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パリ五輪は2024年8月11日、競技最終日を迎え、閉会式が開かれる。日本勢は前日の8月10日時点ですでに金メダル18個を獲得し、2004年アテネ大会の16個を上回った。国外で開かれる五輪としては過去最多（2021年東京大会は27個）の金メダルを積み重ねてきた日本勢で、最後の金メダルを狙うのが自転車競技女子オムニアムの梶原悠未（27）だ。3年前の東京五輪で日本女子として自転車トラック種目で初の五輪メダルとなる銀メダルを獲得した彼女が、悲願の頂点を目指すレースに注目する。競技は日本時間の午後6時から、TBS系列、NHK-BSで中継予定だ。
「スーパー高校生」時代に取材
筆者が初めて梶原に会ったのは今から9年前の2015年3月、彼女が筑波大学附属坂戸高校時代だった。高校で全くの未経験から自転車を始め、わずか2か月でインターハイ出場。10か月後の全国選抜大会では出場した3種目全てで優勝して頭角を現した。2015年のジュニアアジア選手権では5冠に輝くなど、当時から将来を嘱望された自転車界の「スーパー高校生」だった。
梶原は中学時代まで競泳で全国レベルの選手だったが、中3で関東大会2位に終わり、全国大会出場を逃したことで水泳部がない高校に進学する。そんな「挫折」が、自転車を始めるきっかけになったというから人生はわからない。
橋本聖子会長「すごくいい筋肉」
彼女が高校生だったころ、2020年東京五輪の自転車競技会場を東京に会場を作るか、既存施設の伊豆ベロドローム（静岡県伊豆市）を使うかで揺れていた。結局、会場建設費をおさえるため、伊豆ベロドロームを改修、増設することで落ち着くことになるのだが、その伊豆の施設で開かれていた大会を視察した日本自転車競技連盟の橋本聖子会長に筆者が同行した時、会場にいたのが当時18歳の梶原だった。
冬季競技のスピードスケートから自転車に転向し、1988年ソウル、1992年バルセロナ、1996年アトランタの五輪3大会に出場した橋本会長が、初対面だった梶原の太ももを触り、「すごくいい筋肉をしている。頑張ってね」と話したのを覚えている。155㌢といまも小柄だが、当時から感情豊かに理路整然と語る姿は大人びていて、彼女のクレバーさをすぐに感じ取った。あれから、9年。パリの現地に入っている橋本会長の前で、梶原が金メダルに突き進む。(下に記事が続きます)
複合4種目で競うオムニアム
梶原が出場する「オムニアム」とはどんな種目なのか。「オムニアム」とはラテン語で「全ての(omnium)」の意味。その名前通り、スピード、スタミナ、ポジショニング（位置取り）、駆け引き、などすべての能力が試される「複合種目」だ。以下の4種目を1日でおこない、合計点を競う。2012年ロンドン大会から正式種目となった。
1：スクラッチ（女子10キロ）…集団走で順位を競うシンプルなレース
2：テンポレース…1着通過者にポイントが与えられ、その合計点数で競う。1周先行して後続集団に追いつく(1ラップする)とその選手に20ポイントが加算され、逆に、集団から遅れて周回遅れになると20ポイント減算される。
3：エリミネーション…2周ごとに最下位でラインを通過した選手が1人ずつ脱落していくサバイバルレース
※1～3は1位40点、2位38点、3位36点…21位以下は全選手1点となり、順位に応じてポイントを獲得する。
4：ポイントレース
決まった周回ごとに4番手の選手までにポイントを獲得する。最終周回はポイントが２倍になるため、最後の逆転もある。女子は80周(25キロ）で競う。
梶原悠未（かじはら・ゆうみ）1997年4月10日、埼玉県和光市生まれ。筑波大附属坂戸高、筑波大を経て、筑波大大学院修了。中学までは競泳で全国大会に出場するなど活躍し、高校から自転車競技を始めた。2020年世界選手権で日本女子選手初の金メダル、2021年東京五輪では最終ポイントレースで落車しながら、レースを続けて日本女子選手初の銀メダル獲得。公式サイト
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