ハンドボール日本代表のアジア競技大会出場メンバーが2026年7月7日、東京・味の素ナショナルトレーニングセンターで男女とも発表されました。新しいユニフォームも披露されました。愛知・名古屋で2026年9月に開催される大会は、男子はナショナルウイーク(IHFが設定する代表活動期間)と重ならなかったため、国内組のみ16人で挑みます。1人ずつ紹介します。
No.1 中村 匠(GK/29歳/福岡県/豊田合成ブルーファルコン名古屋)
国内有数の支配力を誇る守護神です。長い手足で俊敏に動き、シュートを止めたあとのリバウンドにもう一度ピョコンと飛びつける日は絶好調。ただシュートを止めるだけでなく、最後尾から悟りを開いたような声かけでもチームを救います。9mの外からでも豪速球が飛んでくるアジア勢に対して、DFとの連携を早い段階で確立できれば、国内同様の「圧倒的な中村匠」が見られるはずです。
No.5 中田 航太(RW/27歳/神奈川県/レッドトルネード佐賀)
トニー・ジェローナ男子日本代表監督は、就任以来一貫して、中田のシュート技術を評価しています。世界のレベルやサイズにも慣れてきたので、国内で8割決める技術が、勝負どころで生きてくるでしょう。最後まで流しか引っ張りか見分けがつかないシュートフォームだけでなく、2次速攻での右サイドから切る動き、あうんの呼吸のスカイプレーでも見せ場をつくります。
No.7 蔦谷 大雅(RB/26歳/大阪府/ジークスター東京)
中央大学時代の点取り屋のイメージから、今ではライトバックで右2枚目が守れる貴重な存在になりました。ジェローナ監督がとっかえひっかえ試してきた若手左腕のなかで、一番守れるのが蔦谷です。もちろん攻撃力もあります。勝負どころの7mスローでは、大胆不敵なループシュートを放つなど、勝負度胸は満点。ディスタンスシュートで、相手の枝をかわせるかがポイントです。
No.8 櫻井 睦哉(RW/26歳/茨城県/ブレイヴキングス刈谷)
守備型の大型ライトウイング。純正のウイング・中田航太との使い分けになります。右2枚目を守れるエースキラーで、様々なシステムに対応可能。上背がありながら、相手のエースにしつこく「脚でついていく」のが一番の得意技です。一時期サイドシュートに悩んでいましたが、「長いリーチを生かしてシンプルに打つ」本来の姿を取り戻しました。迷いのないプレーに期待です。
No.14 田中 大介(CB/30歳/長崎県/豊田合成ブルーファルコン名古屋)
30歳でフル代表に入り、センターの1番手に定着。球離れのよさと全体を動かせるゲームメイクで、日本代表に欠かせない存在になりました。速いパス回しでOFのリズムを作る時間帯と、ギラギラとゴールを狙う時間帯の使い分けが秀逸です。2026年1月のアジア選手権のイラン戦では、残り10秒で4バックの7人攻撃から切れ込み、決勝ゴールを決めました。DFの頭をかち割るステップシュートも得意です。
No.15 部井久 アダム勇樹(LB/27歳/福岡県/ジークスター東京)
「アダムキャノン」と呼ばれる豪腕シューターですが、日本代表ではDF色が強く、2026年1月のアジア選手権では「3枚目DFで欠かせない人」になっていました。「部井久と誰が組むか」で試行錯誤していたように見えていたので、所属でコンビを組む玉川裕康の代表復帰は朗報です。2m級の2人が3枚目で並べば、9mの外からの無茶打ちを防げるでしょう。ケガなく元気に、大会を乗り切ってほしい選手です。
No.18 市原 宗弥(PV/26歳/神奈川県/豊田合成ブルーファルコン名古屋)
攻守に粘り強いファイター。ラインクロスになりそうなところでギリギリ耐えて、逆スピンシュートを根性で決め切ります。アグレッシブに仕掛けるDFが、代表デビューとなった2025年1月の世界選手権では「即退場」になっていましたが、国際試合で退場にならずに守るコツもつかんできました。アジア選手権準決勝のバーレーン戦でやられた責任を痛感し、DFでの名誉挽回を誓っています。
No.19 杉岡 尚樹(LW/32歳/京都府/ブレイヴキングス刈谷)
純正のレフトウイングで、攻守の切り替えの早さは健在です。パッとボールを奪って、味方にパスを出したあとに加速して、相手を置き去りにします。セットOFでも、縦振りのシュートフォームから高確率で決めてくれます。内ひねりをかけて高い弧を描くループシュートは、唯一無二の必殺技。2026年1月のアジア選手権では、準決勝進出をかけたイラク戦でシュート率100%の大活躍でした。

No.20 渡部 仁(RB・RW/36歳/大分県/ブレイヴキングス刈谷)
屈強な左腕。長く代表で活躍してきた「ジン・ワタナビー」は、アジアでもリスペクトされています。衰え知らずの強い体を武器に、シンプルですが力強いプレーで、攻守両面で2人分の仕事をしてくれます。2026年1月のアジア選手権では、榎本悠雅(ヴィオヴィデナ/セルビア)のケガで、大会終盤はフル出場を余儀なくされました。プレータイムをうまく調整できれば、まだまだ世界で通用します。
No.21 岩下 祐太(GK/35歳/熊本県/ジークスター東京)
爆発的な動きで止めまくるベテランGK。サイズの大きいGKを好む外国人監督でも、必ず最後は岩下の爆発的なキーピングを評価して、メンバーに入れています。若いころは気持ちにムラがありましたが、ジークスター東京に移籍後は見違えるようにメンタルが安定し、どんな使われ方をしても最高の集中力を見せています。DFとのやりとりにも思いやりが出てきて、本当にいいベテランになりました。
No.23 吉野 樹(LB/31歳/埼玉県/ブレイヴキングス刈谷)
日本代表で鍛えられ、日本代表でできることを増やし、真のエースに成長しました。DFと接触しない位置で打ちきれたら、世界レベルでも9mの外からロングシュートが入ります。好調時の吉野は、アジアでも「別格」と言っていい存在です。近年はアウト割りやポストパスも上達し、判断にも強いこだわりを見せるようになりました。勝負の責任を背負って選択したプレーは、見る人の心を熱くします。
No.24 後藤 隼(LW/23歳/大分県/トヨタ自動車東日本レガロッソ宮城)
今回のサプライズ枠。大型で3枚目を守れるレフトウイングは、DFのいいアクセントになるでしょう。純正のレフトウイング・杉岡尚樹と出場時間を分け合いながら、左の2枚目、3枚目DFでも戦力になってくれたら。大分雄城台高校(大分)時代に急激に身長が伸びたため、187cmと長身なのにサイドシュートが得意という特殊な選手に育ちました。遠めの上(後藤から見て右上)への精度は抜群です。
No.27 玉川 裕康(PV/31歳/埼玉県/ジークスター東京)
2025年1月の世界選手権でキャプテンを務めた「玉ちゃん」が、コンディションも整い、代表に復帰しました。チームを背負う責任、代表に課せられた使命をよくわかっているので、DF力以外での波及効果が期待できます。玉川が3枚目にいてくれたら、中東勢もそう簡単にロングシュートを打てません。2mの長身でも、速攻の先頭を走れる脚力は健在。シュートも年々上達しています。
No.30 藤坂 尚輝(CB/24歳/福井県/大同特殊鋼フェニックス東海)
2024年8月のパリ五輪では強烈なインパクトを残しましたが、2025-26シーズンはやや迷いがありました。課題はゲームメイクと個人技の両立。ジェローナ監督は「お前の怖さを忘れるな」と、藤坂に声をかけ続けています。3枚目を孤立させての1対1では、いとも簡単に相手を抜き去ります。引っ張り上(右利きの藤坂から見て左上)までしゃくり上げるブラインドシュートは強烈な飛び道具です。
No.32 橋本 明雄(PV/33歳/大阪府/ジークスター東京)
代表歴はそんなに長くないのですが、ストイックなベテランは「日本代表とは何か」を背中で示してくれます。ライン際では難しいポストパスでも片手でキャッチ。高確率で仕留めてくれます。DFも3枚目で長時間使うには185cmとやや身長が足りませんが、しっかり動いて相手と接触します。ベンチに近い側の2枚目DFでも使えるので、強さと情熱がほしい時間帯には欠かせない存在です
No.38 水町 孝太郎(LB・CB/31歳/福岡県/日本ハンドボール協会)
2026年1月のアジア選手権ではキャプテンを務めました(今大会は未定)。地肩の強さに任せて、盛大に枠外にふかしていたのは昔の話。今では速いパス回しと的確な判断で、できることの幅が広いベテランになりました。DFでも「トニー(ジェローナ監督)のハンドボールを理解している人間が、左2枚目にいることに意義がある」と言い、積極的にクロスアタックでチームを鼓舞します。
藤坂尚輝「名古屋で活躍を」

ここからは、会見に出席した3選手のコメントを紹介します。まずは藤坂尚輝から。
「この1年は、ファンの皆さんが思い描いているようなプレーができていないので、もう一度初心に戻り、考えながらも全力でやるのみです。代表には田中大介さんがいて、2つ上には安平光佑さん(ブルガンSC/クウェート)がいます。僕の周りにヒントがいっぱい転がっているので、先輩たちに話を聞きつつ、ライバルと思いながらやっていきます。ハンドボールはチームスポーツだから、味方にいいシチュエーションを作れば、DFがそっちに寄って、今度は僕に広い1対1のチャンスが生まれてきます。うまく主導権を握りながら、僕が今暮らしている名古屋で、いい結果を残したいですね」
「新しいユニフォームは、今日初めて見ました。個人的には漆黒のサードユニフォームがカッコいいですね。背番号は39から30に変えました。キレイに見える番号にしたかったので、ユニフォームを変えるタイミングで『30番がいいな』と思って、つけさせてもらいました」
玉川裕康「ハンドボール知ってもらうチャンス」

「真ん中のDFを期待されていると思います。部井久アダム勇樹とはジークスター東京で一緒にやっているから、あうんの呼吸で守れます。3枚目が安定することで、2枚目ともいい連携が取れると思います。(右2枚目に入る)櫻井睦哉とはパリ五輪で一緒にやっているので、心配はありません。GKと連携してシュートを防げたら、勝利に近づけます。ハンドボールの根幹はDFですからね」
「トニー(ジェローナ監督)はこまめにコミュニケーションを取ってくれるし、普段の活動からも学ぶところが多いです。トニーはいろんなカテゴリーを視察したり、地方でハンドボールのクリニックを開催したり、日本のハンドボールが発展するために尽力しています。僕も大好きなハンドボールの価値を高めていきたいし、ハンドボールを知らない人にももっと知ってもらいたい。いろんな競技が集まるアジア競技大会は、多くに人にハンドボールを見てもらうチャンス。ハンドボールの価値を高めつつ、優勝を目指します」
水町孝太郎「判断力で上回る」

「アジアは強敵がそろっていて、どの国もチームカラーが違います。カタールは大砲がいて、ロングシュートをどんどん打ち込んでくる。バーレーンは強烈な1対1で攻めてくる。クウェートはシューター、パサー、フェインターのバランスが取れている。サウジアラビアはヨーロッパスタイルを取り入れようとしているのかな。日本は大会期間中にいかに修正して、相手を上回る対策ができるかが勝負になると思います。2026年1月のアジア選手権では、ボールを奪いにいく5:1DFを大会通して表現できたのが収穫でした」
「トニー(ジェローナ監督)は選手に寄りそって、試合中にも『この戦術は合うか?』と聞いてくれます。たとえば前回のアジア選手権では、7人攻撃を勝負どころで使う予定でいました。でも選手間ではGKがいない不安の方が大きかったので、トニーと話し合って『4バックにしてみようか』という流れになりました。大会の後半からは、4バックを効果的に使えるようになりました。トニーが求めているのは判断力なので、戦術の変化や相手の変化にも対応しながら、相手を上回りたいですね」
2023年大会は4位
2023年の前回大会は4位でした。以前の代表合宿で、トニー・ジェローナ監督は「アジア選手権が4位だったから、ひとつステップアップしてメダル(3位以内)を目指す」と言っていました。今回も紙一重の戦いが続くと思われますが、彗星JAPANの結束力で、いい色のメダルを期待しています。アジア競技大会でハンドボール男子は2026年9月20日に予選が始まり、29日に決勝が予定されています。会場は愛知県稲沢市の豊田合成記念体育館 エントリオと、同県春日井市総合体育館です。

Pen&Sports ニュースレター(無料)に登録する
スポーツ特化型メディア“Pen&Sports”[ペンスポ]は毎週、無料ニュースレターを配信しています。原田亜紀夫編集長が勝ち負けを伝えるだけに終わらない、舞台裏のストーリーや本質に焦点を当てたコラムをお届けします。読めばニュースの見方が多面的になり、きっと気づきがあるはずです。登録・解除はいつでも可能です。





![Pen&Sports[ペンスポ]スポーツ特化型メディア](https://sports.pen-and.co.jp/wp-content/uploads/2026/01/スポーツを深くしる手書き_白字.png)






\ 感想をお寄せください /