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【車椅子ハンドボール】9月に世界選手権 | 日本代表選考スタート

車椅子ハンドボール世界選手権に向けて、スタッフと記念撮影する代表候補の選手たち=久保写す、以下すべて
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車椅子ハンドボールは2024年9月に開催される第3回世界選手権(エジプト)へ向けて、日本代表の選考会を行っています。2月に滋賀県で開催された西地区の選考会に続いて、3月3日は神奈川県川崎市で東地区の選考会が開かれました。選考会には8人が参加し、そのうち女子選手は3人でした。有力な代表候補と大会までの流れを紹介します。

目次

初出場へ女子選手を発掘

宮本祐輔強化委員長は、車椅子ハンドボールの国際審判員の資格も持っている
宮本祐輔強化委員長は、車椅子ハンドボールの国際審判員の資格も持っている

車椅子ハンドボールの世界選手権が始まったのは2年前。2022年の第1回大会は4人制で、昨年の第2回大会は6人制で行われています。2024年9月の第3回大会は再び4人制で、2年前と同じくエジプトのカイロが開催地となります。

車椅子ハンドボールの日本代表は、世界選手権初出場を目指して、代表の選考会を行っているところです。2年前の第1回大会から出場を目指していたのですが、最終的には女子選手の応募が少なく断念した経緯があります。国際ルールではベンチ入り10人のうち、最低3人が女子選手で、なおかつコート上にも女子選手が1人いなければなりません。宮本祐輔強化委員長は「女子選手の発掘が、今回の大きなテーマのひとつ」と言っていました。

選考会はバリアフリーの高校で

川崎市立川崎総合科学高校の高層棟15階にある食堂からの眺め
川崎市立川崎総合科学高校の高層棟15階にある食堂からの眺め

選考会の会場となったのは神奈川県の川崎市立川崎総合科学高校の体育館でした。完全バリアフリーの設計で、2階の正面入り口から体育館まで段差がなく、車椅子でもトイレに行きやすい、エレベーターも完備された理想的な環境でした。会場を提供した川崎総合科学高校ハンドボール部の長村昇監督は「15階の食堂からの眺めもいいんですよ」と教えてくれました。眼下に広がる多摩川を眺めながらのお昼ご飯は最高でしょう。天気がよければ、遠くにスカイツリーも見えるそうです。食堂のさらに上、屋上にあるヘリポートからの風景は、同校HPからご覧ください。(下に記事が続きます)

有力候補4人

計測機器を使ってのタイム測定も(写真は松永ゆみな)
計測機器を使ってのタイム測定も(写真は松永ゆみな)

選考会は20m走の計測から始まり、シュートや2対1、2対2の攻防をチェックしたあと、ミニゲーム(10分×3本)で締めくくりました。選考会で目立った選手をピックアップしていきます。なお障害のクラス分けは暫定的なものです。

伊藤優也 クラス3

守備の要・伊藤優也だが、シュート力もついてきた
守備の要・伊藤優也だが、シュート力もついてきた

2023年の文部科学大臣杯日本車椅子競技大会でKnockü SC(のっきゅー)の初優勝にも貢献した、DFの達人です。選考会でも高い位置からDFで圧をかける「らしい」プレーが見られました。得意のハイプレスだけでなく、スローイングにも成長の跡が見られました。「2号球をしっかりと押さえ込んで、力を伝える感覚がわかってきた」と、積極的にロングスローを狙っていました。また本職ではないGKにも積極的に入るなど、チーム全体のバランスを見る目と危機管理能力も見事でした。

永田裕幸 クラス2

車椅子バスケの名手・永田裕幸は、車椅子ハンドにも情熱を燃やす
車椅子バスケの名手・永田裕幸は、車椅子ハンドにも情熱を燃やす

車椅子バスケットボールで2016年のリオ・デ・ジャネイロパラリンピックに出場したレジェンドが、車椅子ハンドボールにも挑戦しています。「パラの手業師」の異名を持つベテランは、ボールが違えど多彩な技を披露していました。「車椅子ハンドボールをやってみて面白かったし、世界を狙えるなら挑戦したい。車椅子ハンドの世界のレベルがどれくらいかを知らないので自分の目で見てみたい」と、アスリートらしい心意気を語っていました。バスケ歴が長いため、ハンドボールのダブルドリブルと3秒ルール(3秒以内にプレーしないと相手ボールになる)にやや戸惑っていましたが、アジャストできるはず。ローポインター(障害ポイントが低い=障害の重い選手)でありながら、攻守にハイレベルなプレーができる永田が加われば、多彩な組み合わせが可能になります。

阿部武蔵 クラス1

左手での片手キャッチからのポストシュートが、阿部武蔵(写真左)の武器
左手での片手キャッチからのポストシュートが、阿部武蔵(写真左)の武器

初顔合わせのメンバーとも積極的にコミュニケーションを取っていた左利き。阿部も2023年秋の文部科学大臣杯優勝メンバーの一員でした。四肢に麻痺が残っているため、できることは限られてきますが、自身の生き残る道をよくわかっています。「ローポインターに求められる主な役割はスピード、クイックネスだけど、僕にはできません。その代わり自分にできることをまっとうすれば、チームにも貢献できる。今回の選考会でアピールしたかったのは2点。高さのあるポストプレーとコンタクトの強度です」。国際審判でもある宮本強化委員長と最後まで話し合って、身体接触の許される範囲を理解しようと努力していました。(下に記事が続きます)

西村朝末 クラス4

タイトなDFでアピールした西村朝未(写真左)
タイトなDFでアピールした西村朝未(写真左)

今回参加した女子選手のなかで、DFの激しさでは一番でした。千葉県であった車椅子ハンドボールの体験会に参加してから興味を持ち、今回の選考会に応募したとのこと。「車椅子バスケをやっているから、接触では多少のアドバンテージはあるかな」と、持ち味を発揮していました。両膝に障害があるのですが、車椅子バスケのクラス分けでは4.5と健常者扱いになり、国際大会には出場できません。車椅子ハンドでの厳密なクラス分けがどうなるか気になるところですが、代表に選ばれれば戦力になりそうな女子選手です。

その他の有力選手

360度一回転。小貫怜央が講習会で見せたスペクタクルシュート

今回参加しなかった選手のなかにも、有力な候補が何名かいます。「車椅子ハンドボールの顔」とも言える諸岡晋之助は、今回はあえて西日本でエントリーしました。森谷幸生、村上慶太は車椅子バスケの試合(千葉市長杯)と重なり、欠席しています。2月にとどろきアリーナで車椅子ハンドの講習会を開いた小貫怜央も欠席でした。車椅子ソフトボールで世界MVPにもなっている小貫の強肩は、国際大会で飛び道具になるでしょう。欠席した選手は、後日映像チェックなどで審査されます。

また車椅子バスケでパラリンピック5大会連続出場した上村知佳も、車椅子ハンドに意欲を示していると聞きました。宮本強化委員長は「女子に関しては、今後も門戸を広げて、メンバーを集めていきたい」と言います。

2回の合宿へてエジプト大会へ

選考会の運営で中心となったKnocküの岡田美優代表(写真左)と車椅子ハンドボール日本代表の馬場康二朗コーチ

今後は6月と8月に代表合宿があり、そこで厳密なクラス分けとさらなるメンバーの絞り込みがあり、9月のエジプトでの世界選手権に挑みます。コート上の4人の障害ポイントを合計12以内にするために、どういう組み合わせがベストなのか、これから探っていくことになるでしょう。日本のチェアスキルは間違いなく世界でもトップクラス。その実力を示すためにも、女子選手を含めたメンバー集めが大事になってきます。まだ逸材が眠っているであろう中部地区など、新たな人材発掘にも期待したいところです。

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