【サッカー】ゴールキーパーが転向するなら。過去にはアイスホッケーと「二刀流」も

写真:makieni
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ゴールキーパーはサッカーにおいて、唯一無二の特殊なポジションである。近年は細分化された様々な専門のコーチがいるが、GKコーチは昔から存在する専門職だ。GKは一度、専門性を高めるとコンバートが難しい。ポジションの枠が少なく選手寿命が比較的長いため、世代交代サイクルが遅く、キャリアに行き詰まり苦悩するGKは少なくない。そんな悩めるGKのための活路について考える。

目次

有名フィールドプレーヤーのコンバート

サッカーは、他のフットボール系のスポーツと比較してポジションのコンバートが容易だ。元々はミッドフィルダーだった湘南ベルマーレの控え選手、鈴木淳之介(現FCコペンハーゲン)はディフェンダーにポジションを変更して日本代表にまで上り詰めた。

海外ではポルトガル代表クリスチアーノ・ロナウドがウインガーからセンターフォワードに、そしてスペイン代表セルヒオ・ラモスが右フルバック(サイドバック)からセンターバックにコンバートした例が有名だ。元イングランド代表ディオン・ダブリンは、センターバックからセンターフォワードに転向して覚醒し、マンチェスター・ユナイテッドに引き抜かれ、その後も状況によってはディフェンダーを務めることがあった。(下に記事が続きます)

ポジション転向しやすいサッカーでGKは例外

フィールドプレーヤーが即席でゴールキーパーを務めることがある。例えば、GKが負傷したり退場になったりした時である。見世物としては、かなり盛り上がるが、トップレベルでGKも兼務できるフィールドプレーヤーは稀だ。

さらに珍しいのが、GKでありながらフィールドプレーヤーもプレーする選手である。やむを得ずフィールドプレーヤーがGKの代役をすることはあっても、フィールドの代役はフィールドプレーヤーで事足りるため、GKが駆り出されるような状況は生まれにくい。

代表クラスの選手でGKとフィールドの両方のポジションをプレーしたのは、元メキシコ代表ホルヘ・カンポスなどに限られ、天然記念物級に個体数が少ない。ホルヘ・カンポスはGKとしては小柄の体重65kgで、身長は自称175cmだがサバを読んでいた説もあり実際には168cmくらいだったのではないかとも言われる。現代のトップクラスのGKは190cm代が当たり前だから、かなり規格外の小型GKだった。ホルヘ・カンポスはフィールドではスピードのあるストライカーとしてキャリア通算30得点以上を決めている。

育成世代に特性が変化してポジションをコンバートすることはよくあるが、専門性を高めた一般的なGKが、他のポジションにコンバートすることは容易ではない。序列が1番のGKが負傷しないかぎり第2GKにはなかなかチャンスが巡ってこない。出場機会を得るためには、どのような可能性があるのだろうか。

アイスホッケーに転向した元チェルシーGKペトル・チェフ

新天地として他のスポーツのゴールも選択肢に入れてもよいだろう。求められるスキルは共通する部分がかなりある。

チェルシーFCやアーセナルFCでもプレーした元チェコ代表GKペトル・チェフは2019年に37歳でサッカー選手として引退すると同年、イングランドのナショナル・アイスホッケー・リーグ・ディビジョン2・サウス(4部相当)のギルドフォード・フェニックスに入団し、GKに相当するゴールテンダーとしてプレーし2021-2022シーズンに3冠を達成した。

その後、ナショナル・アイスホッケー・リーグ・ディビジョン1・サウス(3部相当)のチェルムズフォード・チーフテンズやオックスフォード・シティ・スターズに移籍。

2021-2022シーズンに期限付きでエリート・アイスホッケー・リーグ(1部相当)のディフェンディング・チャンピオンであるベルファスト・ジャイアンツに加入した。

ペトル・チェフは、ユース時代にサッカーとアイスホッケーをプレーしていたが途中でサッカーに専念した経緯があり、アイスホッケーの心得があった。(下に記事が続きます)

二足のワラジを履いたバロンドール受賞者レフ・ヤシン

バロンドールを受賞した唯一のGKである元ソ連代表レフ・ヤシンは、1949ー1970にFCディナモ・モスクワでプレー。1954年までアイスホッケーの名門であるHCディナモ・モスクワでゴールテンダーとしてもプレーしていた。トップレベルでサッカーとアイスホッケーを掛け持ちでプレーしていた超人的な能力の持ち主だった。

アイスホッケーは、スケート靴を装着する必要があり、経験のないサッカー選手が即戦力になるのは現実的ではない。

フィールドホッケーは、スケート靴が不要で、選手の人数がサッカーと同じ11人で戦術がサッカーと似ているため、アイスホッケーよりは転向しやすいだろう。しかし、GKといえども、ホッケースティックの習熟には時間を要するだろう。

ハンドボールのGKは多くの共通点

未経験者が転向するのであれば、ハンドボールのGKの方が現実的だろう。サイズこそ異なるが球形のボールを手で扱う。

シュートはサッカーの足や頭ではなく、手から放たれる。手でボールを握って放つため、ハンドボール特有のタイミングに慣れる必要がある。身体を大きく広げてコースを消す動作が多いが、これはゴールのサイズがサッカーより小さく、近距離からのシュートが多いことが理由だ。これは、サッカーのGKにもある動きで、さほど戸惑うことはないだろう。理由は多少異なるが、GKに長身が好まれるのも共通している。(下に記事が続きます)

ハンドボールスタイルのGK

ACFフィオレンティーナのスペイン代表GKダビド・デ・ヘアは、サッカーの試合においてハンドボールのようなゴールキーピングを見せることがしばしばある。これは、フットサル経験の影響があると思われる。スペインはフットサルの世界最高峰と言われており、幼少時代にプレーしていたサッカー選手は多い。フットサルのコートやゴールのサイズはハンドボールと同じだ。

マンチェスター・ユナイテッドやマンチェスター・シティなどでプレーした元デンマーク代表GKピーター・シュマイケルもハンドボールのような動きをよく見せるが、これは正真正銘ハンドボールで得たものだ。ユース時代にハンドボールもプレーしていた。

FCバイエルン・ミュンヘンのドイツ代表GKマヌエル・ノイアーも、子ども時代にハンドボールをプレーしていたが、やはり動作が時折ハンドボール風である。

有望な新天地は移籍、フットサル、ハンドボール

サッカーの代表クラスのGKがハンドボールのようなゴールキーピングを見せることは、この2つの競技のGKに求められる資質に共通点が多い証だろう。

ハンドボールには足でボールを扱うプレーはほとんどないため、サッカーへの転向は難しいが、サッカーのGKがハンドボールに転向するのは、現実的な選択肢と言える。

サッカーで行き詰まり活路を見出したいGKにとって、移籍の他にフットサルやハンドボールのGKも検討に値するだろう。

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