【アブラ好き】三重・鈴鹿。ハンドボール選手のサイン入りレトルトカレーに興奮

日本ハンドボールリーグに所属する女子チーム・三重バイオレットアイリスの本拠地である三重県鈴鹿市は、F1などのモータースポーツと海産物で知られる街です。ですが長年の取材で開拓したのは「肉」ばかり。リーグ屈指の「愛されるクラブチーム」にまつわる、おいしいお肉の記録を紹介します。 

三重バイオレットアイリス近くの肉屋「肉のかねまさ」

三重バイオレットアイリスの本拠地・AGF鈴鹿体育館は、最寄り駅の近鉄白子駅から徒歩15分ほど。白子駅から体育館へ行く途中に「肉のかねまさ」があります。チームのスポンサーにもなっているこの肉屋さんは、地元の人から「ホルモンがおいしい」と評判です。内臓肉好きなら食べておかないと。電子レンジで肉が焼ける調理器を持ち込み、ホテルで調理してみました。

うわさには聞いていましたが、「かねまさ」のホルモン（小腸）は100グラム400円以上の高級品。だいたい200グラムで9切れになります。生ホルモンのまま買うこともできますし、無料で塩ダレか味噌ダレをかけてもらえます。最初は味噌ダレで頼んでみました。

ホルモンの半分は脂、甘くて軽い

電子レンジで焼くと、脂が出てきていい感じ。お味の方は、とにかく脂が甘くておいしいのです。安いホルモンだと、出てきた脂が臭い、重たいで、食べている途中でしんどくなります。「かねまさ」のホルモンは脂が甘くて軽いので、どんどん食べられます。200グラムでは全然足りない。でも高いから、そんなにたくさんは買えないのがもどかしい。「ホルモンあるある」なのですが、ホルモンの半分以上が脂なので、焼けば焼くほど可食部が減ってしまいます。この甘い脂をなんとか活用しないと。

そこで次の時には、スーパーで野菜炒めミックスを買っておきました。モヤシなどで土手を作り、ホルモンから出てくる脂を吸わせる作戦です。これが正解でした。塩ダレと甘い脂がほどよくモヤシに染み込み、ビジュアル、栄養バランスの面でも完璧になりました。今日の俺は冴えている！我ながらすばらしいアイデアでした。タレは、ご飯があるなら味噌ダレ、野菜とホルモンだけで完結させるなら塩ダレでしょうか。

ハンドボール取材に来たのか、肉屋に来たのか

「かねまさ」はホルモン以外もおいしいので、色々とチャレンジしてみました。チョリソーはほどよい辛さで、肉の味もしっかり楽しめます。安いチョリソーは辛さですべてをごまかしがちですが、「かねまさ」のは違います。先に肉の旨みがあって、そのあと少し遅れて辛さがやってきます。「この時間差、計算したのか？」と驚くくらい絶妙です。豚バラももちろんおいしかったです。

取材を繰り返すうちに、三重バイオレットアイリスの試合を観に行くのか、「かねまさ」へ肉を買いに行くのか、自分でもわからなくなってきました。選手やスタッフからは「久保さんはバイオレットより『かねまさ』が好きだもんね」と言われる始末。「かねまさ」がリニューアルオープンで新規スタッフを募集していた時は、本気で応募しようかと迷いましたが、バイオレットの人たちから止められました。

「カチカレー」俺は今、肉を食べている…!

そんな愛すべき「かねまさ」が2022年、三重バイオレットアイリスとコラボ商品を開発しました。こちらの「カチカレー」です。選手のトレーディングカード入りのレトルトカレーを「かねまさ」が作ってくれました。試合会場だと500円。「かねまさ」の店頭で買うと400円と、少しお安くなっています。お味の方は「かねまさ」が作っただけあって、肉の存在感が違います。普通のレトルトカレーだと肉がスカスカになりがちですが、「カチカレー」は肉の塊が柔らかく、かむほどに「俺は今、肉を食べている」と満たされた気持ちになれます。各地のお土産コーナーで売られている500円前後のレトルトカレーのなかでは、おそらく最高クラスの味だと思われます。

この「カチカレー」の味は、元日本代表キャプテンで、今年3月限りで引退した原希美が監修しました。試食の際には「子どもも食べられる味にしてほしいので、これ以上辛くしないでください」と言ったそうです。何度も味見をしたのに、パッケージに自分の写真が使われなかったので、ちょっと納得していない様子でした。その代わりと言ってはなんですが、原のつけていた背番号20はチームの永久欠番になっています。 

選手の直筆サイン！トレカ入り

「カチカレー」の一番の楽しみはトレカです。誰が入っているかは、開封するまでわかりません。さっそく開けてみると、1袋目でGKの岩見佳音（今年からGKコーチ兼広報）を引き当てました。一発目で「食いしん坊キャラ」が出てきて、幸先がいいですね。

調子に乗って、次の取材では2袋買いました。すると石立真悠子コーチのカードが出てきました。元日本代表の司令塔で、キレキレの1対1と理路整然としたゲームメークで人気があった石立コーチですが、コーチのカードはどうなんでしょう。これって当たり、それともハズレ？本人にカードを見せて確かめたところ「久保さんは持ってますね。大当たりのスーパーレアカードですよ」と微笑んでおりました。はい、分かりました。そういうことにしておきましょう。

 昨シーズンの「カチカレー」は売り切れました。「勝利はもちろん目指すけど、勝つこと以外の価値を、地元の人たちに届けたい」というチームのコンセプトが、カレーからも伝わってきました。新しいシーズンも「カチカレー」はあるのでしょうか。

岩見コーチ「絶対行ってください」とんかつ一直線

お肉つながりで、食いしん坊キャラの岩見コーチから「AGF鈴鹿体育館の近くにある、とんかつ『和とん』がオススメですよ」と教えてもらいました。「絶対に行ってください」と言われたので、試合の前に立ち寄ることにしました。

ちょいと奮発して、特選ロースかつ定食1760円を頼んでみました。豚肉230グラム。ロースなのにペロッと食べられます。脂がぜんぜんもたれません。赤身部分も柔らかくジューシーです。定食の他にも、店内にはお弁当やお惣菜が売られていて、なかなか便利なお店です。店内には岩見コーチの現役時代のユニフォームも飾られていました。

岩見コーチより3つ年上のGK花村美香は「（岩見）佳音といると、情報が入ってくるんですよ」と言っていました。シャイで人見知りな花村は、明るく社交的な岩見コーチのうしろにくっついているイメージがありました。コート外ではどっちが年上かわからないような関係でしたが、そういう理由があったんですね。今回も岩見コーチから「和とん」の情報が得られました。まだ27歳なのに、頼りになります。

朝な夕なにスーパー「ぎゅーとら」カツ丼

お肉つながりでもうひとつ。鈴鹿市内にも店舗があるスーパー「ぎゅーとら」のカツ丼も、三重に行ったらぜひとも食べておきたい一品です。三重バイオレットアイリスが津市のサオリーナで試合をした時に食べて、軽く衝撃を受けました。ダシが甘くておいしいのです。スーパーのお惣菜のカツ丼は、カツがスカスカだったり、ダシがしょっぱかったりで、ガッカリすることが多いのですが、「ぎゅーとら」のカツ丼は甘くていいダシがジュワッと染み出てきます。カツも柔らかく、食べ応えがあります。いいダシ使ってるな。こんなおいしいカツ丼を378円で食べられるのか。三重県民はこの幸せをもっとかみしめてほしい。「ぎゅーとら」を見かけたらカツ丼を2つ買って、夜と朝にカツ丼をエンジョイしています。

「ぎゅーとら」のカツ丼に興奮していると、地元の人からさらなる情報が入ってきました。「ぎゅーとら串も食べましたか？」教えてくれたのは、三重バイオレットアイリスで以前トレーナーだった向井雄高さん。現在は伊勢神宮の近くで鍼灸治療をされています。向井さんの説明によると、ぎゅーとら串とは棒状のミンチを揚げて、甘辛いソースがたっぷりかかった物だそうです。味噌カツの簡易版みたいな揚げ物でしょうか。今シーズンの宿題にしておきます。

日本ハンドボールリーグの女子は10月21日に開幕。今シーズンも鈴鹿に何度か取材に行く予定で、試合もお肉も楽しみにしています。