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【ハンドボール】男子日本代表、世界選手権32カ国中28位 | クウェートに完敗、32-37

プレジデントカップ最終戦でクウェートに敗れ、28位で世界選手権を終えた日本=2025年1月28日©IHF
プレジデントカップ最終戦でクウェートに敗れ、28位で世界選手権を終えた日本=2025年1月28日©IHF
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ハンドボール男子世界選手権のプレジデントカップ(下位の順位決定戦)の最終日だった2025年1月28日、日本代表(彗星JAPAN)はクウェートに32-37で敗れ、28位に終わりました。バーレーン、キューバに勝って上り調子かと思われた日本代表ですが、この日のクウェート戦でもDFで簡単にやられるシーンが目立ちました。

目次

キャプテンの玉川がベンチアウト

プレジデントカップ最終日の27位決定戦で、日本はクウェートと対戦しました。2024年1月のアジア選手権では直接対決こそありませんでしたが、2023年10月のパリ五輪アジア予選では32-30で日本が勝利しています。2000年代の「中東の笛」時代よりも、強化に力を入れていない印象のクウェート。同じアジア同士ですし、勝っておきたかった相手です。 

クウェート戦では、キャプテンの玉川裕康(ジークスター東京)がベンチアウト。キューバ戦でのケガを考慮して、休むことになりました。経験の少ない3枚目でどれだけ守れるかが、ポイントになりました。この日は矢野世人、市原宗弥の豊田合成ブルーファルコン名古屋コンビでスタートしました。 

前半は立ち上がりから1-6とリードを許す展開になりました。GK岡本大亮(トヨタ車体ブレイヴキングス刈谷)がそれなりに止めているのに、点差が離れていきます。前半16分で7-12と、明らかに取られ過ぎです。途中からセンターの北詰明未(トヨタ車体ブレイヴキングス刈谷)をトップに出した5:1DFが成功。前半最後のノータイムの7mスローを岡本が止めるなど、要所を抑えた日本は16-17で前半を折り返しました。試合内容は最悪に近いのですが、これくらいのスコアでまとめておけば、後半に逆転は可能です。悪いなりによくしのぎました。(下に記事が続きます)

後半に逆転するもDFで後手に

後半に入って日本は、中沖仁希太(日本体育大)、山口直輝(トヨタ紡織九州レッドトルネードSAGA)の連続速攻で、7分に22-21と逆転に成功します。若い3枚目コンビが走れるところを示しました。その後も藤坂尚輝(大同特殊鋼フェニックスTOKAI)の連続得点で、後半13分25-24とリードしましたが、クウェートに逆転を許してしまいます。

クウェートは効果的にクイックスタートを使いつつ、セットOFではウイングとピヴォットを上手に余らせてきます。かと思うと3枚目を守る中沖の頭をかち割るようなステップシュートも狙ってくるなど、日本の弱点を確実に突いてきました。中継からも「出たら下がる!」といった日本ベンチの声が聞こえてきましたが、日本のDFは出たら出っぱなしで、裏のスペースを使われていたように映りました。北詰がトップに入る5:1DFが効いていたので、もう少し長く使ってもよかったかと思うのですが、トニー・ジローナ監督は、オーソドックスに経験を積むことを優先したようです。結局日本は32-37でクウェートに敗れ、32カ国中28位で大会を終えました。

とにかく守れなかった

大会を通して、GKは悪くなかったと思います。中村匠(豊田合成ブルーファルコン名古屋)と岡本は、パリ五輪からの経験値が積み重なっていました。問題はDFです。6:0DFなのに、いとも簡単にサイドまでずらされてしまいます。ちょっとアグレッシブに仕掛けたら、簡単に裏のスペースをピヴォットに走られます。GKが止めても、リバウンドを取れません。大会を通して3枚目を守る「玉川の相棒」が決まりませんでした。DFはもう一度作り直しです。 

パリ五輪に続き経験値を積んだGK岡本(中央)=2025年1月28日©JHA/Yukihito TAGUCHI
パリ五輪に続き活躍したGK岡本(中央)=2025年1月28日©JHA/Yukihito TAGUCHI

吉野は本当に良く戦った

攻撃面では、強さで勝負できるピヴォットがいないのが響きました。市原がライン際で粘り強さを見せた以外は、効果的にピヴォットを使えませんでした。頼みの綱はレフトバックの吉野樹(トヨタ車体ブレイヴキングス刈谷)だけ。吉野は全試合通してファイトしていました。

世界選手権を通じて攻撃の頼みの綱だった吉野=2025年1月28日©JHA/Yukihito TAGUCHI
世界選手権を通じて攻撃の頼みの綱だった吉野=2025年1月28日©JHA/Yukihito TAGUCHI

ただし30歳の吉野に、2028年ロサンゼルス五輪の出場権争いや、五輪本番で同じパフォーマンスを期待するのはどうでしょうか。世界でも打ち切れる選手をもっと作っていかないと。吉野も代表で7年間鍛えられて、「シュートフォームがちょっと面白いロングヒッター」から「世界でも駆け引きのできるエース」になりました。先行投資に値する選手を的確に見抜き、時間をかけて国際経験を積ませることは大事です。

初代表で初の世界選手権だったメンバーが多いため、いつもは決まるはずのシュートが決まらなくて、面食らうシーンも多く見られました。この経験を糧にして、数年後には決め切れるようになれるでしょうか。そんな中で、荒瀬廉(大阪体育大)のトリッキーなシュートが決まったのは収穫です。とはいえ、小柄な荒瀬はDFの兼ね合いもあるので、フルでは使いにくいのも事実です。オーソドックスに守れて、オーソドックスに打ち込める選手を増やさないと、荒瀬の良さも生きてきません。

173cmと小柄ながらトリッキーなシュートを打ち込んだ荒瀬廉(大阪体育大)=2025年1月28日©JHA/Yukihito TAGUCHI
173cmと小柄ながらトリッキーなシュートを打ち込んだ荒瀬廉(大阪体育大)=2025年1月28日©JHA/Yukihito TAGUCHI

日本代表のバトンをつなぐ

大会中、ジローナ監督はずっと苦悩の表情を浮かべていました。この大会だけでトニーさんを見限ってはいけません。若手の育成に長けた、とてもいい監督です。これからはトニーさんの呼びたい選手をしっかりと招集できるよう、日本全体がバックアップしていかないといけません。経験を積ませてもらった選手は、同年代や次の世代に「日本代表とはなにか」を伝えていきましょう。間違ったプロ意識ばかり覚えないで、日本代表というバトンをつなぐ責任を自覚してほしいのです。ケガでコンディションが上がらない選手は、しっかりと完治させてください。DFに関しては、頼れる大型選手3枚がいなかったのが響きました。

ある程度覚悟はしていましたが、今回の世界選手権はかなり厳しい結果になりました。ダグル・シグルドソン監督時代に積み重ねてきたものをつないで、さらに上に行けるように、もう一度頑張りましょう。彗星JAPAN、今が正念場です。

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