サッカー日本代表の森保一監督は、6月に行われる北中米ワールドカップ・アジア最終予選(3次予選)のオーストラリア、インドネシアとの2連戦に臨むメンバー27人を発表した。そのうち初招集は7人。第2次森保ジャパンで最多となった。
公式戦で強豪国を相手にテスト
6月5日に豪州パースのパーススタジアムでオーストラリア代表と、6月10日に市立吹田サッカースタジアム(大阪)でインドネシア代表と戦う。日本代表は8大会連続での本大会出場をすでに決めているが、対するオーストラリアとインドネシアは出場枠をかけて必死で向かってくる。
アジア最終予選では各組2位までが無条件で本大会出場が決まり、3位と4位はプレーオフ経由で出場を目指す。オーストラリアは現在勝点13で2位につけ、3位のサウジアラビアは勝点10。これを4位のインドネシアが勝点9で追い、2位以下は混戦を極めている。ワールドカップの組み合わせ抽選ではFIFAランキング上位から振り分けられるため、今回の最終予選残りの2試合では勝利を目指すことを大前提としながらも、ワールドカップ本大会へ向けた準備として新たな戦力をチェックして選手層の拡大を図る。
常連組からは遠藤航、鎌田大地、久保建英、鈴木彩艶が招集された一方で、三笘薫や堂安律、南野拓実は、疲労などを考慮して呼ばれなかった。
前回の3月からは14人の大幅な入れ替えで、復帰組は町田浩樹、渡辺剛、大橋祐紀、森下龍矢、佐野海舟、細谷真大、鈴木唯人の7人。
初招集は第2次森保ジャパン最多となる7人。平河悠、熊坂光希、鈴木淳之介、三戸舜介、佐野航大、俵積田晃太はパリオリンピック年代、佐藤龍之介はロサンゼルスオリンピック年代と、若い顔ぶれだ。
この14人の中からワールドカップ本大会メンバーに食い込む人数が、最終的にワールドカップに臨む日本代表がどれだけ底上げされたかの目安になる。(下に記事が続きます)
初選出メンバー、注目株は鈴木淳之介(湘南)
今回、初選出された面々を見てみよう。とりわけ鈴木淳之介は珍しいタイプのセンターバックであり、定着すれば日本代表の戦術を進化させるポテンシャルがある。
最年少は、J1岡山の18歳、佐藤龍之介。森保監督は、2026年ワールドカップだけではなく、その先の日本代表のことまで考えて人選をしているように感じる。
鈴木 淳之介(湘南ベルマーレ)
- 生年月日:2003年7月12日
- 身長・体重:180cm・71kg
- ポジション:CB、守備的MF
世界基準の守備力もさることながら、後方から個人技で打開して攻撃を作り出せる。元ドイツ代表ローター・マテウスの再来。日本では、なかなか出てこない絶滅危惧種。対戦相手が守備固めをした際に、後方から強烈な攻撃を仕掛けて切り崩していくオプションになる。
平河 悠(ブリストル・シティ / イングランド)
- 生年月日:2001年1月3日
- 身長・体重:171cm・68kg
- ポジション:FW
スピードと技術を兼ね備えたアタッカー。ブリストル・シティの主力としてプレーし、激しいイングランド・チャンピオンシップ(2部相当)で揉まれながらも、昇格プレーオフに進出。
熊坂 光希(柏レイソル)
- 生年月日:2001年4月15日
- 身長・体重:185cm・74kg
- ポジション:守備的MF
柏レイソルのユースから東京国際大学を経てプロ契約した苦労人。怪我を乗り越えて日本代表選出。
三戸 舜介(スパルタ・ロッテルダム / オランダ)
- 生年月日:2002年9月28日
- 身長・体重:164cm・60kg
- ポジション:MF、FW
サイド攻撃が特徴的なオランダ・エールディヴィジで30試合に出場し5得点し、実力を証明。
佐野 航大(NECナイメヘン/オランダ)
- 生年月日:2003年9月25日
- 身長・体重:176cm・68kg
- ポジション:MF
オランダ・エールディヴィジのNECナイメヘンの中盤で主力としてプレー。兄の佐野海舟と同時選出。
俵積田 晃太(FC東京)
- 生年月日:2004年5月14日
- 身長・体重:175cm・71kg
- ポジション:MF
ドリブル突破からのシュートやラストパスが大好物。アタッキングサードでボールを持ったら目が離せない。
佐藤 龍之介(ファジアーノ岡山)
- 生年月日:2006年10月16日
- 身長・体重:171cm・64kg
- ポジション:MF
16歳4カ月20日でFC東京の最年少スタメン出場記録を更新。ユース代表の10番を背負った早熟の天才プレーメーカー。(下に記事が続きます)
試合目的の明確化を
インドネシア戦は、育成寄りのメンバー構成にして若手選手のテストなど、より大胆な実験の場にしてほしい。
オーストラリア戦は、ワールドカップ本大会に即して選手だけではなく戦術やゲームプランなどを試す、またとないチャンスだ。世界基準のオーストラリアとアウェイの公式戦でテストができるこの機会は、とても貴重。
日の丸を背負って出場する選手たちは、ワールドカップ本番のつもりで戦ってほしい。
森保監督「若い選手の突き上げで最強の日本をつくる」
森保一 SAMURAI BLUE(日本代表)監督コメント:我々はすでに出場権獲得していますが、この6月の2試合もこれまで通り、1戦1戦勝利目指してチーム一丸となって全力で戦い抜きたい。そして、これから先のことも見据えてチーム力を上げるためにも、勝利を目指すことにこだわりながら、選手一人ひとりの成長がチームの成長になるように、チームとしての選手層の幅をより厚く強固にして、さらなる成長につなげていけるような戦いにしたいと考えています。
ここまで予選で結果を出すために頑張ってくれて今回も選ばれておかしくない選手たちがいます。年間の出場試合数の多さを考えて今回は招集しないことにしましたが、彼らの頑張りがあったからこそ、最強の日本をつくるために、これからの日本サッカーの成長に向けたチーム編成ができました。そのことをうれしく思っています。
若い選手や経験の浅い選手が多いですが、彼らには今回の戦いと活動を通して更なる成長となる経験を積んでほしい。ただ、代表に消化試合はないですし、負けていい試合などありません。誰が出ても勝つというところにはこだわりを持って選出しています。
その中で自分の殻を破り、ハングリー精神を持って、さらに成長していくチャレンジをしてもらいたい。彼らの突き上げが、日本代表と日本サッカーの層をより厚くして、ワールドカップで勝つ可能性を上げてくれます。思い切ったプレーを期待しています。
Jクラブ所属の選手たちは、これまでの戦いを見ても成長をしていて、さらに成長が見込めるという存在感を見せてくれています。自分たちが日本サッカーを引っ張っていく、盛り上げていくのだという思いを持って頑張ってほしいと思っています。
勝って自信を深めて成長するところにこだわりたい。前回カタール大会の予選の時のように、新しく入る戦力が活躍して試合を決めてくれるとうれしいですが、オーストラリアのポポヴィッチ監督も我々に対して最高の対策をしてくると思います。厳しい戦いを覚悟して臨みたいと思います。(下に記事が続きます)
2025年6月の男子日本代表メンバー
GK
- 大迫 敬介(サンフレッチェ広島)
- 谷 晃生(FC町田ゼルビア)
- 鈴木 彩艶(パルマ・カルチョ/イタリア)
DF
- 長友 佑都(FC東京)
- 渡辺 剛 (KAAヘント/ベルギー)
- 町田 浩樹(ユニオン・サンジロワーズ/ベルギー)
- 瀬古 歩夢(グラスホッパーCZ/スイス)
- 関根 大輝(スタッド・ランス/フランス)
- 鈴木 淳之介(湘南ベルマーレ)*
- 高井 幸大(川崎フロンターレ)
MF/FW
- 遠藤 航(リバプールFC/イングランド)
- 大橋 祐紀(ブラックバーン・ローヴァーズ/イングランド)
- 鎌田 大地(クリスタル・パレス/イングランド)
- 森下 龍矢(レギア・ワルシャワ/ポーランド)
- 町野 修斗(ホルシュタイン・キール/ドイツ)
- 中村 敬斗(スタッド・ランス/フランス)
- 佐野 海舟(マインツ05/ドイツ)
- 平河 悠(ブリストル・シティ/イングランド)*
- 熊坂 光希(柏レイソル)*
- 久保 建英(レアル・ソシエダード/スペイン)
- 細谷 真大(柏レイソル)
- 鈴木 唯人(ブレンビーIF/デンマーク)
- 藤田 譲瑠チマ(シントトロイデンVV/ベルギー)
- 三戸 舜介(スパルタ・ロッテルダム/オランダ)*
- 佐野 航大(NECナイメヘン/オランダ)*
- 俵積田 晃太(FC東京)*
- 佐藤 龍之介(ファジアーノ岡山)*
*はSAMURAI BLUE初招集
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