札幌市がかつて大会招致を計画していた2026年冬季五輪は2年後にイタリアにやってきます。2026年2月6日〜22日の17日間に渡って開催されるミラノ・コルティナ・ダンペッツォ冬季五輪です。選手村の建設が進むミラノ市の旧ポルタ・ロマーナ駅エリアを歩きました。選手村は来年2025年夏の完成に向けて建設の真っ最中でした。(協力:エバー航空)
旧貨物ターミナル跡地に約700戸
ミラノ・コルティナ・ダンペッツォ冬季五輪は約500キロ離れたミラノ会場とコルティナ会場の「分散開催」で行なわれます。ミラノ会場の選手村は長らく放置されていたミラノ市北東部の旧鉄道の貨物ターミナル跡地、約7万平方メートルに約700戸の建設が進められていました。
学生の住居不足、高騰が社会問題に
五輪・パラリンピック閉幕後には学生のための施設として再利用される計画となっています。ファッションやデザインの発信地、ミラノでは世界中からビジネス客や観光客が訪れるなか、学生のための住宅が不足し、高騰していることが社会問題化しているそうです。
アパートのオーナーは学生に貸すよりも、民泊として観光客に高い値段で貸す傾向にあるといい、それに不満を持つ学生たちが、大学キャンパス内でテントを張って抗議することがイタリア国内では頻繁に報道されています。
選手村から学生用住宅にリノベーションされる際には、住戸ごとに駐車場は用意せず、その代わりに巨大な駐輪場を整備する計画だといいます。ミラノ市内の道路は平坦で自転車での移動が便利なことから、自家用車の大幅削減を目指し、自転車の利用を促進する狙いがあるそうです。
ミラノ・コルティナ・ダンペッツォ大会が五輪・パラリンピックを通じて目指すものの一つがサステナビリティ(持続可能性)です。プラスチックの使用禁止、食品廃棄物ゼロだけではなく、若者が集い、学び、根付く新たな街づくりへの投資も社会を長期的に循環させていくためには重要でしょう。
今年2024年のパリ五輪に続いて欧州で開かれる2026年ミラノ・コルティナ・ダンペッツォ冬季五輪。ミラノ市の選手村を拠点に各国選手団が交流し、スポーツが平和に貢献すること、放置されてきた地域が再開発され、大会後は学生たちでにぎわうことを願うばかりです。
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イタリアで4度目の五輪
ミラノ・コルティナ・ダンペッツォ冬季五輪はどんな大会なのでしょうか。イタリアで冬季五輪が開催されるのは、1956年コルティナ・ダンペッツォ大会、2006年トリノ大会に続いて3回目です。夏季大会の1960年ローマ五輪を含めると、イタリアが五輪をホストするのは日本と並んで4回目になります。(日本は1964年東京、1972年札幌、1998年長野、2021年東京を開催)。ミラノ会場とコルティナ会場は同じイタリアでも約500キロ離れた「分散開催」で行なわれます。ミラノ・コルティナ・ダンペッツォ大会は複数の都市が名を連ねる五輪としては史上初めての大会です。
ミラノ・コルティナ・ダンペッツォ大会は2019年6月24日、スイス・ローザンヌで開かれたIOC(国際オリンピック委員会)総会で、スウェーデンのストックホルム・オーレとの一騎打ちの投票で決まりました。当初は札幌市も招致に興味を示していましたが、2018年9月に発生した胆振東部地震や低調な世論などの影響で最終的には断念しました。
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