【ラグビー】東芝リーチマイケルに「今季一番きつかった」と言わせた意外な相手・三重ホンダヒート

2024年1月14日、秩父宮ラグビー場の試合後の取材ゾーン。東芝ブレイブルーパスの主将、リーチ・マイケルが疲れた表情で言った。「めっちゃプレッシャーをかけられた。今シーズンでいちばんきつかった」

リーグワン1部もこれで5試合を消化した。ここまで無傷の開幕4連勝と勢いに乗る東芝ブレイブルーパス東京はこの日も、リーグでまだ未勝利の三重ホンダヒートに40－12で快勝し、連勝を5に伸ばした。東芝の開幕5連勝は、遡ること2011年度のトップリーグ以来となる12シーズンぶりだ。

ところが、そんな快勝にもリーチは意外な言葉を並べた。「今のリーグワンはどこも強い。今日の試合も去年のチームだったら負けていた」

スコアほど実力差感じず

リーグで2位につける東芝の主将リーチが、今季1部に昇格したばかりの最下位、三重ホンダヒートに向けた発言は、試合結果だけをテレビニュースや新聞で知った人にとっては意外に映るだろう。ただそれは、思うような試合運びが出来なかった反省と、相手へのリスペクトから来る正直な言葉だった。

記者席から観戦していた筆者も同じ印象を抱いた。スコアほど東芝とホンダの実力差は感じず、内容は拮抗していた。「ホンダヒート、やるな」と思ったのが正直な印象だ。秩父宮のラグビー通も分かっていた。試合終盤にかけてホンダが攻め込むたびに拍手が起こり、自然発生的に生まれた「ヒート、ホンダ!!」の掛け声が次第に大きくなっていった。

ホンダ、2トライをもぎ取る

試合開始1分、東芝は敵陣ゴール前からの攻撃でWTB浜田が幸先よく先制トライ。しかし、そこから三重ホンダヒートに対抗された。南アフリカ代表FWモスタートらのハードワークに押され、約20分間、攻撃の芽を摘まれた。

対するホンダヒートは14分、SO呉洸太の突破から好機を作り、今季初出場となった豪州代表のFBトム・バンクスがタックルをかわしてトライを奪った。しかし、ホンダは21分に危険なプレーをした選手にカードが出て数的不利となったことが悔やまれた。結果、東芝に流れを渡す。許したトライは6本。それでも、試合終盤には後半から出場したLO秋山が2トライ目を挙げて意地を見せた。

—Game Results—
2023-24シーズン 第5節
🆚 #三重ホンダヒート
🏟 #秩父宮ラグビー場

ブレイブルーパス 40 – 12 ホンダヒート
(前半 26 – 5 / 後半 14 – 7)

たくさんのご声援ありがとうございました🐺🔥#東芝ブレイブルーパス東京 #猛勇狼士#ラグビー #リーグワン #ラグビー観戦 #japanrugby… pic.twitter.com/X4pNKd35LW

— 東芝ブレイブルーパス東京 (@bravelupus1048) January 14, 2024

クローリーHC「ハッピーなパーツが増えてきた」

ワールドカップ・フランス大会でイタリア代表の指揮を執ったことで知られる三重ホンダヒートのキアラン・クローリー新ヘッドコーチ（HC)は、「残念ながらスコアはついてこなかったし、レフリーの判定も自分たちには風が向かなかった。それでも、ここ数週間で試合中のハッピーなパーツは増えてきた。チャンスは作れている、あとはチャンスで決めきること」と手ごたえを口にした。クローリーHCは「4年で三重ホンダヒートを日本一に」と長期計画の目標を掲げる。

開幕5連勝の東芝と5連敗のホンダ。結果で見れば、明暗がくっきり分かれた格好だが、その内容では実力差をそれほど感じさせない締まったゲーム。この試合のPOM（Player of the Match）に選ばれたリッチー・モウンガも「タフなゲーム」と評した三重ホンダヒートも成長を重ね、今後は決して侮れない相手となるだろう。リーグワンのレベルの底上げを実感した一戦でもあった。