バレーボール男子イタリア1部リーグ・セリエAは2025年4月12日(日本時間4月13日)、3戦先勝方式のプレーオフ(PO)準決勝第2戦の1試合があり、日本代表の石川祐希が所属するペルージャ(レギュラーシーズン2位)は敵地のユーロスオーレ・フォーラムでの第2戦でチビタノーヴァ(同3位)に3-2(25-21/18-25/25-23/21-25/15-10)で競り勝ち2連勝、決勝進出まであと1勝にこぎつけた。ペルージャは今季ホームで一度も負けてないチビタノーヴァのブロックに苦しみながら、強力なサーブで応戦。タイブレークにもつれた末に両者が全5セットでともに104得点を取り合った大接戦を制した。試合時間は2時間32分に及んだ。
ペルージャは4月16日(日本時間同17日)にホーム・パラバルトンで行われる準決勝第3戦で勝てば、決勝進出が決まる。この試合でスターティングメンバーから外れた石川は第2、第3セットで途中出場し、2得点だった。
準決勝のもう一つのカードはトレンティーノ(リーグ1位)がピアチェンツァ(リーグ4位)に先勝してリードしている。この第2戦は4月13日(日本時間14日)に行われる。(下に記事が続きます)

石川「OH3番手」が指定席に
勝利後のチーム写真に石川はユニホームではなく、ジャージ姿で収まった。表情はにこやかに見えるが、心中はどうか。もっと試合に出たい。まだまだ貢献できる。だから少し、物足りない。そう思っているに違いない。
ただ、石川の現在の立場は難しい。ペルージャの看板である3人のアウトサイドヒッター(3OH)のなかで、最近はプロトニツキ、セメニウクの先発が固定化している。ロレンツェッティ監督の構想では、石川の序列はどう見てもOHの「3番手」で、それが「指定席」になりつつある。スーペルレガでスタメンだったのはレギュラーシーズン終盤、2月23日のモンツァ戦が最後。これで6試合連続のベンチスタートだ。シーズンを通じてほぼフル出場していたミラノ時代と比べて、出場機会が激減している。
この試合、まず第2セットの13-22でコートに送り込まれ、アタックによる2得点で見せ場は作った。ただ、すでにチビタノーヴァが連続得点でたたみ掛けた直後で、相手のイケイケの状態を跳ね返すには点差が開きすぎていた。続く第3セット。24-23の場面ではゾッペラーリと共に2枚替えでコートイン。殴るようなサーブを打ち込んで、このセット奪取に貢献したものの、その後コートに立つことはなかった。

プロトニツキ、セメニウクに割って入るには
一方、チームメートでありながらポジション争いを繰り広げるプロトニツキとセミニウクはこの試合、ともに15得点を挙げてチームを牽引した。プロトニツキはこの試合でも7本のエースを決めた爆発的なサーブで信頼され、セメニウクは多彩なオフェンスに加えてレセプションで石川のデータを上回る。昨シーズンのセリエA優勝に貢献した2人は来季もペルージャ残留が決まっていて、しかもプロトニツキはウクライナ代表を引退して、ペルージャでのプレーに専念することを決めている。プレーオフに駒を進めてからますます調子を上げてきているこの2人に石川が割って入るには、試合でも日頃の練習でも相当なアピールが必要なことを容易に察することができる。(下に記事が続きます)
石川が超えるべき壁
ペンスポは2月に行ったロレンツェッティ監督への単独インタビューで、石川がペルージャでスタメンを勝ち取るために必要なことを尋ねた。監督はこう言った。
「フィジカルの強さです。ユーキ(石川)は192cmと身長が低いのでその分、ものすごく高く跳びます。高く跳ぶために体には負荷がかかります。ディフェンスでも時速120キロのサーブを1試合に10本から15本受けてすぐにアタック、そしてディグもする。これは相当な負担であり、フィジカルを鍛えないと耐えられません。彼はもちろん優れたアタッカーですが、さらにキャリアを積んでいくためには、もっとフィジカルを強くしなくては。それはパワー、持久力の両方です」
イタリア10年目。世界屈指のトップチーム、昨季のスクデット(セリエA優勝)メンバーが残るペルージャだからこそ、石川が超えなければならない壁がある。

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