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【バレーボール】石川祐希旋風、SNSでも | ペルージャのバズる投稿・仕掛け人はこの人 [下]

すっかりと気心が知れた雰囲気の石川とフランチェスコ。この記事のためにわざわざ撮影してくれた(写真提供:Francesco Biancalana)
すっかりと気心が知れた雰囲気の石川とフランチェスコ(写真提供:Francesco Biancalana)
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世界最高峰と称されるイタリア男子バレーボールリーグ・スーペルレガで、日本代表のキャプテン・石川祐希(28)は10シーズン目を迎える。今季からプレーするのは、昨季4冠を達成したペルージャ(正式名:SIR SUSA VIM PERUGIA=シル ・スーサ・ ヴィム・ペルージャ)だ。世界から注目を集める石川を迎えたペルージャはその期待を表すかのように、背番号「14」にちなんだ5月14日、ペルージャの公式SNSで、石川にちなんだ5本の投稿を連打した。とりわけ話題をさらったのは一連の投稿5本目のクライマックス、アニメ動画だった。(全2回の完)

目次

会見が無理でも「ユウキに特別なことを」

まだコロナ禍の影響が残る、2021年のシモーネ・ジャンネッリの入団会見(写真提供:SIR SUSA VIM PERUGIA)
まだコロナ禍の影響が残る、2021年のシモーネ・ジャンネッリの入団会見(写真提供:SIR SUSA VIM PERUGIA)

ペルージャが常勝チームとして定着した近年は、ザイツェフ(元イタリア代表のエース)、レオン(世界最強とも称されるポーランド代表)などの世界屈指のビックプレーヤーが在籍した。現在もジャンネッリ(イタリア代表キャプテン)がチームをけん引している。ペルージャはこれまで、この3人だけは夏に単独で特別記者会見を行ったが、オリンピックイヤーである今年は石川がペルージャに来ることができない事情があった。

「単独記者会見ができなくても、ユウキには何か特別なことをしたい!と考えあぐねていたんだよ」。ペルージャのSNS投稿を手掛けるデジタル・マーケティング担当のフランチェスコ・ビアンカラーナ(34)はいう。

「目に留まったのがあるクリエイターが投稿していたサッカークラブ・レッチェのアニメ動画。これだ!と思ったよ。早速、彼にユウキのアニメ制作を依頼した。みんなが興味を持ったあの日本語の歌は別で作成したわけではなく、クリエーターにはたまたまイタリア在住の日本人の友人がいて、彼が作詞した歌とテロップを入れて丸ごと納品してくれたんだ」

出身地の岡崎が出てきたのは、イタリアでは自己紹介などで必ず出身地を言ったり聞かれたりする慣習があるからだろう

「イシカワ旋風」前に戦々恐々

マーチャンダイジング担当の女性は、オンラインショップのほか、試合当日のショップでもグッズを販売している(写真提供:SIR SUSA VIM PERUGIA)
マーチャンダイジング担当の女性は、オンラインショップのほか、試合当日のショップでもグッズを販売している(写真提供:SIR SUSA VIM PERUGIA)


昨シーズン、敵チームながらミラノ在籍時の石川の人気ぶりを知っていたフランチェスコだが、5月14日の一連の投稿への反響は予想以上だった。単なる投稿の閲覧数だけでなく、世界各国の言語でコメントが押し寄せる。5月24日に筆者がペルージャを取材した時も、その後のメッセージのやり取りでも、「このコメントはなんて書いてあるの?」「日本人の反応はどんな感じ?」「日本語訳を入れてもいいんだけど世界中にファンがいるからやっぱり英語かな?」など、相談を受けることもしばしば。他の投稿以上に、石川の投稿やその反響には特に敏感であるようだ。

取材時に本部オフィスに立ち寄った際には、グッズ担当の女性スタッフに引き留められた。すでに日本からグッズ購入の申し込みがきており、なじみのない日本の住所のことや、どれが名字でどれが名前なのかが分からず困惑していたのだ。「日本からのリクエストが増えるなら、ユウキだけのグッズ担当をつけてもらわないと私ひとりじゃ無理」と不安を吐露した。

本部オフィスを離れる前に広報責任者も加わって一緒に雑談をした際には「(高橋藍が在籍していた)モンツァと対戦したプレーオフの決勝の時は日本人記者が押し寄せていて、モンツァのスタッフはてんてこまいだったよ。あれはすさまじかったなぁ」と、彼がぽつりとつぶやいた。

筆者が「ユウキが来たらあなたたちも同じようになるよ、いや、それ以上かもしれないよ」と伝えると、顔を見合わせて無言状態になっていた二人。どこまでボルテージが上がるか分からない「イシカワ旋風」に、戦々恐々といったところだろう。(下に記事が続きます)

バレーファン以外にも届け!ハリポタ風演出

8月30日に行われたチステルナとの練習試合、すっかりチームに溶け込んでいる(写真提供:SIR SUSA VIM PERUGIA)
8月30日に行われたチステルナとの練習試合、すっかりチームに溶け込んでいる(写真提供:SIR SUSA VIM PERUGIA)

ペルージャ所属選手の多くはその後、代表活動に入ったため、各国代表の所属選手のVNL(ネーションズ・リーグ)やオリンピックでの活躍が投稿されたが、ペルージャ独自の投稿は限られていた。オリジナル投稿の再開は、代表から帰ってきた各選手がペルージャ入りする直前の8月18日。ここでもペルージャの遊び心が発揮された「ハリーポッター風」の演出で各選手の投稿が統一されていた。

ハリーポッターは単なる思い付きではない。彼らの到着を祝う大事な投稿ゆえ、広報チームでSNSトレンドを参考に吟味し、バレーボール以外の幅広いファンを獲得するために選んだテーマだ。最初に5パターンの投稿内容を決定した後、それぞれの選手に割り振った。

翌8月19日には入団発表投稿と同じマテ茶を小道具に使ったロセルからスタート、そして8月20日には待望の石川の登場だ。入団発表時の5月14日の投稿と同じく「彼がやってきます」と日本語での投稿から始まり、立て続けに5本の投稿を行った。

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ペルージャ在籍の各国代表選手であるセメニウク(ポーランド代表)、ロセル(アルゼンチン代表)、石川(日本代表)、ルッソとジャンネッリ(イタリア代表)にペルージャが受け入れ準備が整っていることを伝える手紙
ハリポタ風動画はロセルとルッソが12秒、セメニウクが9秒。石川は26秒とジャンネッリの32秒に次ぐ大作だった。Xでは入団動画を上回る121万ビュー(2024年8月末)
4本目は石川の新しいキャラ開眼を思わせるコミカルな投稿。「聖人コスタンツォ(ペルージャの守護聖人)になにお願いする?」と地元民に聞くような質問に、石川が「俺、日本人なんだけど!?」とツッこむ
最後は「みなさん、チャオ。新しいホームであるペルージャに来られてとても嬉しいです。ペルージャのファンの前でプレーするのが待ち遠しいです。アリーナでお会いしましょう!」のメッセージ

石川「フランチェスコの好きにして」

この記事のためにわざわざ撮影してくれた(写真提供:Francesco Biancalana)
この記事のためにわざわざ撮影してくれた(写真提供:Francesco Biancalana)

石川のペルージャ到着の数日前、日本のエージェントに投稿内容を伝えて承諾を得たうえでマテリアルを準備した。撮影中はいつもニコニコ笑顔の石川で、フランチェスコが見た印象ではかなり楽しんでいたようだ。ほうきにまたがって本拠地に舞い降りるという完成したハリポタ風投稿を見せると、石川からはすぐに一発OKが出た。

聖人コスタンツォの投稿では、サングラスのイラストを最後に挿入しないもの・挿入したものの2パターンを石川に見せ、どちらが好みか聞いてみた。石川の答えは「フランチェスコの好きにして」。見せた時に石川がぷっと笑いをもらした後者が最終的に投稿された。

それでもフランチェスコは撮影初日、「撮影後に挨拶してくれなくなったらどうしよう」と一抹の不安を抱いていたそう。もちろんそれは取り越し苦労で、それどころか石川はどんなリクエストにもいつも笑顔で対応してくれている。(下に記事が続きます)

今季のチーム紹介イラストはアバター

2024ー25シーズンはアバター風。中段の真ん中が石川だ(提供:SIR SUSA VIM PERUGIA)
2024-25シーズンはアバター風。中段の真ん中が石川だ(提供:SIR SUSA VIM PERUGIA)

2023-24年はシンプソン風。背景の左はホームアリーナのパラ・バルトン、中央から右がペルージャの町の中心である11月4日広場(写真提供:SIR SUSA VIM PERUGIA)

2023-24シーズンはシンプソン風。背景の左はホームアリーナのパラ・バルトン、中央から右がペルージャの町の中心である11月4日広場(写真提供:SIR SUSA VIM PERUGIA)

SNS投稿とは別にフランチェスコが毎年力を入れているのが、新チーム紹介のイラスト紹介である。シーズンスタートを飾る重要な投稿のため、「他チームにはないオリジナリティのあるものを」と、彼がデジタル担当に就いた翌年の2023年より始めたものだ。1回目のシンプソン風は反響が大きかったため、2回目の今季については、筆者が取材した5月からフランチェスコは何にしようかと考えていたが、アバター風のものが7月半ばに公開された。

SNS投稿以外に今準備しているのは、試合中に使用する選手ごとのミニビデオだ。得点を決めた時、その選手のオリジナルビデオがアリーナの画面に流れるのだが、これはまだ構想の真っ最中。どんなミニビデオが流れるか?これもリアル観戦時の1つの楽しみとなるだろう。

リーグ開幕は9月29日だが、8月30日には垂水優芽選手も在籍するチステルナとテストマッチが行われ、ペルージャが3-1(25-20,25-17,25-18,24-26)で勝利した。

石川は3セット目から途中出場ながら、チーム最多の13得点を記録した。9月にはポーランドにて現地チームと4チームのカップ戦、イタリア・イエージにてルーベ、ミラノ、フランスのトゥールと4チームでのカップ戦、そして今季のチーム発表記者会見は9月中旬、9月21~22日にはスーペルコッパと、試合やイベントが目白押しだ。

筆者もチーム紹介記者発表には取材に赴く予定だ。その内容はPen&Sports [ペンスポ] 主催のオンラインイベント「スーペルレガ開幕直前!ペルージャ緊急レポート」 で紹介する。どうぞお楽しみに!

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