日本サッカー協会(JFA)は2025年10月2日、10月のキリンチャレンジカップ2試合の日本代表メンバーを発表した。今回発表された27人のうち唯一の初招集はイングランド・チャンピオンシップのクイーンズ・パーク・レンジャーズでプレーするアタッカー斉藤光毅(24)だ。
主力級の三笘薫(ブライトン・アンド・ホーヴ・アルビオン)や守田英正(スポルティングCP)はケガで招集が見送られた。
前回の国際親善試合で負傷しレアル・ソシエダでの試合出場が限定的で、招集が危ぶまれていた久保建英は今回の招集リストに入った。前回はクラブとの兼ね合いで招集が見送られたMF中村敬斗(スタッド・ランス)や負傷していたMF田中碧(リーズ・ユナイテッド)が復帰した。
ケガ人が多いDFの復帰組は谷口彰悟(シント・トロイデン)、安藤智哉(アビスパ福岡)、鈴木淳之介(コペンハーゲン)だ。
日本での試合となるが、Jリーグのクラブからは早川友基(鹿島アントラーズ)、大迫敬介(サンフレッチェ広島)、長友佑都(FC東京)、安藤智哉、相馬勇紀(FC町田ゼルビア)、望月ヘンリー海輝(FC町田ゼルビア)の6人が選出された。
アメリカ遠征の「積み上げ」期待
来たる10月シリーズの相手は南米の強豪2カ国。日本代表は10月10日に「パナソニック スタジアム 吹田」でパラグアイ代表と、10月14日に東京スタジアムでブラジル代表と対戦する。中3日とあり、両試合に出場する選手もいるだろう。
戦い方のイメージがつかみやすいのは、パラグアイとの1試合目だ。ブラジル戦は、ふたを開けてみるまでどうなるか分からない。
アジア予選を終えてワールドカップモードに突入。9月の2連戦(対メキシコ、対アメリカ)でFIFAランキングが近い相手と手合わせし、サムライブルーの現在地を測るよい機会となり、世界レベルで戦う上での課題も把握することができた。主力が中心で臨んだメキシコ戦ではチーム戦術でうまく相手の攻撃を抑え込んだが日本も決め手を欠き、個人としてもチームとしても攻撃と得点力が物足りなかった。
A代表で日本はブラジルには、未だ1勝も挙げたことがない。結果だけを考えたら、攻め合うのは無謀だというのは百も承知だ。守りを固めるのであれば、勝利または少なくとも引き分け以上の結果が求められる。
ただし、アジアで攻め勝ってきたことに慣れてしまったサポーターが、ホームで引いて守る日本の戦いに満足するだろうか。

パラグアイ戦の目標は「堅守の攻略」
総合力で優る日本がホームとあり、パラグアイは引いて守ってくることが予想される。
北中米ワールドカップ・アジア予選では守りを固めるオーストラリアやサウジアラビアに日本は攻めあぐねた。さらにパラグアイは南米特有の駆け引きに長けており、激しいチャージも辞さずにあの手この手を使って妨害してくるだろう。
堅守の攻略は本大会を戦う上で日本が解決できていない宿題だ。2022年カタールワールドカップで不覚を取ったコスタリカ戦とも重なって見える。
この試合では、後方からの攻撃参加を得意とするDF鈴木淳之介が世界基準の相手にどれだけ通用するかを見てみたい。
本大会まで時間が限られたなかで経験の浅い選手を招集することについての疑問が呈されると、森保一監督は、鈴木淳之介について熱い思いを語りはじめた。鈴木淳之介はワールドカップ予選のインドネシア戦で代表デビュー後にデンマーク・スーペルリーガに移籍し、FCコペンハーゲンですでに欧州チャンピオンズリーグにも出場している。若手で成長著しいが、それ以上に選手としての特徴が試合の切り札になりうると森保一監督は期待しているのだろう。
その他の若手選手もパラグアイ戦でテストされることが考えられる。

ブラジルは未知の世界
試合の展開が読めないのがブラジル戦だ。史上最多5度のワールドカップ優勝を誇るサッカー王国で、しかも世界的な名将カルロ・アンチェロッティが監督に就任した。「鬼に金棒」とはこのことだ。
果たして日本代表は、ホームの大観衆を前にして引いた戦い方をするのだろうか。
勝利を目指すのであれば、後方に多くの人数を配置するのが堅実だ。今回、呼ばれた顔ぶれを見ると3バックが基本のシステムになるように思われるが、引いた場合は5バックのようになる。日本のウイングバックは攻撃的な選手ばかりだ。パラグアイ戦では攻撃的に戦うことができるが、ブラジル相手では話が違ってくる。攻撃を得意とする選手を守備に回らせても、その良さが生きないのは9月のメキシコ戦でも露呈した。
もう一つの考えうる選択肢は、守備的なタイプの選手をDFラインに並べる4バックだ。
日本に守りを固める気がない可能性も考えられる。個人技が世界一のタレント軍団に真っ向勝負を挑むつもりなのかもしれない。森保一監督は常々、個人能力の向上を口にしている。(下に記事が続きます)
またとないサムライの腕試し
サムライの腕試しをするのであれば、これ以上ない相手だ。守って必勝を狙った戦いに徹するのではなく、個々でぶつかり合う真剣勝負を仕掛けるのも面白い。
ただし、本当に個々の戦いに徹してやりあったらブラジルに分があるのは明らかだ。個々の戦いをグループ戦術やチーム戦術にうまく落とし込みたい。
メキシコ相手に攻めきれなかった日本が、さらに格上のブラジル相手にいかにして攻め込むかは見ものだ。
攻め合うのであれば、その心意気を評価し結果以上に試合内容を精査したい。多くの課題が出たとしてもワールドカップにつながるものであれば、それは大きな収穫だ。
ワールドカップ優勝を目指す日本が決勝トーナメントの正念場での戦い方を考える上で、この試合は重要な指標となるだろう。

パラグアイ戦とブラジル戦の日本代表メンバー
■GK
- 早川 友基(鹿島アントラーズ)
- 大迫 敬介(サンフレッチェ広島)
- 鈴木 彩艶(パルマ・カルチョ/イタリア)
■DF
- 長友 佑都(FC東京)
- 谷口 彰悟(シントトロイデンVV/ベルギー)
- 板倉 滉(アヤックス/オランダ)
- 渡辺 剛(フェイエノールト/オランダ)
- 安藤 智哉(アビスパ福岡)
- 瀬古 歩夢(ル・アーヴルAC/フランス)
- 鈴木 淳之介(FCコペンハーゲン/デンマーク)
■MF/FW
- 遠藤 航(リバプールFC/イングランド)
- 伊東 純也(KRCヘンク/ベルギー)
- 南野 拓実(ASモナコ/フランス)
- 鎌田 大地(クリスタル・パレス/イングランド)
- 相馬 勇紀(FC町田ゼルビア)
- 小川 航基(NECナイメヘン/オランダ)
- 前田 大然(セルティック/スコットランド)
- 堂安 律(アイントラハト・フランクフルト/ドイツ)
- 上田 綺世(フェイエノールト/オランダ)
- 田中 碧(リーズ・ユナイテッド/イングランド)
- 町野 修斗(ボルシア・メンヘングラートバッハ/ドイツ)
- 中村 敬斗(スタッド・ランス/フランス)
- 佐野 海舟(マインツ05/ドイツ)
- 久保 建英(レアル・ソシエダード/スペイン)
- 斉藤 光毅(クイーンズ・パーク・レンジャーズ/イングランド)*
- 望月 ヘンリー海輝(FC町田ゼルビア)
- 藤田 譲瑠チマ(FCザンクトパウリ/ドイツ)
*SAMURAI BLUE初招集
キリンチャレンジカップ2025の日本代表メンバー・スケジュール
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