール世界選手権(4人制)に出場する日本代表11人を発表しました。チェアスキル(車いす操作)の優れた選手がそろい、初出場初優勝を目指します。今回はカードゲームを楽しむような感覚で、いくつかの予想布陣を紹介していきます。 

目次

4人でハンディ合計12点まで。コートに女子1人も必須

車いすハンドボールでは、ハンディキャップの程度を1~4にクラス分けしています。クラス4は障がいの軽い選手。数字が小さくなるほど、障がいが重く、動きが限られてきます。車いすバスケットボールなら0.5ずつ刻みますが、車いすハンドでは0.5は切り上げになります。たとえば車いすバスケでクラスが1.5の選手は、車いすハンドだとクラス2になります。

4人制の車いすハンドでは、4人のハンディキャップの持ち点が合計12以内になるよう編成します。なおかつ女子選手が最低1人、コートにいる必要があります。GKには誰が入っても構いませんし、色違いのビブスを着る必要はありません。GKが攻撃参加して4人で攻めてもいいですし、女子選手をGKの代わりに残しておいて、戻りで交代するのもありです。このルールを理解したうえで、日本の11人をどう組み合わせるか見ていきましょう。ポイントの合計に制限があるあたりは、カードゲームにも似ています。 

日本代表メンバー紹介

日本代表メンバーです。★は女子選手。GKはキーパーができる選手。▲は左利き。名前のあとにあるのは特性(特殊能力)です。

クラス4

諸岡晋之助:エース・燃える男・ハンドボールIQ
森谷幸生:GK・攻守万能・ムードメーカー・積極性
安田孝志:ポストプレー・リーダーシップ
小貫怜央▲:爆肩・点取り屋

クラス3

伊藤優也:鉄壁・機動力・球際の強さ
平井楓花★

クラス2

永田裕幸:ボールゲームの真髄・世界で戦うメンタリティ・駆け引き・球際の強さ
木村正也:GK・鉄壁・駆け引き・大当たり
大和田洋平:GK・バランサー・ハンドボールIQ・速攻の起点
古矢千尋★:ボールゲームの真髄・バランサー
大石亜木菜★

クラス1

なし

基本ユニット:諸岡4、GK森谷4、永田2、古矢★2

諸岡(写真左)は日本車いすハンドの顔。永田(写真右)は細かいフェイクで、相手を翻弄する
諸岡は日本車いすハンドの顔
諸岡(写真左)は日本車いすハンドの顔。永田(写真右)は細かいフェイクで、相手を翻弄する
永田は細かいフェイクで、相手を翻弄する

スタートはおそらくこの4人になるでしょう。エース諸岡、攻撃参加が得意なGK森谷の2人は、健常の7人制ハンドボール経験者。チームの背骨となる2人です。ローポインター(持ち点が小さい選手)に永田、古矢と車いすバスケ日本代表経験者がいるのが心強い限り。エースの諸岡曰く「このユニットの時は、チェアスキルとスピードで相手を驚かせたい」。車いすバスケ仕込みのチェアスキルで、試合の主導権を握ります。

攻撃的1:諸岡4、小貫4、GK木村2、古矢★2

小貫(写真左)の左肩は最高の飛び道具。
小貫(写真左)の左肩は最高の飛び道具
古矢(写真右)はボールを持たない時の動きを理解している
古矢(写真右)はボールを持たない時の動きを理解している

車いすソフトボール世界MVPの小貫を入れた布陣です。車いすで40メートルを余裕で投げる小貫の左肩は、きっと世界でもナンバーワンでしょう。12~15メートルからでもロングシュートが入るし、自陣からも積極的にエンプティゴールを狙っていきます。「ゴールを狙うことで、相手に緊張感を持たせたい」と、自分の役割を心得ています。

このユニットの要になるのが、女子のローポインター古矢。自陣ではボールを運びつつ、敵陣に入ったらスクリーンをかけて、諸岡、小貫の両大砲を気持ちよく打たせる役目に徹します。「まだ車いすハンドの練習は3回目。ターンオーバーを減らしたい」と謙虚な古矢ですが、戦術理解度は車いすバスケで実証済み。「死に役」に徹することができるローポインターです。 

攻撃的2:諸岡4、小貫4、GK大和田2、大石★2

代表合宿で高い阻止率を残した大和田
代表合宿で高い阻止率を残した大和田

チェアスキルをこれから伸ばしていきたい大石を入れた場合は、GKの大和田が攻撃でつなぎ役になります。盛岡市立高校でGKだった大和田はハンドボール観がしっかりしているので、攻守に足りないところを埋めてくれます。スクリーンをかけるだけでなく、シュート力もあり、さらには速攻のパス出しが得意です。「もっと速攻のパスを出したいんですよね」と話していたように、代表合宿2日目には絶妙なパスで諸岡、小貫を走らせていました。 

ポストプレー:安田4、小貫4、GK木村2、古矢★2 

安田がポストに入ると、展開がガラリと変わる
安田がポストに入ると、展開がガラリと変わる

単発のロングシュートが増えてきた時には、最年長51歳の安田を入れて、ポストプレーでOFの組み立てを変えていきます。車いすバスケで長年センターをやってきた安田は、くさびになるプレーを心得ています。片手キャッチからのポストシュートだけでなく、DFを寄せたあとにパスを出して、小貫にロングシュートを打たせたりもできます。キャプテン兼トレーナーの安田は、みんなの心と体をケアしながら、試合でもチームを落ち着かせます。

守備型:GK森谷4、伊藤3、永田2、古矢★2(平井★3)

メンバーとの連携が取れてくれば、伊藤は最高のエースキラーになる

機動力なら日本で一番の伊藤を入れて、守備力を最大化させたユニットです。代表合宿では初めて組む選手との合わせに苦労した伊藤でしたが、気心知れたメンバーで組めたら、得意のハイプレスができるはず。あるいは相手のエースに伊藤をつけて、マンツーマンでタイトに守るのもありです。持ち点の合計が11になる組み合わせなので、女子選手でクラス3の平井を使うなら、伊藤とセットになるでしょう。 

GK併用1:諸岡4、GK森谷4、GK大和田2、古矢★2

攻守兼用でアグレッシブな森谷は、失敗を恐れない
攻守兼用でアグレッシブな森谷は、失敗を恐れない

GKができる選手を2人入れておけば、どちらかの戻りが遅れた時でも、もう1人がGKに入ればピンチになりません。GKをコロコロ代えることで、相手も戸惑います。この組み合わせは練習試合でもスムーズだったし、大和田も「とてもやりやすい」と言っていました。ダイナミックで声のよく通る森谷と、地味に阻止率の高い大和田。正反対なキャラのようで、プレーの相性はいいみたいです。

GK併用2:諸岡4、GK森谷4、GK木村2、古矢★2 

木村はキーパーらしいキーパー。高度な駆け引きでシュートを止めまくる

サッカーのGKだった木村は、シュート阻止に特化したGKです。相手の目線を見て、位置取りを変えて誘うなど、駆け引きは一級品。この組み合わせはGKを入れ替えるというよりも、森谷を攻撃に専念させるための布陣と言えます。森谷のフィールドプレーを最大限に生かしつつ、木村のクレバーなキーピングでリスクを回避できる、安定感のあるユニットです。

大西満監督さい配みもの

大西監督は合宿初日のミーティングで「目標は世界一」と言い、選手の心に火をつけた
大西監督は合宿初日のミーティングで「目標は世界一」と言い、選手の心に火をつけた

選手個々に一芸があり、ローポインターに永田、古矢、大和田、木村と実力者が揃っているから、さまざまな組み合わせが可能になりました。どのタイミングでどのユニットを使うかは、大西満監督次第。非常に優秀なモチベーターなので、選手が気持ちよくプレーできる布陣を選んでくれるでしょう。選手たちは本気で金メダルを狙っていますし、世界で金メダルが獲れるメンバーが揃いました。9月16日からの世界選手権が本当に楽しみです。

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