【ハンドボール】日本女子は黒星発進、スウェーデンに28-35 | パリ五輪最終予選

ハンドボール女子のIHFパリ五輪世界最終予選は2024年4月11日（日本時間12日未明）、ハンガリーのデブレツェンなどで開幕し、48年ぶりの五輪自力出場を目指す日本（おりひめジャパン）はトーナメント1（日本、スウェーデン、英国、ハンガリー）の初戦で2021年東京五輪4位のスウェーデンに28-35で敗れ、黒星発進となった。観客は1643人。この試合に先立ち行なわれた試合ではハンガリーが英国に49－11で圧勝した。日本は翌12日（日本時間13日未明）に英国と、中1日の休養日をはさんだ14日（日本時間15日未明）に地元ハンガリーと対戦する。上位2位までがパリ五輪出場権を獲得する。(取材協力：エバー航空)

前半、互角の展開から５連続失点

試合開始15分までは互角の展開だった。キャプテン相澤のミドル、吉野の相手GKの頭越しのループ、石川の速攻など、多彩な攻撃で格上のスウェーデンに9－10と食らいついていた。ただ、そこから流れを手放した。

日本のロングシュートがことごとく、スウェーデンのGKブンセンに阻止された。そこから日本が本来やりたかった速攻を逆に許して連続失点。9-12と3点差をつけられた時点で楠本監督がチームタイムアウトで落ち着かせようとするが、失点は止まらない。9-15と点差が広がった。日本は10分4秒もの間、得点できない時間帯が続いた。

CB相澤「主導権握られ、接戦に持ち込めず」

「前半のあの時間帯に、スウェーデンに主導権を握られてしまったのが痛かった。自分たちが追いつこうとしても、追い越せない状況になってしまった」と主将の相澤。「日本は接戦に持ち込まないと勝てない。停滞した時間帯に、簡単にゴールを決められてしまっているのがまだまだ足りない部分」と悔しがった。

スウェーデンのGKブンセンは44本中16本のシュートを止めた。阻止率は36％だったが、ロングシュートに限れば、16本中11本を止める大当たり。阻止率は68％に跳ね上がった。(下に記事が続きます)

PV笠井「切り替えられなかったが、まだ見込みある」

後半だけでチーム最多タイの4得点を挙げたPV笠井は「前半オフェンスでも、ディフェンスでもミスが重なり、切り替えられなかったことはチーム全体で直さなければならないこと。それでも、自分たちはまだパリ五輪の最終予選で通過できる見込みがある」と前を向く。

楠本監督も「あす（4月12日）のスウェーデン―ハンガリー戦で他力本願ですが、スウェーデンが（実力通りに）ハンガリーに勝てば、（スウェーデンが1位通過となり）2枚目のパリ五輪切符は日本とハンガリーの一騎打ちの争いになる。私たちはここにかけてきたので、勝ちに行くしかない」。チーム関係者によると、勝負となるハンガリー戦に向けて、スウェーデン戦ではあえて繰り出さなかった攻撃のバリエーションもいくつか残しているという。

「明日の英国戦もハンガリー戦に向けて勢いをつけるような試合になれば」と監督は切り替えた。

ハンガリー1部リーグの秋山が人気

スウェーデン戦では日本の登録20人のメンバーのうち、LB菊池杏菜、RB金城ありさ、GK犀藤菜穂、RW秋山なつみの4人が16人のベンチメンバーから外れた。そのうち秋山はハンガリーのハンドボール女子１部リーグのキスヴァルダで2022年からプレーしている「海外組」。ハンガリー国内でも人気選手だ。ハンガリー語も器用に使いこなす。試合のあったデブレツェンは首都ブダペストに次ぐハンガリー第2の都市。キスヴァルダの南約100キロに位置するが、秋山はハンガリーのファンから記念撮影を求められ、サイン攻めに遭っていた。そんな「秋山効果」もあってか、ハンガリー―英国戦から多くのハンガリーファンが居残り、日本に声援を送っていた。