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【パリ五輪/パラリンピック】スマホより頼れる案内ボランティア

パリのサン=ラザール駅で競技会場名が書かれた「のぼり」を背負う都市ボランティア。お目当ての会場ののぼりを探して尋ねると、何番線のどの列車に乗ればいいか教えてくれる。
パリのサン=ラザール駅で競技会場名が書かれた「のぼり」を背負う都市ボランティア。お目当ての会場ののぼりを探して尋ねると、何番線のどの列車に乗ればいいか教えてくれる=2024年7月、原田写す
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約2週間に渡ったパリ五輪の取材で印象的だったのは、五輪期間中に3万人が活動したと言われる現地ボランティアの献身だ。土地勘がないパリで、お目当ての会場に時間通りにたどり着き、宿に迷わず戻れたのは、行く先々で案内してくれたボランティアのおかげだ。私が特に助けられたのは、電車や地下鉄を乗り継いで競技会場に向かう際、その会場の名前が書いた「のぼり」を背負って案内してくれる都市ボランティアだ。行きたい会場ののぼりを背負っている人を探して近づくと、何番線のどの電車に乗ればいいか笑顔で教えてくれる。フランス語や英語が話せなくても、視覚的、直感的に誰に尋ねるといいか分かる、さりげないアイデア。2024年8月28日開幕のパリ・パラリンピックを観戦する人にも頼りになりそうだ。

目次

いたるところに「のぼり」

パリのサン=ラザール駅で、ホッケー会場の「スタッド・イヴ・デュ・マノワール」への行き方をスマホで調べようとしていた時、目の前にその会場名が書かれたフラッグを背負ったボランティアがいた。最近の市民マラソンでペースメーカーが身に着けているような、ハートを半分に切ったような形だ。主要駅では様々な会場ののぼりを背負ったボランティアがいて、列車の出発時刻まで教えてくれるから、大助かりだった。(下に記事が続きます)

パリ大会、4万5千人の枠に30万人応募

ホッケー会場の入場ゲートで観客の電子チケットを端末で読み取る大会ボランティア(左)
ホッケー会場の入場ゲートで観客の電子チケットを端末で読み取る大会ボランティア(左)

五輪・パラリンピックのボランティアには、主に競技会場や選手村で大会運営をサポートする「大会ボランティア」と、駅や空港、街中で旅行者、観光客をもてなす「都市ボランティア」の2種類がある。前回の2021年東京大会ではそれぞれを「フィールドキャスト」「シティキャスト」と呼んだ。しかし、大半の競技が無観客で行われたため、特に東京都や会場のある自治体が募集したシティキャストの活躍の場は限定された。

パリ大会では大会ボランティアは緑色の統一ユニフォーム、都市ボランティアは紫色のベストを着ていた。五輪期間中は約3万人、パラリンピック期間中は1万5千人が大会をサポートする。この計4万5千人には世界中の30万人から応募があったと大会組織委員会やパリ市は発表している。

ちなみに2012年ロンドン大会では、7万人の募集に対して24万人、東京大会では、8万人の募集に対して20万4千人の応募だったことを踏まえると、パリ大会へのボランティアへの関心はかなり高かったと言える。ボランティアへの参加条件は、2024年1月1日以前に18歳になっていることと、フランス語または英語を話せることのみ。活動は2024年7月から9月の間に少なくとも10日間すればOK。世界中のどの国の市民でもボランティア活動に携わることができる。

五輪ボランティア、1948年ロンドン大会が初

五輪の運営にボランティアが初めて関わったのは1948年、戦後の初めての五輪となった第14回ロンドン大会とされる。そのルーツを持つロンドンでは2012年の第30回大会時に、「ボランティアであるあなたたちこそが、大会を作るメンバー」という意味を込めてボランティアを「ゲームズ・メーカー」と呼んで話題になった。

近年は開催都市に名乗りをあげる都市が減り、五輪の不人気がささやかれる中、いざ開催が決まるとボランティア希望者がどっと押し寄せるのは意外な傾向である。私自身、パリの街で出会ったボランティアのたくさんの笑顔とおもてなしのおかげで、大会がより印象的なものになったのは間違いない。

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