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【編集長コラム】箱根駅伝の駒大・藤田敦史監督「自分のカラーはまだない」にシンパシー

きょうもペンを走らせます
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第100回を迎えた箱根駅伝(東京箱根間往復大学駅伝競走)往路。2024年1月2日午前、駒大、青学大のつばぜり合いをラジオの文化放送でチェックしながら、この記事を書いています。トップ争いする両校が小田原付近を通過するころには強い雨が降り出しました。箱根駅伝で雨が降るのは、82回大会以来18年ぶりとラジオが伝えています。

青学大の太田が3区で駒大の佐藤の前に出ました。エントリー選手の1万メートルのタイムやこれまでの駅伝の実績を見て、往路から駒大が独走すると見ていましたが、やや予想外の展開に。往路はそのまま青学大が逃げ切り、2年ぶり6回目の往路優勝、駒大は2位でした。

1月3日の復路を含めた総合力を鑑みれば、駒大の優位は揺るがないと見ていますが、青学大が駒大の前を行くことで、追う展開に慣れていない駒大にプレッシャーを与えます。そして、2日間にわたるレース全体を面白くしています。今年の箱根で駒大が総合優勝すれば、史上初の2年連続の大学駅伝(出雲、全日本、箱根)3冠を達成します。

目次

「男だろ!」のゲキとは対極

今年の駒大は例年と一味違う雰囲気をまとっていました。もちろん明日の復路の結果はまだわかりません。でも、ピリピリした切迫感や悲壮感は感じられず、ライバルに並ばれ、差を広げられても駒大の選手には、総合優勝は譲れないという自信と風格が感じられました。

駒澤大学の公式Xより。藤田敦史監督(左)と大八木弘明総監督

理由は明白です。これまでの駒大なら、選手の後ろを走行する運営管理車の助手席には大八木弘明監督(現総監督)が座り、甲高い声で「男だろ!お前ならできる」とマイク越しにゲキを飛ばすのが常でした。その「愛のムチ」さながらの声掛けに、選手たちは条件反射するように、背筋を伸ばし、顔をゆがめてスパートするのがお決まりでした。

今年の箱根は違います。大八木前監督の後任、昨年の箱根駅伝が終わった直後に監督になった藤田敦史氏が運営管理車から選手たちの背中を静かに見守っています。コーチ、助監督、監督時代を含めると出雲駅伝で4回、全日本大学15回、箱根駅伝8回の優勝に導いた名将・大八木氏から藤田氏は監督を引き継ぎました。

初めて箱根駅伝の「指揮官」を務める藤田氏ですが、レース展開に一喜一憂せず、総合優勝を見据え、どっしり構えているように見えます。藤田氏は「チームは大八木さんが築いた土台の上にある。(監督として)自分のカラーと呼べるものは、今はない。ただ、大八木さんの情熱は失わないようにしたいですね」と話しています。

Pen&Sports[ペンスポ]編集長の原田が朝日新聞記者時代、第1回~59回までの福岡国際マラソンのレースハイライトをまとめた第60回記念福岡国際マラソンプレーバック集(2006年)より。
Pen&Sports[ペンスポ]編集長の原田が朝日新聞記者時代、第1回~59回までの福岡国際マラソンのレースハイライトをまとめた第60回記念福岡国際マラソンプレーバック集(2006年)より

元男子マラソン日本記録保持者

筆者はいまから20年以上前の現役マラソン選手時代から藤田敦史氏を取材してきました。時には一緒に食事することもありました。彼のハイライトは何といっても、2000年12月3日の福岡国際マラソンです。シドニー五輪金メダルのゲザハン・アベラ(エチオピア)とのデッドヒートから一気に抜け出し、2時間6分51秒の日本最高記録(当時)で優勝したのです。

そのレース回顧のインタビューで印象に残っていることがあります。藤田氏は、折り返し地点で両手をぐるぐる回した場面を振り返って、私にこう語りました。「俺はまだまだ余裕があるぞ、と相手を威嚇するサインでした」。

藤田氏は謙虚で物静かな性格ですが、レース中の心理的な駆け引きに長けていました。加えて、レース中にボクシング選手のような間合いを見せたり、ラッシュをかけるタイミングを逃さない勝負強さがありました。さらに、驚くべきはレースの状況を細部まで記憶していて、それを自分の言葉で理路整然と説明できる頭脳派の一面がありました。そしてとても美しい文字を書く意外な特技もありました。

ペンスポも模索する「自分たちのカラー」

マラソン日本記録樹立から20年以上の時を経て、藤田氏は47歳に。昨年から母校の「監督」という新たな挑戦に踏み出しました。「自分のカラーと呼べるものは、今はない」。そう語る謙虚さに筆者は勇気をもらいます。

Pen&Sports[ペンスポ]も創刊から半年。私たちも「自分たちのカラー」を模索しています。まずは2024年7月26日に開幕するパリ五輪の取材に向けて準備を進めます。みなさんのご意見やご指導を胸に「ペンで、心を動かす」を貫いていきます。2024年もよろしくお願いします。

Pen&Sports編集長
原田亜紀夫

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