パリ五輪1次リーグ初戦で過去に2度五輪(1996年アトランタ、2004年アテネ)金メダルを獲得しているクロアチアと29-30の大接戦を演じたハンドボール男子日本代表(彗星JAPAN)。今回は36年ぶりに自力で出場権をつかんでいるし、強豪ドイツにも…という淡い期待はあっけなく打ち砕かれた。彗星JAPANは2024年7月29日、1次リーグA組第2戦でドイツと対戦し、 26-37 (10-21, 16-16)で敗れた。1次リーグA組で唯一の2連敗。スコア以上に力の差を見せつけられた試合をパリ・サウスアリーナで観ていた。出場した選手たちも、ベンチも、観戦した日本ファンも、そして私自身も。やり場のないフラストレーションを貯めた。
日本、4連続失点から始まる
試合はドイツの4連続得点から始まった。CB安平がゲームをコントロールして、相手陣内に迫るが、日本はドイツディフェンスの圧力に押され、いい体勢でシュートを打たせてもらえない。RW元木のカットインも完全に読まれてシュートコースを阻まれる。簡単にボールを奪われてカウンターを面白いように決められていく。
しかも、ドイツの正RWティム・ホルンケ(SCマクデブルク)は初戦のスウェーデン戦でけがをして不在だった。ドイツは急遽、そのポジションに普段はほぼ先発することのないクリストフ・シュタイナート(エアランゲン)を入れていた。
前半でダブルスコア以上の差
一方的な展開となった前半はダブルスコア以上の10-21。前半の11点差は、日本にとってあまりに重すぎた。
国際ハンドボール連盟(IHF)の公式サイトによると、ドイツはこれまで歴代の五輪で記録した前半の最高得点は「18」だったが、それを3点上回る「21」をマーク。最終的にドイツは37-26で勝利を収めたが、「37得点」もドイツの五輪史上最大得点記録となり、2016年リオデジャネイロ大会準々決勝でカタールに34-22で勝利した時の得点を上回ったという。 日本は不名誉な記録を献上する相手になってしまった。
後半は16-16とスコア上は互角だが、ドイツは前半に好セーブを連発したGKアンドレアス・ウォルフ(THWキール)を下げ、司令塔のCBユリ・クノル(ラインネッカー)も散発的にコートに立つだけで、ほとんどの時間帯で休ませていた。後半のドイツはつまり、完全に「流して」いたのだ。
一方の日本は、クロアチア戦で10得点を挙げたCB安平光佑(RKバルダル)が2得点に留まり、もうひとりのCB藤坂尚輝(日体大)に頼ったが、その藤坂も6得点止まり。逆転の期待は薄かった。(下に記事が続きます)
部井久の家族、福岡から
試合前、パリ南アリーナの入口で、フランスリーグでプレー経験もある日本のLB部井久アダム勇樹(ジークスター東京)の家族と会った。父イルファンさん、母ミヤコさん、姉リダさん、妹ニーナさんが部井久の背番号15のユニホームにお揃いで袖を通し、福岡から応援に駆けつけていた。
母のミヤコさんは「息子は高校生の時に初めてダグル・シグルドソン(前)監督に日本代表に呼ばれて、『ダグル・チルドレン』と呼ばれているんです。だからこそ、1点差で負けた(シグルドソン監督率いる)クロアチア戦は惜しかった。でも、若い力で日本代表は確実に強くなっています。最後まであきらめずに戦ってほしいです」とエールを送っていた。(下に記事が続きます)
次戦は31日スペイン戦
ハンドボール男子1次リーグは12チームが2組に分かれ、各組4位までが準々決勝に進む。東京大会で1勝4敗の11位に終わった日本は、今大会は初のベスト8進出を目標に掲げる。日本の次戦はカルロス・オルテガ監督の母国スペイン(7月31日21時=日本時間)と対戦。さらに、スロベニア(8月2日26時=日本時間)、スウェーデン(8月4日16時=日本時間)と格上欧州勢との負けられない試合が続く。
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