バレーボール男子のイタリアリーグ1部セリエAのペルージャで同じコートに立つ石川祐希(29)と、シモーネ・ジャンネッリ(28)の関係は深い。年齢は近く、8カ月だけ石川が年上だ。チームメートになったいまは家族同然といえるほど濃密だが、互いの国を背負う代表キャプテン同士となると火花を散らす。2024年夏のパリ五輪準々決勝で、勝利目前の日本を相手にノータッチエースを突き刺し、試合をひっくり返したのがイタリアの至宝・ジャンネッリだった。2025年2月15日、ペルージャのホームアリーナ・パラバルトンでプレーヤーとしての過去、現在、未来について聞いた。(取材・執筆=原田亜紀夫、通訳=中山久美子)
1月の4敗「学びがあった」

ーー2024年8月5日、パリ五輪の準々決勝。イタリアは日本に2セットを先取され、第3セットも21-24と絶対絶命の状況から試合をひっくり返して勝った。試合のターニングポイントとなった24-24の同点のポイントはあなた(ジャンネッリ)のサービスエースだった。
ジャンネッリ 日本代表、日本のファンのみなさんにとっては残念な結果になってしまったと思いますが、僕は僕の立場でイタリアのために、代表として全力を尽くして戦いました。日本も全力でした。それがぶつかり合った結果です。イタリアにとってはラッキーな部分もあったとは思いますが、ああいう結果になりました。日本のファンから僕は恨まれているかもしれませんね(笑)。
ーーペルージャでもキャプテンを務めている。1月はスーペルレガ(リーグ戦)で連敗したり、コッパ・イタリアでもヴェローナに負けるなど苦しんだ。チーム状況は改善しているか。
ジャンネッリ ペルージャが負けてしまったことは残念ですが、何が良かったか、何がまあまあだったのか、何がよくなかったのか、整理して学ぶことができました。その学びがあったという意味ではよかったのだと思います。
先週2月9日のグロタッツォリーナ戦で、状況は改善できていますし、チームは上向きです。太ももを負傷していたオレイ(プロトニツキ)が戻ってくれば僕らのチームは100%に戻りますし、彼が100%の状態でまたコートに立つことを希望しています。(下に記事が続きます)
石川とのコンビ「改善の途中」
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ーー石川祐希とのコンビネーションについて、最近の状況はどうか
ジャンネッリ 僕たちはたくさん練習していますし、改善している途中だと思います。僕はこれまでユーキ(石川)が組んできたセッターとは違って背も高い(200cm)ですし、タイミング、テンポも違う。最近は「速い攻撃」の練習を特にしていて、それに対しても2人で話し合いながら、徐々にうまくできるようになっています。
ーー2025年10月にはサントリーとのエキジビションマッチで来日予定だ
ジャンネッリ 2015年に銀メダルを獲得したワールドカップが最初の日本でした。それから2017年グランドチャンピオンシップ、2018年のネーションズリーグ(VNL)、そして2021年の東京五輪。日本はそれ以来ですね。僕は日本が好きなので、僕は喜んで行きたいと思います。
ペルージャの暮らしも満喫
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ーーオーストリア国境近くのイタリア・ボルツァーノ出身。ペルージャとは2027年まで契約がある。その後のキャリアプランをどう描いているか
ジャンネッリ 体が続く限りはバレーボールを続けていきたいですね。まだ僕は28歳。まだまだ成長できると思っています。優先順位としては競技続行が第一です。
そしてこのウンブリア州、ペルージャでの暮らしも気に入っています。オリーブ畑も持っていますし、ペルージャの近くのアッシジに最近、土地を購入しました。アグリツーリズモという言葉を知っていますか?郊外の農村で余暇、休暇を過ごすための宿泊施設を建てる計画で、投資しました。宿泊施設は2028年に完成予定です。もちろん私が作るオリーブオイルもそこで買えますよ。日本のみなさんにもぜひ泊まりに来ていただきたいですね。
シモーネ・ジャンネッリ Simone Giannelli 1996年8月9日生まれ、イタリア北部の都市ボルツァーノ出身。ポジションはセッター。2012年にトレンティーノに入団し、プロバレーボール選手としてのキャリアをスタート。2021-2022シーズンからはペルージャへ移籍した。18歳だった2015年にイタリア代表に初選出された。同年9月に東京で開催されたワールドカップでは正セッターを務め銀メダルを獲得。2022年の世界選手権では金メダルをつかみ、MVPを受賞した。五輪は2016年リオデジャネイロ、2021年東京、2024年パリに3大会連続出場。パリ五輪ではキャプテンを務め、準々決勝では0-2から日本に大逆転勝ちを収めた。身長200センチ、92キロ。
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