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【世界陸上】110m障害・泉谷、メダルへの「7歩」。元日本記録保持者・金井大旺さん解説

ペンアンドスポーツ
男子110m障害の23歳、泉谷駿介(住友電工)日本陸連公式サイトより引用
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2023年8月19日、ハンガリー・ブダペストで世界陸上が開幕する。今大会の日本選手団は、近年世界をリードする競歩以外にも、トラックやフィールドでメダルを狙える選手が複数いる楽しみな布陣だ。なかでも、スポーツ特化型メディア”Pen&Sports”[ペンスポ]は男子110m障害の23歳、泉谷駿介(住友電工)に着目する。 

#世界陸上ブダペスト

目次

東京五輪金メダルと同タイム

泉谷が2023年6月4日の日本選手権で自身の記録を塗り替えた日本記録13秒04は今季世界ランク5位だ。この記録は東京五輪決勝の優勝記録と同タイムにあたる。さらに泉谷は6月30日、世界最高峰のダイヤモンドリーグ(DL)ローザンヌ大会で日本の男女トラック種目を通じて初めてとなる優勝を遂げ、世界との競り合いを制する勝負強さも見せた。

今季の進境著しい泉谷がこの勢いのまま、世界陸上でメダルをものにするためのカギは。日本のハードラーが世界と戦えるレベルに到達した背景は。泉谷とともにこの110m障害を世界レベルに押し上げてきた元日本記録保持者、金井大旺さんに聞いた。


金井大旺(かない・たいおう)陸上男子110mハードル東京五輪代表、元日本記録保持者(13秒16)。2021年シーズンを最後に現役引退。現在は歯科医を目指して日本歯科大学生命歯学部で勉学に励む。2022年2月からミズノブランドアンバサダーとしてミズノが管理・運営するスポーツ施設等での陸上教室で子どもたちを指導している。北海道函館市出身。Pen&Sports編集長の原田とは函館ラ・サール高校陸上部の同窓。法大卒。

金井大旺さんの目

4つ年下の後輩、東京五輪選手村で同部屋

金井 泉谷駿介くん(23)は私の4つ年下です。彼は2021年6月の日本選手権で私が保持していた13秒16の当時の日本記録を更新する13秒06で勝ちました。私はそのレースで2位(13秒22)。3位だった高山峻野さん(28)と3人で東京五輪代表に選ばれました。現役時代はライバル同士でありながら、3人とも仲が良く、東京五輪の選手村では3人同部屋。今でもLINEで会話したり、オンラインゲームをしたりする仲で「友達感覚」のつきあいが続いています。

ダイヤモンドリーグ(DL)で、いきなり初優勝

金井 泉谷くんの今季の好調ぶりは言うまでもありません。6月4日の日本選手権では自身の日本記録を0.02秒短縮。さらに6月30日のDLローザンヌ大会では、DL初出場ながらいきなり初優勝しました。DLは日本では知名度が低いですが、ワールドアスレティックス(旧国際陸連)が主催する世界最高峰のリーグ戦です。好記録を持っていれば誰でも出場できるわけではなく、主催者が恣意的に人気選手を選別して招待し、大会を盛り上げる側面があるため、出場すること自体がとても難しい大会です。

DL優勝は世界選手権メダリストに匹敵

金井 私のなかでDLで優勝することは世界選手権のメダリストに匹敵するぐらいの快挙だと思っています。泉谷くんは7月23日のDLロンドン大会でも13秒06(追い風1.3メートル)で2位。前回世界選手権金メダルで優勝したホロウェイ選手(米)の13秒01に肉薄し、コンスタントに実力を証明しました。

世界陸上でメダルに絡む力ある

金井 そんな今季の充実ぶりから、泉谷くんは今回の世界陸上で十分戦える力を持っています。準決勝で落ち着いて走れば自ずと決勝進出は見える。決勝でもうまくいけばメダルに絡むと思っています。大事なのは自分の走りができるかどうか、そして、ハードルに接触しないことです。

泉谷くんはスタートの反応がいい。世界陸上の準決勝、決勝レベルでもスタートから1台目のハードルまでの7歩のアプローチ(13.72m)は常に1、2番手で入れる力は持っています。肩に力を入れてがむしゃらに行くというよりは、感覚的に95%から98%ぐらいで落ち着いて入るぐらいがいいでしょう。そして本人もそれはわかっているはずです。

110mハードルは前半の1、2、3台目がすべてです。特に1台目の踏切の位置、方向が決まると、ハードルに接触しない限り、その後のインターバル(ハードル間=9.14m)の3歩が決まり、トップスピードに持っていける。逆に言えば、1台目の踏切が決まらない場合、インターバルでそれを修正するのは難しくなってきます。

失敗しない選手が勝つ種目

金井 最も避けたいのはハードルへの接触です。抜き足があたるぐらいならまだいいのですが、お尻がハードルにあたってしまうと一気に減速してしまいます。泉谷くんがメダルに絡む力を持っているのは事実ですが、接触が多いのもこの種目の特徴。(昨年の世界陸上オレゴン大会でも、泉谷は8台目でハードルに接触し、前半の先頭争いから大きく後退。準決勝2組5着で決勝進出を逃している)。前回世界王者のホロウェイ選手(米)を筆頭にアメリカ勢も、東京五輪金メダルのハンスル・パーチメントらジャマイカ勢も強い。世界のメダル圏内は10人近くいて、そのうちだれが失敗しないかで勝負が決まると思っています。

高山にもファイナリストの期待

日本歴代2位の13秒10を持つ高山峻野(日本陸連公式サイトより引用)

金井 失敗しない選手と言えば、日本歴代2位の13秒10を持つ高山峻野さんは大舞台で抜群の安定感があります。私は一緒に競技をしてきた経験から、泉谷くんにももちろん注目していますが、高山さんと泉谷くんの2人が決勝に進むことも十分ありうると思っています。そして、それを期待しています。

なぜ110m障害が世界レベルに?

(日本の男子ハードル勢はかつて110m障害が世界と最も遠い種目と言われるなか、400m障害の選手がむしろ活躍してきた。1995年イエテボリ大会7位の山崎一彦さん、2001年エドモントン大会と2005年ヘルシンキ大会で銅メダルの為末大さんらだ。それが近年では逆転し、スプリントハードルの110m障害が日本勢が世界レベルになっているのはなぜなのか)

金井 110mハードルは「リズム競技」という側面を持つ特殊な種目だと思います。1人速い選手が出てくるとその速い人についていこうと、歩幅やリズム(テンポ)を合わせながら横並びで体感でき、頑張れる。相乗効果が生まれやすい種目です。

しかも常に国内でトップ争いをするライバルが3~4人いる緊張状態が続いているのも理想的です。突出した選手が2人だけなら、たとえ負けたとしても世界大会代表の可能性が残る。それが、3~4人いると、失敗した選手が代表落ちします。そんな緊張感のある環境で選手同士が高め合ってきたことが、日本の110mハードルを強くしたのだと思います。

この状況は、今回の世界陸上に寺田明日香(ジャパンクリエイト)、青木益未(七十七銀行)、田中祐美(富士通)の3選手を送り込んだ女子100m障害にも同様に言えることだと思います。(聞き手:原田亜紀夫)

世界陸上の男子110m障害スケジュール

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ラウンド競技日時通過条件
予 選  8月20日20:05(20日13:05)5組4着+4
準決勝8月22日03:05(21日20:05)3組2着+2
決 勝 8月22日04:40(21日21:40)
(競技日時は日本時間。カッコ内は現地時間、時差は-7時間)

男子110m障害 日本歴代10傑

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順位記録(風速)選手名(所属)場所日付
113秒04(-0.9)泉谷駿介(住友電工)大阪 2023年6月4日
213秒10(+0.6)高山峻野(ゼンリン)平塚2022年8月6日
313秒16(+1.7)金井大旺(ミズノ) 広島2021年4月29日
413秒18(+0.9)村竹ラシッド(順大)福井2023年7月29日
513秒20(+0.9)野本周成(愛媛陸協)福井2023年7月29日
613秒29(+1.1)豊田兼(慶大)   成都  2023年8月4日
713秒33(+0.9)横地大雅(Team SSP)福井2023年7月29日
813秒36(+0.8)石川周平(富士通)横浜  2023年5月21日
913秒39(+1.5)谷川聡(ミズノ)アテネ2004年8月24日
1013秒40(±0.0)増野元太(ヤマダ電機)大阪2017年6月24日

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