第15回東海ビーチハンドボールフェスタが2025年4月27日、愛知県碧南市の碧南緑地ビーチコートで開催されました。開催時期の関係で、例年と比べて参加チームが少なかったものの、小、中学生向けの体験会があり、交流戦では飛び入り参加した中学生が活躍するなど、幅広い年代の人たちがビーチハンドボールに触れ、砂浜でのプレーを楽しんでいました。
ビーチスポーツの聖地・碧南
東海ビーチハンドボールフェスタの会場は、2025年も愛知県碧南市の碧南緑地ビーチコートでした。碧南市自慢のビーチコートは2018年7月にオープンしてから、ビーチバレーボール、ビーチサッカー、ビーチハンドボールなど多くのビーチ競技で使われています。オーストラリア産の珪砂(けいさ)を敷き詰めたコートは真っ白で不純物がないため、選手はケガの心配をすることなくプレーできます。
男子はアクアサンズが優勝

男子の部はアクアサンズ(愛知)と浜松ブレイズ(静岡)の2チームで行われました。1日3試合で勝敗を争い、3試合とも勝利したアクアサンズが優勝しました。もともとアクアサンズは静岡のチームでしたが、今回の東海ビーチに向けて監督兼任の山本竜也が引き取り、愛知のチームとして出場することになりました。大会ごとにメンバーの移動があったり、新しいチームが作られたりするのが、ビーチハンドボールの特徴です。全日本ビーチハンドボール選手権大会では日体大OBチームのBBJでプレーする山本ですが、今回はアクアサンズでまとめ役を買って出ています。
シュートアウトの駆け引き

ビーチハンドボールでは、両チーム1セットずつ取り合ったあとの第3セットはシュートアウト(ショットアウトとも言う)で決着をつけます。インドアの7mスローコンテストに近いですが、GKが投げたボールをシューターがキャッチして打ちます。このときに相手のGKはゴールエリアの外に出て、シューターにプレッシャーをかけても構いません。だからチームによっては、GKにDFをわかっている選手を入れて、駆け引きをしてきます。
この日の山本はシュートアウトでGKに入り大活躍でした。ゴールエリアの外に出て、CP(コートプレーヤー)のようにシュートコースを制限します。山本の両手(いわゆる枝)に当たれば、ビーチで言う「シャット(インドアのシュートブロック)」になります。無理に枝をかわそうとしたら、シュートは枠外になります。山本はさらに前に仕掛けて、相手GKのロングパスに飛び出してキャッチするシーンもありました。山本は言います。「GKが簡単に飛び出すと、相手のGKにエンプティゴールを狙われてしまいます。だから一度戻るふりをしたりして、相手のGKの判断を揺さぶります。そのあとはシューターとの駆け引きですね。僕は待ってシュートを止めるのではなく、前に仕掛けてシャットに跳ぶスタイルでやっています。ビーチハンドは駆け引きの競技なので」(下に記事が続きます)
専門外のポジションでも活躍

一方の浜松ブレイズは、大会2日前に監督兼任の常田佑太が緊急入院するアクシデントに見舞われました。国内トップの左腕・常田を欠いた戦いになりましたが、春から取り組んでいる「複数のポジションでプレーする」成果が見られました。GKの若杉一翔は3試合目にはCPでプレーし、力強く打ち込んでいました。「元々GKですけど、試しにシュートを打ってみたら意外といけたので、今年3月末の桜ノ宮ビーチハンドボールゲームス(大阪)で初めてCPで出ました。この時は調子がよくて、打てば入る状態だったので、それからシュート練習が楽しくなっちゃいました」相手のGKが怖がるほどの剛腕ぶりでした。
マスターズ西川博之、今年も健在

国内最年長で、22025年5月には63歳になる西川博之も、本職ではないGKでプレーする時間帯がありました。「まだGKに慣れていないけど、2本止めることができました。(相手のエース格の)小川豪嗣さんのシュートを右足で止めた感触は、まだ残っていますよ」と、西川は上機嫌でした。愛知教育大学でプレー経験があり、中学校の外部指導では「スーパーじいちゃん」とも呼ばれている西川は、60歳手前でビーチハンドボールの魅力に目覚め、今では浜松ブレイズの名物選手です。「インドアでも、5月に台湾ワールドマスターズに行ってきますよ」と、元気いっぱいでした。(下に記事が続きます)
小・中学生が体験会

女子の試合は、大会直前にSWAGが棄権したため、KUNOICHIが不戦勝で大会連覇となりました。本来なら試合をする時間帯に、KUNOICHIのメンバーは小、中学生向けの体験会を行っています。ビーチハンドはほぼ初めての子供たちですが、砂浜で楽しそうにボールを扱っていました。小学5年生の清水陽蒼さんは、KUNOICHIの星野美佳の体験会に参加したことがあるらしく、砂浜での動きが様になっていました。弟で小学2年生の清水遥馬くんは「楽しかったのはおにごっこ!」と言っていましたが、ボールを投げる姿にもセンスが感じられました。こういった未来への種まきにも力を入れているのが、KUNOICHIのよき伝統です。
交流戦に女子中学生が飛び入り参戦

残念ながらKUNOICHIは公式戦ができませんでしたが、午後から集まった有志と交流戦をすることになりました。有志のなかには島田恭輔、柴田光陽といった、昨秋の全日本ビーチで優勝したメンバーがいたり、2人の女子中学生の飛び入り参加もありました。長田悠菜さんと平山陽菜さんは、愛知県高浜市立高浜中学校のハンドボール部員。顧問の先生から「興味があるなら、行ってみたら」と言われて、近場の碧南ビーチに足を運んだとのこと。せっかくだから試合にも参加することになり、2人にビブスが渡されました。
CPの平山さんは「砂の上だと、1対1のフェイントがかけにくかった」と言いながらも、自分からボールをもらいにいく意欲が感じられました。大人のメンバーが体力不足を感じるなかでも「体力には自信があります!」と、最後までアグレッシブに前を狙っていました。GKの長田さんは、3セット目のシュートアウトで最後のシュートを防ぎ、見事勝利に貢献。「止められて嬉しかった」と、チームメートのところに全力で駆けていく姿が初々しかったです。2人とも「将来はビーチハンドをやります」と、大満足の様子でした。(下に記事が続きます)
10月には聖地で年に一度の全国大会が開催予定

小学生から60代まで、幅広い年代がビーチハンドボールを楽しんだ大会になりました。来年は参加チーム数がもっと増えるといいですね。聖地・碧南で、より多くの人がビーチハンドボールに触れて、その面白さを知ってもらえたらと思います。ちなみに2025年10月25、26日には、この碧南緑地ビーチコートで全日本ビーチハンドボール選手権大会が開催予定です。

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