きょう3月8日は国際女性デー。女性の地位向上、女性差別の払拭などを目指す国際的な連帯と統一行動の日です。私自身、高校は北海道の男子校出身。これまでの職場も広告会社、新聞社のスポーツ部と、男性がまわりに圧倒的に多く、オトコが体力に任せて幅を利かせる環境に長く身を置いていましたが、一昨年、起業してからそれは劇的に変わりました。同じ新聞社出身の女性とコンビを組み、このPen&Sports[ペンスポ]の運営会社(Pen&Co.)を経営することになったからです。このニュースレターも「国際女性デーで書いてください」と、編集者でもある彼女に難題を投げかけられました。
スポーツ界の女性リーダーと言えば、いま、気になる存在がいます。
国際オリンピック委員会(IOC)の新しい会長に立候補している7人のなかで、唯一の女性候補者である41歳のカースティ・コベントリー氏(ジンバブエ)です。競泳女子でアテネ、北京五輪の200m背泳ぎで2連覇した天才スイマーとして記憶している人も多いでしょう。彼女は水泳の金メダルで「ジンバブエ」という当時は無名だった国の名を世界中に知らしめ、大統領から「ゴールデンガール」と称賛されました。
IOC会長選は3月20日
12年間(任期8年+再選4年)の任期満了で退任するトーマス・バッハ会長(71)=ドイツ=の後任を決める第10代IOC会長選は2025年3月20日、ギリシアのリゾート地、コスタナヴァリノで開かれるIOC総会で行われます。
IOC会長選にはコベントリー氏のほかに以下の候補者が立候補しています。(順不同)
- セバスチャン・コ―氏(英国)=国際陸上競技連盟(WA)会長
- 渡辺守成氏(日本)=国際体操連盟(FIG)会長
- フアン・アントニオ・サマランチ・ジュニア氏(スペイン)現IOC副会長
- ファイサル・アル・フセイン王子(ヨルダン)
- ダヴィド・ラパルティエン氏(フランス)=国際自転車競技(UCI)会長
- ヨハン・エリアシュ氏(スウェーデン系英国人)=国際スキー連盟(FIS)会長
コベントリー氏に追い風
IOC会長選には、世界のスポーツ界で実績を挙げてきたそうそうたる顔ぶれが立候補していますが、私自身は唯一の女性、コベントリー氏が勝つ可能性が十分あると踏んでいます。
候補者の中で唯一の女性という立場は、スポーツ界のジェンダー平等を掲げるIOCの変革の象徴です。そしてアスリートとして五輪2連覇の実績は、陸上男子1500mで1980年モスクワ、1984年ロサンゼルス五輪で2連覇したセバスチャン・コー氏と並び、突出しています。
しかも、コベントリー氏はバッハ会長率いる現執行委員会メンバーの一人でバッハ会長のお気に入り。2032年ブリスベン夏季五輪の調整委員長という重責を担い、ジンバブエでは現職のスポーツ大臣も務めるなど、実務にも定評があります。41歳の若さも「変革」にふさわしい。さらに、陸上、体操、自転車、スキーの国際連盟(IF)のトップが4人同時に立候補していることで、IFの利害が絡む票が分散することもコベントリー氏を後押しすると見ています。
「繰り返し最下位消去ルール」で投票
IOC会長は、世界の産業界の重鎮、富豪、欧州や中東の王族、連盟のトップ、政治家、元・現役アスリートなどで構成される約100人のIOC委員による無記名投票で選出されます。投票の手法はいずれかの候補者が過半数の票を獲得するまで、最下位の候補者を除いて繰り返される「繰り返し最下位消去ルール」が採用されます。五輪開催地を決める投票と同じ手法です。IOC会長の任期は8年。再選されれば4年延長が可能となります。
IOCは世界最大で、最も資金力がある国際スポーツ組織。すべての主要国際連盟(IF)、各国オリンピック委員会(NOC)、世界の経済界、国際政治にまで影響力を持っています。新会長選は事実上、今後8年間のスポーツ界の方向性を決定する人選とも言えるでしょう。「ゴールデン・ガール」と呼ばれた天才スイマーは果たしてIOCの「ゴールデン・プレジデント」になれるのか。3月20日、コベントリー氏の会長選の行方に注目しています。
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