【五輪】アジア大会組織委拠点、一極集中のリスク。東京2020の教訓は

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トヨタ自動車やソフトバンクグループなどの多くのグローバル企業では、同じ航空機に搭乗できる役員の人数を制限するポリシーがあると聞く。 例えば「社長と副社長は同じ飛行機に乗らない」「CEOとCFOは搭乗便を分ける」といったルールだ。万一の墜落事故や集団感染が起きた場合、経営機能が完全に停止してしまうことを防ぐために、だ。こうしたBCP(Business Continuity Plan=事業継続計画)の考え方は数年前のコロナ禍でも話題になった。 

プロスポーツチームやオリンピックの各国代表チームでも、飛行機事故などの不測の事態で全選手を一度に失う「全滅」を避けるため、主力と若手、あるいはコーチ陣を複数の便に分けて移動させることが増えた。 こうしたリスクを分散させる運用を「スプリット・オペレーション」という。(下に記事が続きます)

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1500人以上の職員が窓なしワンフロアに同居

この秋に開催されるアジア最大のスポーツの祭典、愛知・名古屋アジア・アジアパラ競技大会に向けて組織委員会職員として勤務している。3月末までは、名古屋市中区のオフィス勤務だったが、4月からは名古屋市緑区の商業施設内に職場が移った。そのオフィスでは職員のほぼ全員にあたる1,500人以上が、窓も間仕切りもないワンフロアでひしめき合って働いている。

同僚の顔が見渡せ、部門間の壁がなく、会いたい担当者にすぐ会って相談できるメリットはあるが、リスク管理の観点ではどうだろう。

誰かが咳やくしゃみをする音が聞こえると不安になる。最近は感染力の強いはしかが流行していると聞く。三陸沖でマグニチュード7.7の地震が発生した先週、もしそうした地震が愛知県を襲ったら、大会は開催できるだろうかと案じた。反対派によるテロやサイバーテロの脅威もぬぐえない。

私が組織委員会に入る前からこの「オフィス移転」は決まってた。だから、大会運営の「本丸」が一か所集中で果たしていいのか、リスクを分散させる「スプリット・オペレーション」をすべきではないのか、と声を上げられなかったことが悔やまれる。私たちの存在意義は、この秋までにアジア・アジアパラ競技大会を予定通り、安心・安全に開催し、アジア中から集まる選手や国民に「愛知・名古屋」で大会をやって良かったと感じてもらうことだ。

アジア・アジアパラ競技大会は、2021年の東京五輪以来となる日本が招致する国際総合スポーツ大会。ほとんどの会場が無観客で行われ、「交流」どころか「接触」もはばかられた東京五輪から、私たちはリスク管理の重要性を学んだはずだ。ビジネス界では当たり前となっている本社機能やサーバー、生産ラインを複数の地域に分けるように、国際総合スポーツ大会の中枢機能もリスク分散すべきではなかったか。

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