バレーボール男子のイタリア1部リーグ、セリエAは2025年10月20日~21日(日本時間10月21日~22日未明)、イタリア各地で2025-2026年シーズンが開幕し、日本代表の石川祐希(29)が所属するペルージャは、敵地のオピクアッドアリーナでモンツァに3-1(22-25,25-16,25-23,25-19)で逆転勝ち。開幕戦を白星で飾った。
イタリアに渡り11年目、強豪ペルージャで2シーズン目を迎えたアウトサイドヒッター(OH)の石川はこの日の試合に先発し、硬軟織り交ぜたアタックで17得点、会心のブロックも決め、チーム2番手の計18得点を挙げた。トップスコアラーは19得点のOPワシム・ベンタラ。14得点(2エース、1ブロック)のOHオレグ・プロトニツキーがMVPを獲得した。石川は第4セットの8-7の場面、レフトからアタックを決めた直後、足が攣ったようなそぶりを見せて、自らベンチに退いた。
開幕スタメン、第3の男返上へ
開幕戦スタメンは信頼の証だ。昨シーズン、ペルージャ1年目の石川祐希はレギュラーラウンド全22戦で先発したのは、半分にも満たない9試合。途中出場や流れを引き戻す狙いのワンポイント起用も多く、同じポジションでサーブに破壊力があるプロトニツキ、レセプション返球率が安定しているカミル・セメニウクに出場機会を多く譲った。石川はペルージャで2年契約の2年目。そんな強豪チームの「第3の男」を返上すべく、ロレンツェッティ監督の起用に石川は淡々と応えていった。
1セット先取を許した第2セットの出足。プロトニツキの強烈なパイプに続き、石川がレフトから相手ブロックを弾く連続得点で反撃開始だ。
この日の石川は強打一辺倒ではなく、ボールを巻き込むように打つローリングショットやリバウンド狙いの軟打も織り交ぜた。「強く打て」というロレンツェッティ監督の指示を生真面目にこなした昨シーズンとは違う余裕と信頼、自由度を石川は勝ち取っていた。さらに、要所で「モンスターブロック」も見せた。モンツァ新加入エース、199センチのアタナソフの強打を192センチの石川が完璧にシャットアウトする美技も繰りだすなどして、ペルージャは20-10の大量リード。2セット目以降は、危なげなく逃げ切った。(下に記事が続きます)
フィジカルに依然、課題
チームで最も多く相手に狙われた24本のサーブレシーブも返球率63%で耐えしのぎ、MVP級の活躍を見せていた石川だったが、第4セット、突如ヒヤッとさせられた。レフトからふわっとしたアタックを決めて8-7とした直後、足が攣ったようなそぶりで、ベンチに退いたのだ。石川の表情が歪む。状況を見る限り、大事には至っていないと見たが、好調だっただけに最後までコートに立てなかったことが惜しまれる。けがをしない、勝ち切るまでチームを引っ張るフィジカルに石川は課題を残した。
昨シーズン、欧州チャンピオンズリーグを制してもペルージャは終盤に息切れする形で、イタリア国内では結局3位に甘んじた。堂々と「欧州王者」と胸を張れない、もやもやがペルージャにはある。今季最もチームが奪還したい「頂」の一つがそのセリエA優勝、すなわちスクデット。イタリア11年目の石川にとってもまだ見たことがない景色。何が何でもたどり着きたい「頂」だ。
ペルージャという巨大な「鐘」を鳴らすには小さく突いても鳴らない。響かない。鐘を突く選手が大きく、太い大木のように、力を付けなければならない。石川にはそんなインパクトがチーム内でも、ネット越しの相手にも必要だろう。20代ラストシーズン、石川のイタリア11年目の勝負が始まった。
【セリエA開幕戦の結果】※左がホーム
(10月21日)
- モンツァ1-3ペルージャ
- チステルナ0-3トレンティーノ
(10月20日)
- チヴィタノーヴァ3-1グロタッツォリーナ
- ヴェローナ3-1ピアツェンツァ
- ミラノ3-2モデナ
- パドヴァ3-2クーネオ
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