芳山直樹(アースフレンズBM東京・神奈川)捕るべきシュートを捕る

プロ野球のとある打撃コーチの言葉です。「難しい球をどう打つか議論する前に、甘い球を逃さずに打てば、3割は打てるんだよ」。同じことはハンドボールのGKにも言えそうです。捕れないシュートは割り切って、捕れるシュートを確実に捕っていけば、阻止率は安定します。
芳山直樹(アースフレンズBM東京・神奈川)は最下位のチームにいるから数字が上がりませんが、毎試合内容のあるセーブを見せてくれます。地味で小柄でシャイだから、過小評価されがちですが、同業者からの評価の高い優良GKです。地味に見えてしまう理由は「捕れるシュートだけを捕っているからかもしれませんね」と自己分析していました。いい意味で欲を出さずに、等身大のキーピングで、チームを支えます。
宇佐美拓(ゴールデンウルヴス福岡)がサイドシュートを止めまくった日があったので、GK出身の國分晴貴監督に「宇佐美はサイドシュートに強いのですか?」と質問したところ、おもしろい答えが返ってきました。「宇佐美はごく標準的なGK。これと言った強みはないけど、捕れるシュートは確実に捕ってくれる」。捕るべきサイドシュートが続いたから、大当たりしたのでしょう。下位チームのGKはノーマークや強打にさらされるから、捕るべきシュートを捕る人がいてくれると、大崩れしにくくなります。
當野勢十郎(アルバモス大阪高石)は腰の反った構えが特徴的です。銘苅淳監督の要望にしっかり応え、止めるべきシュートを確実に止めて、勝利に貢献します。(下に記事が続きます)
宝田希緒(ブルーサクヤ鹿児島)データ重視

シューターはそれぞれに得意なシュートがあり、大事な場面ほど「思考の癖」が出てきます。性格も含めた傾向が出てくるので、国内で何度も対戦するならデータが大切です。
「データの鬼」と呼ばれているのが宝田希緒(ブルーサクヤ鹿児島)です。2016年の水海道二高(茨城)全国三冠メンバーなので、学生時代から同年代の選手のデータはインプット済み。ならばノーデータの選手で宝田を崩そうと、2025年12月の日本選手権準決勝で香川銀行シラソル香川は、途中からライトウイングに田渕伶奈を入れて追い上げました。しかし宝田も2~3本決められるうちに修正し、最後に田渕を止めてチームを勝たせました。試合のなかでの情報収集、分析にも長けているので、大事な試合で頼りになります。
家田幹太(福井永平寺ブルーサンダー)は古巣のジークスター東京戦には人一倍の闘志を燃やし、しっかりと対策を練って止めまくります。
犀藤菜穂(ハニービー石川)7mスローに強い

フィールドシュートと7mスローは別物で、フィールドシュートを気持ちよく止めている時間帯に7mスローに入ると、リズムが崩れると言うGKもいます。だから7mスローになると、ベンチから新たなGKが出てきます。そこで1本止めれば、流れが大きく変わります。
7mスローに強いのが、ムードメーカーでも紹介した元日本代表の犀藤菜穂(ハニービー石川)。好調時には1試合に4本止めて、流れを根こそぎ持っていきます。高校からハンドボールを始めた遅咲きですが、年々力をつけて、今では「スタートで馬場敦子と遜色なくプレーできる」(須東三友紀GKコーチ談)までになりました。7mスローを止めて、そのままノリノリでゴールを守って大活躍、といったシーンも増えてきました。
大村杏実(飛騨高山ブラックブルズ岐阜)は限られた出場時間で結果を残しています。7mスローでインパクトを残しているので、次はフィールドシュートも止めていきたいところです。
馬場敦子(ハニービー石川)スローイング

GKは最後の砦にして攻撃の起点。速攻で7対6の数的優位を作るためにも、GKのスローイングと判断力が重要になってきます。
大阪体育大学出身のGKはスローイングがよく、そのなかでも馬場敦子(ハニービー石川)は歴代最強と言っていいでしょう。俊敏なリアクションからピンポイントでパスを通して、攻守の切り替えを後押しします。エンプティゴールを阻止する戻りでも、脚力と運動神経のよさを見せてくれます。反応がよすぎて、捕れないシュートまで欲張りすぎる日があるので、そこを須東三友紀GKコーチのように「今のはしゃあない」で割り切れるかがポイントです。
水口璃咲(HC名古屋)はスローイングのいい2番手GK。アップテンポなパス出しで、試合の流れを変えてくれます。出場時間が伸びれば、エンプティゴールでリーグ初得点も時間の問題です。
中村光(レッドトルネード佐賀)は身体能力が高く、速攻を好むGK。走り勝ちたいレットルのチームカラーにぴったりです。
大道滉平(ゴールデンウルヴス福岡)は、40mをライナーで放れる爆肩の持ち主。勢いの落ちないエンプティゴールをもっと見たいです。(下に記事が続きます)
碓井鈴果(三重バイオレットアイリス)速攻の嗅覚

速攻のパス出しのセンスがあるGKは、相手の速攻を消す動きも心得ています。ゴールエリアラインから飛び出して牽制を入れ、時にはボールを奪ったりもします。
碓井鈴果(三重バイオレットアイリス)は速攻でのライナーパスだけでなく、相手の速攻を察知して飛び出す動きが優れています。キーピングは比較的「静」のタイプなのですが、速攻を消す動きになると急にスイッチが入って「動」になります。一試合に一度は「ここまで飛び出すか!」といったアクティブなプレーが見られます。
速攻のパスカットで言えば、男子だと平尾克己(ブレイヴキングス刈谷)が独特の嗅覚をもっています。筑波大学時代にセンターライン付近まで飛び出したのは、今や伝説になっています。出場時間が増えたら、リーグHでも大胆な飛び出しが見られるでしょう。
楢山修平(安芸高田わくながハンドボールクラブ)サイズを生かしたキーピング

一般的に外国人監督は、190㎝以上の大型GKを好みます。ハイコーナー(ゴール上の両隅)に手が届くのが、いいGKの第一条件だからです。そのうえで爆発的な動きが求められます。
194㎝の楢山修平(安芸高田わくながハンドボールクラブ)は、今季29歳にして大ブレイク。印象に残る好セーブを見せています。稲毛隆人監督は「昔の楢山は、大きいのに小さく見えていた。今は大きく見える」と言っていました。楢山自身は「位置取りの無駄を省いたからですかね。いちいち球回しに合わせるのではなく、海外のGKみたいに途中までは動きを最小限にして、シュートに対して合わせるようにしたら、位置取りだけで捕れるシュートが増えました」と言っています。大きな体を無駄なく使って、シュートを枠外に追いやります。
同じ安芸高田わくながでは、今井寛人もサイズがあって将来有望。スローイングに課題があるとはいえ、将来は日本代表クラスになれるポテンシャルの持ち主です。もっと今井のプレータイムを作ってもいいと思うのですが。
成田翔樹(豊田合成ブルーファルコン名古屋)は、中村匠の次を担ってほしい大型GK。日本代表合宿にも呼ばれて、トニー・ジェローナ監督からも期待されています。
フレヤ・ハマー(アランマーレ富山)は186㎝で、手足の長さはワールドクラス。阻止率.424(2026年3月8日現在)はリーグトップです。ただ止めるだけでなく、ハーフタイムに相手の特徴を踏まえた止め方をチームメートに伝えるなど、「チームGK」で勝つ意識の高い選手。笠野未奈とのGKコンビは、世界で戦えるスケール感があります。
泉幸歩(大阪ラヴィッツ)はここ2年ほどで成長し、大きな体に見合った活躍ができるようになってきました。阻止率はそこまで高くありませんが、信頼度は上がっています。
林優尊(堺リエゾン)はリエゾンの宝。林が止めて、ライトウイングの江藤辰記が走るのが、リエゾンの必勝パターンです。玉村健次監督は「林のよさを生かすためにも、3枚目DFに大きい選手を入れて『山脈』を作りたい」と、強化のビジョンを語っていました。





![Pen&Sports[ペンスポ]スポーツ特化型メディア](https://sports.pen-and.co.jp/wp-content/uploads/2026/01/スポーツを深くしる手書き_白字.png)



\ 感想をお寄せください /