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【ハンドボール】カメルーンの代役・英国「勇敢な敗者」パリ五輪世界最終予選 | きょう4/12日本と対戦

ハンドボール英国代表
ハンガリー戦の前、国歌斉唱後に掛け声をかけるイギリス代表ⒸIHF
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「ハンドボール女子のIHFパリ五輪世界最終予選に出場予定だったカメルーンが欠場する。代わりに出場するのは英国」。そんな報道が駆け巡ったのは開幕2日前の2024年4月9日のことだった。筆者自身はハンガリーに向かう途中、ウィーンの空港に着いた時にその報道に触れ、「まさか」と驚いた。(取材協力:エバー航空

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「渡航書類そろわない」カメルーン欠場

ハンドボール女子パリ五輪世界最終予選

「渡航に必要な書類がそろわなかった」との理由でカメルーンの欠場が発表されたのは、開幕2日前の4月9日だった。国際ハンドボール連盟(IHF)はまず他のアフリカ諸国にカメルーンの代わりに出場できないかを打診したが、わずか48時間で選手やスタッフをそろえ、ハンガリー行きの移動手段を確保し、五輪最終予選に臨めるチームなどあるはずもないだろう。そんなドタバタの状況のなか、二つ返事でハンガリーに来て戦うことを決めた唯一のチームが英国だった。日本はその英国と、4月12日午後8時半(日本時間13日午前3時半)に戦う。

初戦・ハンガリー戦は11-49大敗

ハンガリー戦で奮闘するイギリス代表ⒸIHF
ハンガリー戦で奮闘するイギリス代表ⒸIHF

IHFから「ワイルドカード」を特別に与えられて、心と体の準備すら整わない状況だったのは容易に想像できた。そんな気の毒な状況で4月11日、英国は地元ハンガリーとの初戦を戦った。

筆者が記者席から観ていた英国チームの選手たちは、ハンガリー代表に比べて明らかに幼く見えた。走るスピード、パスのテンポも遅い。後半は明らかに足が止まり、連続失点を重ねていった。結果は11-49の完敗。それでも英国ゴールを守った短髪のGKオサリバンは最後まで体を投げ出して相手のシュートに食らいついた。

監督「最もクレイジーな48時間だった」

試合後の記者会見で質問に答えるホーキンス・イギリス代表監督
試合後の記者会見で質問に答えるホーキンス・イギリス代表監督(右)=2024年4月11日、撮影:多田千香子

英国女子代表のマーク・ホーキンス監督は、「2日前、わたしたちがハンガリーでの五輪最終予選をプレーできることになると聞いた時は信じられない気持ちだった。人生で最もクレイジーな48時間だった。スタッフから選手まで全員がその話を聞いてから1時間以内にここに来ると決断し、出場を宣言したのですから。みんな突然招集されて、急きょ空港に到着し、ここに来るチャンスをつかんだのです」と振り返った。

平均年齢21.2歳 最終予選12チーム中最少

懸命にプレーするイギリス代表・デビスⒸIHF

英国はハンドボール強豪国とはほど遠い。経験も少ない。五輪に出場したのは開催国枠で出場した2012年ロンドン五輪のみ。その時もぶっちぎりの最下位だった。世界選手権にも出たことがない。今回の五輪世界最終予選でもハンガリー、スペイン、ドイツの3会場に出場している12チームのなかで平均年齢21.2歳は最も若い。選手のうち2000年以前に生まれたのはキャプテンのマルタ・ミロスワワ・トゥバッカの1人だけで、4人がまだ10代だ。

世界で戦えば、目に留まる

それでもホーキンス監督は「我々にとってここにいること自体が大きな仕事なのです。2012年のロンドン五輪以来、私たちは基礎から始め、持続可能な方法でチーム作りを進めてきました。英国選手の多くは学校でプレーする草の根の競技会を経験してきて、今、目の前に世界と戦うチャンスがきたのです」と試合後の記者会見で強調した。

「英国では非常に多くのスポーツと競争しなければならない。フットボールが王者であり、ラグビーやクリケットなど他のスポーツも非常に人気がある。しかし、私たちが世界で戦い、ハンドボールを露出することができれば、このように自分たちを前面に押し出し、母国のスポーツを大きく後押しすることができます」とホーキンス監督は「ワイルドカード」出場を受け入れた理由を説明した。

国際ハンドボール連盟(IHF)の公式サイトは英国チームのことを「Ultimate Underdog(究極の弱者)」との見出しで伝えた。「当然のことながら英国は、続く日本戦でもハンガリー戦でも大敗するだろう」とドライに予想した。しかし、カメルーンの欠場で日本を含めた対戦国が「不戦勝」となりかねなかった試合に、勇敢に参加することを決めた英国へのリスペクトも忘れなかった。「英国は急きょ、ハンガリーに集まり、48時間で出場にこぎつけたのだ。これは美しい旅の始まりにすぎない」と結んでいる。

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