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【ハンドボール】技ありレフトウイング34人 | リーグH名鑑2025 vol.1

【ハンドボール】技ありレフトウイング34人 |リーグH名鑑2025 vol.1
左から時村浩幹(大崎オーソル埼玉)杉岡尚樹(ブレイヴキングス刈谷)三輪颯馬(アースフレンズBM)藤澤舞子(三重バイオレットアイリス)石川莉子(イズミメイプルレッズ広島)=いすれも久保写す、以下すべて
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ハンドボールの各ポジションに求められる役割、技術について、2024年9月に発足した国内トップリーグ・リーグHでプレーする選手のプレースタイルとともに紹介します。第1回はレフトウイング(LW)から。左サイド、オープンサイドとも言われるポジションで、コートの左端から飛び込んだり、速攻で走ったりと、豊富な運動量と身体能力、さらには細かい技術が求められます。 

目次

豊島梨奈(飛騨高山ブラックブルズ岐阜)制球力

豊島梨奈(飛騨高山ブラックブルズ岐阜)はコントロール抜群
豊島梨奈(飛騨高山ブラックブルズ岐阜)はコントロール抜群

レフトウイングは角度のないところからでも決め切る技術が求められます。特に遠め(右利きの選手から見て右側)の精度が勝負を分けます。2000年代の女子は、遠めのシュートをブレずに決め切る選手はごく一握りでしたが、最近は精度の高い選手が増えています。

遠めへ打てる技術でもっと評価されてほしいのが豊島梨奈(飛騨高山ブラックブルズ岐阜)です。単なる遠めではなく、遠めの上、下に打ち分けられます。特に「遠めの上」への精度は抜群で、ゴールの隅をピンポイントで打ち抜きます。アランマーレ富山唯一の純正レフトウイング・佐藤美月も、シュート技術の高い選手。技の引き出しだけでなく、コントロールで勝負できる、古きよきレフトウイングです。出番は少ないですが、箱崎乃映(大阪ラヴィッツ)もシュートの打ち分けができる選手です。男子ではトヨタ自動車東日本レガロッソ宮城に加わった後藤隼が掘り出し物。福岡大学ではチーム事情でレフトバックをしていましたが、実はサイドシュートがとても上手です。リーグHにデビューして早々に、遠めの上にピンポイントで決めていました。(下に記事が続きます)

杉岡尚樹(ブレイヴキングス刈谷)ループ芸術品

杉岡尚樹(ブレイヴキングス刈谷)のループシュートは芸術品
杉岡尚樹(ブレイヴキングス刈谷)のループシュートは芸術品

GKが前に詰めてきた時に浮かせるのがループシュート。シュートが巧いと言われる選手でも、ループだけは苦手にしていたりします。得意ではない選手は、腕を押し出すような動きになりがちです。いい選手はみぞおちを抜くような動きを使ったり、ボールに回転をかけたり、体の機能を使ってループを放ちます。

ループシュートと言えば、日本代表の杉岡尚樹(ブレイヴキングス刈谷)が国内最高峰。右腕を内ひねりさせて、ボールに反時計回りの回転をかけながら、ループシュートを打ちます。回転数の多いボールは高いアーチを描きながら、急激に落ちてきます。右腕を外ひねりさせて、ボールに時計回りの回転をかける選手はたまにいますけど、杉岡のような打ち方は唯一無二。学生時代に海外の映像を見て真似したとのことですが、世界でもなかなかお目にかかれない高度な技術です。縦に腕を振る動作のまま強くループを打てるので、最後までは強打かループか見分けがつきません。

西田祐輝(安芸高田わくながHC)仕掛け多彩

ボールを持つ時間が長くなるほど、西田祐輝(安芸高田わくながハンドボールクラブ)のよさが出てくる
ボールを持つ時間が長くなるほど、西田祐輝(安芸高田わくながハンドボールクラブ)のよさが出てくる

ウイングは周りに使ってもらう「待ちのポジション」ですが、最近は様々な形で攻撃に絡む選手が増えてきました。

西田祐輝(安芸高田わくながハンドボールクラブ)は、ボールを長く持つことで独自色を出すウイングです。サイドから切ってきて、ボールをもらって色々と仕掛けられるのが強み。セットOFのリズムを変えたい時に役立ちます。梅本貴朗(レッドトルネード佐賀)はシンプルなプレーで長生きしてきたベテランでしたが、近年は回り込んでのミドルシュートを時たま放つようになりました。「永遠の若手」と呼ばれる運動能力はそのままに、密かにプレーの幅を広げています。徳田百合子(HC名古屋)はHC名古屋伝統の「献身的な走り」を見せるウイングでありながら、こじゃれた技の持ち主です。2次速攻でさりげなくクロスを入れたり、反対側を走っていた夏堀郁音にスカイプレーのパスを出したり、とっさの場面で気の利いたプレーができます。(下に記事が続きます)

三輪颯馬(アースフレンズBM)スピードスター

ただ速いだけでなく、細かい動きにこだわりを持つ三輪颯馬(アースフレンズBM)
ただ速いだけでなく、細かい動きにこだわりを持つ三輪颯馬(アースフレンズBM)

レフトウイングは速攻の一番手のポジション。どのチームも俊足の選手を揃えています。 

高間アミン(ジークスター東京)のスプリント能力は、リーグHでも指折りです。ケガがちなのが悔やまれますが、サイドライン際を駆け抜ける姿は躍動感にあふれます。三輪颯馬(アースフレンズBM)は、159㎝の身長でリーグHを生き抜く小さなスピードスター。攻防チェンジでいったんベンチに下がったあと、コートに戻る時にも自慢の脚力が生きます。気配を殺して背後から忍び寄り、一瞬の隙を狙ってボールを奪い、ワンマン速攻に持ち込みます。

石田知輝(トヨタ自動車東日本レガロッソ宮城)長い滞空時間

石田知輝(トヨタ自動車東日本レガロッソ宮城)の滞空時間はリーグ屈指
石田知輝(トヨタ自動車東日本レガロッソ宮城)の滞空時間はリーグ屈指

スピード自慢の選手は身体能力が高いので、ジャンプ力もあります。ただ高く跳ぶだけでなく、滞空時間の長い選手は絵になります。

石田知輝(トヨタ自動車東日本レガロッソ宮城)は、空中でシュートフェイクを入れる「ダブルクラッチ」が得意技。判断力で勝負する選手が多い洛北高校(京都府)出身者のなかでは異質ともいえるアスリートタイプです。細川智晃(ジークスター東京)はビーチハンド日本代表経験者らしく、アクロバティックな空中での動きで魅せます。女子では東海大学から加わった大田果歩(イズミメイプルレッズ広島)の滞空時間が驚異的です。空中に跳んでから、もう一段加速するような動きを見せます。滞空時間だけでなく、決定力も一級品の即戦力です。 (下に記事が続きます)

藤澤舞子(三重バイオレットアイリス)切れる1対1

謎のカットインもありつつ、パスカットからの速攻でも味を出す藤澤舞子(三重バイオレットアイリス)
謎のカットインもありつつ、パスカットからの速攻でも味を出す藤澤舞子(三重バイオレットアイリス)

カットインができるウイングがいると重宝します。DFの1枚目と2枚目の間を割っていったり、サイドの1対1でズレを作ったりができれば、攻撃の幅が広がります。

福本吉伸(安芸高田わくながハンドボールクラブ)は、速攻での鋭い1対1で相手を抜き去ります。スピードに乗っての切り返しが鮮やか。新人の藤澤舞子(三重バイオレットアイリス)のリーグ初得点は、切りの動きから抜けて、ライトバックへ移動してからのカットインでした。バックプレーヤー歴が長いため、こういったウイングらしくない動きもできるとのこと。エースの山口眞季とポジションチェンジして、レフトバックで広いスペースを作ってもらって1対1で勝負する場面もあります。

米澤綾美(熊本ビューストピンディーズ)バックでも仕事

2対2だけでなく、球際でも仕事をする米澤綾美(熊本ビューストピンディーズ)
2対2だけでなく、球際でも仕事をする米澤綾美(熊本ビューストピンディーズ)

ウイングもやりつつ、必要に応じてバックプレーヤーもできる選手がいると、攻撃のアクセントになります。バックプレーヤーで長時間プレーするにはシュート力が足りなくても、自分のできることを短時間に凝縮できれば、チームにとって大きな戦力です。

米澤綾美(熊本ビューストピンディーズ)がレフトバックに入る時は、ポストパスで勝負する時間帯です。屈強なピヴォット、グレイ クレア フランシスとの2対2は、わかっていても止められません。クレアを厚く守られた時に、ミドルシュートを決め切れたら言うことなしです。髙比良琉奈(アランマーレ富山)はセンター登録ですが、アランマーレでの2年間でサイドシュートを決め切れるようになりました。レフトバックに移ったら、強烈な1対1で相手を抜き去ります。土居佳加(大阪ラヴィッツ)はレフトウイングでスタートし、試合の途中からセンターでパスを回します。こういうパスセンスのあるウイングがいると、速攻のつなぎがよくなるので、チームの得点力が上がります。筑波大学から新たに加わった所凌央(レットトルネード佐賀)も、ウイングとバックプレーヤーの両方で良さを出せる選手。お父さんの所努さん(元三陽商会・現総社高校監督)も、センターとレフトウイングの両方でプレーした、鼻っ柱の強い選手でした。(下に記事が続きます)

藤本純季(ブレイヴキングス刈谷)ピヴォットもOK

戦術理解に優れたベテランだから、藤本純季(ブレイヴキングス刈谷)はライン際で機能する
戦術理解に優れたベテランだから、藤本純季(ブレイヴキングス刈谷)はライン際で機能する

サイドから切ってダプルポストになる動き。いわゆる「切りの動き(サイド切り)」で貢献できる選手がいてくれたら、セットOFを組み立てやすくなります。スコア上は得点にならなくても、0.5点分の働きをしていると言っていいでしょう。切りの動きをわかっている選手は、攻撃の全体像をよく理解しています。

左サイドから切らせたら、河嶋英里(ブルーサクヤ鹿児島)が日本で一番です。移動する先々で「攻撃の連鎖」を引き起こします。セットOFをわかっているので、短時間ならピヴォットでも十分機能します。藤本純季(ブレイヴキングス刈谷)は、ピヴォットに故障者が続出した2024年の日本選手権準決勝でピヴォットに入り、DFの裏の空間を上手に利用していました。決勝戦の豊田合成戦でも、高い位置で仕掛けたい右の2枚目・藤勢流の裏のスペースに移動して、記録に残らない駆け引きをしていました。藤本で思い出されるのが、2019年のプレーオフ決勝。相手の一瞬の隙を突いてライン際を切り、津屋大将からの長いバウンドパスをもらって得点を挙げています。トヨタ車体のプレーオフ初優勝に大きく貢献した1点でした。

石川莉子(イズミメイプルレッズ広島)冴えるDF力

今季絶好調の石川莉子(イズミメイプルレッズ広島)。DFが冴えるから、速攻も多くなる
今季絶好調の石川莉子(イズミメイプルレッズ広島)。DFが冴えるから、速攻も多くなる

レフトウイングにDF力のある選手がいると、小柄なバックプレーヤーを使いやすくなります。小さな点取り屋を守る盾となり、攻守のバランスを整えてくれる存在です。

吉留有紀(北國ハニービー石川)は左の2枚目のスペシャリスト。絶妙な間合いでボールを奪い、速攻に転じます。ケガから復帰した石川莉子(イズミメイプルレッズ広島)も、左の2枚目でいい仕事をします。同じくレフトウイングで左の2枚目を守っていた石川紗衣(昨季限りで引退)のポジションにすんなりと収まり、キャリアハイの成績を残しそうな勢いです。3枚目を守れるレフトウイングには笠泉里(ブルーサクヤ鹿児島)、和田薫(香川銀行シラソル香川)がいます。笠はピヴォットの前に被さって、ポストパスをカットするのが上手です。髙野颯太(ブレイヴキングス刈谷)と矢野世人(豊田合成ブルーファルコン名古屋)は、役割が被る者同士。3枚目とトップDFが守れる大型ウイングです。日本代表には必ず1人は欲しいタイプなので、2028年のロス五輪へ向けて競争になるでしょう。根路銘泰成(安芸高田わくながハンドボールクラブ)も、3枚目とトップDFができる大型ウイングです。(下に記事が続きます)

原田一沙(大同フェニックス東海)闘志あり

チームが苦しい時こそ、原田一沙(大同フェニックス東海)の統率力が重要になってくる
チームが苦しい時こそ、原田一沙(大同フェニックス東海)の統率力が重要になってくる

レフトウイングはチームの先陣を切って、相手ゴールに向かっていくポジション。レフトウイングが弱気なシュートを打つと、チームの士気に影響します。常に相手に立ち向かう闘志が求められます。

仲程海渡(福井永平寺ブルーサンダー)は琉球コラソンから移籍して、早々にチームに溶け込みました。若いGKが速攻のロングパスをミスしても「どんどんチャレンジしていこう」と、ポジティブな声かけで励まします。若い選手が多い福井永平寺では、仲程の前向きな言葉が「無形の財産」になっています。石黒理久(アルバモス大阪)はチーム創設当初からの1期生。滝ノ水中学校(愛知県)時代にはジュニアオリンピックカップで最優秀選手にも選ばれたハンドボールエリートでありながら、数々の苦難を乗り越えてリーグHにたどり着いた経験が、人間的な深みとなってプレーにもにじみ出ています。原田一沙(大同フェニックス東海)は、東海ハンドボールスクール~大同高校(愛知県)~大同大学~大同特殊鋼と歩んだ、生粋の大同ファミリー。大同の魂を注入するべく、今季から主将になりました。大同大学時代も「名キャプテン」と呼ばれたファイターです。

時村浩幹(大崎オーソル埼玉)オールマイティー

いつまでも若々しい時村浩幹(大崎オーソル埼玉)は究極のオールラウンダー
いつまでも若々しい時村浩幹(大崎オーソル埼玉)は究極のオールラウンダー

複数のポジションをこなせて、なおかつ本職のレフトウイングの技術が高い選手がいてくれると、チームが安定します。

小塩豪紀(豊田合成ブルーファルコン名古屋)は、リーグ歴代最多得点(1079得点)の記録を塗り替えたベテラン。バックプレーヤーから転向して、サイドのスペシャリストとなり、合成の連覇を支えてきました。バックプレーヤーや2枚目、3枚目ができる力を隠し持ちながら、33歳になった今も、若い選手を寄せ付けない安定感を誇ります。

2024年はライトウイングで紹介した時村浩幹(大崎オーソル埼玉)は、今季はレフトウイングが主戦場。2枚目を守れるDF力が評価され、小澤広太監督から「絶対に外せない選手」とキャプテンに指名されました。謎のオールラウンダーぶりは健在で、ライトバックの選手が試合中に負傷した時間帯には、ライトバックにすんなり入ってプレーを続けます。石川有香(香川銀行シラソル香川)は、若いチームにとって貴重なベテラン。本職のレフトウイングだけでなく、センターやピヴォットなどにも入って、亀井好弘監督のやりたいハンドボールをワンポイントで体現します。

※次回はレフトバックを紹介する予定です。

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