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【野球】復活!2028ロス五輪。7回制になる?社会人で時短・パワー化を実感

野球7回制
7回制が導入された社会人野球のJABA関東選手権大会(久保写す、以下すべて)
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2028年ロサンゼルス五輪で野球が復活します。世界野球ソフトボール連盟(WBSC)は国際オリンピック委員会(IOC)の「コンパクト化」「時短」の意向をにらみ、7回制の試合を増やしています。2023年10月に行われたJABA関東選手権大会の1回戦でも「7イニング制」を試験的に導入しました。9回が当たり前だった野球が7回までになると、どう変わるのか。レベルの高い社会人で導入すると何が起こるのか。実際に試合を見て感じたことを紹介します。

目次

【社会人】多い投手交代。3時間越えが当たり前

投手交代が多いのも社会人野球の特徴

以前、プロ野球の某スカウトがぼやいていました。「社会人野球は無駄に時間が長い」。投手を含めた防御のレベルが高く、打力がやや落ちるので、社会人野球は接戦が多くなります。負けられないトーナメントなので投手交代も頻繫で、駆け引きのための間合いも長くなるから、必然的に試合時間も長くなります。

 延長戦でもないのに3時間越えの試合は当たり前。朝の8時台から始まって、第3試合が終わるころには21時近くになる日もあったりで、見ているだけでぐったりします。「苦行に耐えてこそ、真の社会人野球ファン」との意見もありますが、それでは御新規を開拓できません。

試合時間短縮を目指して、今回の関東選手権の1回戦は7イニング制になりました。2022年のU23ワールドカップでも導入された7イニング制。生で見るのは初めてなので、興味本位で神奈川県川崎市の等々力球場まで足を運びました。

【投手】先発が打たれたら即交代。すべて前倒し

4回裏終了で、グラウンド整備の時間に

試合成立は4回まで。グラウンド整備も9回制なら5回終了時ですが、4回終了時点です。すべてにおいて前倒しな感じです。投手交代の決断も早くなります。先発投手が少しでも打たれると即交代。いい投手をどんどんつぎ込んでいく形になります。これまでも都市対抗予選などのトーナメントでは「勝利投手の権利なんか関係ない」と言わんばかりに、先発投手を4回2/3でマウンドからおろす投手起用がありました。7イニング制になれば、早めの投手交代にますます拍車がかかりそうです。

「先発は最低5回までイニングを食ってくれ」は、もはや幻想。先発もリリーフも「行けるところまでどんどん飛ばしていこう」となるのは当然のこと。「得意のカットボールを生かすために、初回はあえて真っすぐ多めで、相手打線に真っすぐを意識させよう」といった先発投手ならではの構成力よりも、「いい球を初球から」といったリリーフ的発想が主になるのは間違いありません。力と力の対決がより多く見られる反面、「野球の味わい」がなくなる怖さがあります。

【打者】「初球から振る」打者には「初球から決め球」で

初球からどんどん振ってくる北畠栞人(TDK)

投手が力で押してくるとなると、打者の方も積極的にならざるを得ません。「ファウルを打って、ボディブローで先発投手にじわじわとダメージを与える」なんて考えていたら、次から次へといい投手が出てきます。先制点の重みが増すのは明らか。甘い球はどんどん打っていく「好球必打」がより重要になってくるでしょう。

社会人野球を代表する早打ちの強打者・北畠栞人(TDK)は「初球を打つのが一番難しい」と言っていました。北畠は初球からガンガン振っていく1番打者で、プレーボールと同時に長打で出塁します。相手の情報がない場面でも迷わず振って、タイミングを合わせるために、相当の工夫と割り切りをしていると思われます。

社会人野球全体にも、近年は積極的に振っていく流れが出てきました。2023年の明治安田生命は初球から振るスタイルで打力が向上し、4年ぶりに都市対抗出場を果たしました。ところが都市対抗2回戦の王子戦では、ボールを動かす井村勇介(Honda鈴鹿から補強)に完封負けを喫しました。明治安田生命の選手は「初球から厳しいところに投げ込まれて、バットが出なくなった」と話していました。「打者が初球から振る→バッテリーも初球から決め球(に近い球)で勝負する→よくも悪くもパワーベースボール化」といった流れが見て取れます。7イニング制だと、その流れがより顕著になりそうです。

【試合】社会人なのに!1時間52分で終了。ヤマはどこに

野球7回制
コールドゲームではありません。7回で終了です

試合時間はというと、1試合目のENEOSーJR東日本が2時間27分。9回でこの時間なら理想的かな。2試合目の明治安田生命ー三菱重工Eastは1時間52分。社会人野球の試合で2時間を切るなんて!こんなに早い時間に帰っていいのかなと、少々罪悪感を覚えながら帰宅しました。

とはいえ「もうひとヤマ」がくるはずの8回、9回がないのは、かなり物足りません。「8回に一番のヤマ場がくる」という考えも野球にはあります。

阪神の岡田彰布監督は、第一次政権では藤川球児を8回に置いた時期がありました。オリックスでは平野佳寿を8回にしていました。近年でも山本由伸(オリックス)や平良海馬(西武)といった最強投手が、8回のセットアッパーを務めたことがありました。6回と8回だと、セットアッパーにかかる重圧はかなり違うような気がします。6回なら先発投手がそのまま投げて、ダイレクトにクローザーにつなげる試合も増えるでしょう。社会人だとクローザーはいるけど、そこにつなぐまでの人材が若干足りないので、7イニング制の方が助かる気もします。 

【観客】ルール改訂には心。変化にアジャスト

明治安田生命の1番打者・橘内俊治は、2~3球で打席が終わるイメージ

野球の7イニング制はIOC(国際オリンピック委員会)の意向もあると聞きます。2時間以内に試合が終わって、中継の枠に収めやすい競技にするのも、仕方ないことかもしれません。

 バレーボールもサーブ権のある時だけ点が入る「サイドアウト制」から現行の「ラリーポイント制」になって、試合時間が短縮されました。野球だけは昔からルールが変わらないなと思っていたら、タイブレークが導入されて、ピッチクロック(走者なしなら12秒、走者ありなら20秒以内に投げる)や、けん制の回数は1イニング3回までといったルールが適用されるようになり、いよいよ7イニング制の試合が出てきました。すべては試合時間短縮のためです。

 ルール改正には必ず心があります。競技をより魅力的にするためにルールが変わりますし、ルールにアジャストしたチームが強くなります。見る側もアジャストしていかないと。

 7イニング制の是非はともかく、野球が五輪競技に戻るのであれば、日本代表は社会人と大学生で編成する昔のスタイルを希望します。プロの一線級が集まる侍ジャパンも魅力的ですけど、社会人野球復興のためにもオリンピックは「アマチュアの祭典」であってほしいのですが。ここも変化に対応しないといけませんかね。

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