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【サッカー】得点王ムバッペを失ったPSGがこれほどまでに強い理由とは?仏リーグ・アンを無敗で制覇

2024-25 リーグアン PSGが4連覇 キャプション Soccer Football - Ligue 1 - Paris St Germain v Angers - Parc des Princes, Paris, France - April 5, 2025 Paris St Germain coach Luis Enrique celebrates with the players after winning Ligue 1 REUTERS/Gonzalo Fuentes (France) クレジット表記 写真:ロイター/アフロ 日付 2025年4月5日 撮影国 フランス
仏リーグ・アン4連覇を果たしたPSG。選手たちに胴上げされるルイス・エンリケ監督=2025年4月5日、フランス・パルク・デ・プランスで(写真:ロイター/アフロ)
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サッカーのフランス・リーグ・アンは2024-2025シーズン、パリ・サンジェルマンFC(PSG)が7試合を残して、13度目となるリーグ優勝を飾った。リーグ4連覇の達成となり、PSGが優勝したこと自体はさほど驚くべきことではない。

しかし、毎年リーグ戦で30得点近くを決め、昨季まで3連覇したシーズンでいずれもリーグ得点王に輝いたフランス代表FWキリアン・ムバッペが、シーズン前にレアル・マドリード(スペイン)にフリーエージェント(移籍金なし)で移籍した。大幅な戦力ダウンにもかかわらずPSGは、いかにして近年まれにみる独走劇を演じるに至ったのだろうか。様々な角度から検証してみよう。

目次

戦力ダウンのはずが数値は上昇

2025年4月5日にホームにアンジェを迎えた試合に1-0で勝利したPSGは、23勝5分0敗の勝点74として、7試合を残した28節終了時点で2位オリンピック・マルセイユの勝点52に大差をつけて優勝を決めた。

前年2023-2024シーズンは、最終的に南野拓実が所属する2位ASモナコに9ポイント差をつけて勝点76(22勝10分2敗)だった。今季の無敗優勝は凄いことだが、それ以上に引き分けが少なく勝ちきって勝点を上積みしていることが大きい。

今季、優勝を決めた28節終了時点で「80得点・26失点・得失点差+54」。2023-24シーズンは34試合で「81得点・33失点・得失点差+48」だから7試合残っているのに大体の数値ですでに上回っている。

戦力が大幅にダウンしたはずのPSGだったが、データは逆に強くなったことを示唆しているが、これには複数の要素がある。(下に記事が続きます)

眠れる才能の覚醒

まず挙げられるのが眠っていたタレントの覚醒だ。今季はフランス代表ウインガー、ウスマン・デンベレ(27歳)が得点に直結する役割を果たしており、優勝を決めた時点で26試合21得点7アシストを叩き出し、得点ランキングの首位につけた。

デンベレは高い潜在能力がありながら、永遠の思春期のような性格で気分にムラがある天才肌。2023-2024シーズンはリーグ戦26試合に出場し3得点6アシストなのだから、この差は歴然だろう。

2023-2024シーズンに絶対的なエースであるムバッペは、リーグ戦29試合に出場し、27得点7アシストを記録した。ムバッペは真面目な性格で頼りがいがあるため、デンベレは心のどこかで任せていた感があったのだろうが、攻撃の主砲を失い自覚が芽生えた。このように、眠れる獅子の覚醒で、ムバッペの得点力をある程度、補うことができた。

さらには、若手ウインガーのブラッドリー・バルコラ(22歳)が、リーグ優勝決定時点で28試合に出場し13得点10アシストで得点ランキングの4位タイにつけた。前年2023-2024シーズンのリーグ戦は、28試合に出場し4得点7アシストだったが、フランス代表デビューをして迎えた2024-2025シーズンは得点・アシスト両方とも二桁に乗せて、大きく成長した。

この2人の活躍により、ムバッペの抜けた攻撃陣の穴を埋めるだけの数字をつくることができた。負傷などのリスクも考えると一人に依存するよりも、計算ができる複数の選手がいるほうがチーム力は安定する。(下に記事が続きます)

エンリケ監督の2季目でチームの完成度がアップ

優勝した試合で、選手たちに胴上げされて宙を舞ったルイス・エンリケ監督(54)。2023-2024シーズンにPSGの指揮をとりはじめて2季目を迎えた。時間の経過とともに、戦術理解が深まりチームワークが向上した。

エンリケ監督は、細かく流れるようなパスワークでボールポゼッション(ボール支配)をおこなう母国スペインのスタイルを浸透させた。攻撃だけではなく、攻守の切り替えの速さと守備のプレスも際立っている。どんなに強いチームでも、守備が安定しないと無敗は達成できるものではない。

そしてチームの連携を確認しながらも選手をうまくターンオーバー(入れ替え)して、シーズンを通じてチーム全体が疲弊することを防いだ。

PSGには近年、ブラジル代表ネイマール(2017-2023)やアルゼンチン代表リオネル・メッシ(2021-2023)といった世界的なスター選手が所属してきたが、ムバッペ(2017-2024)が抜けたことで超大物が不在のチームになった。

ビッグクラブであり有力選手がいることに違いはないが、個々の能力ではなく集団で戦うチームとして、まとまりが出てきたと言えるだろう。チーム力は、単純に各選手の年俸額を合算するだけでは測れないことを今季のPSGの優勝は示している。(下に記事が続きます)

補強型から育成型クラブへの転換

PSGは2011年にカタール投資庁の子会社カタール・スポーツ・インベストメントが買収し、潤沢な資金がある。

しかし、スーパースターを移籍市場で買い漁るばかりではなく、育成型クラブへ転換を図ろうとしている。

際限なくトップチームに予算を割り当てることができないと定めるUEFA(欧州サッカー連盟)の財務規則により、ある程度は育成に重点が移ってきていたが、エンリケ監督の就任により、若手育成がさらに強調されることになった。エンリケ監督が指導者のキャリアを歩み始めたFCバルセロナは、育成型のクラブだ。

今後、長期的にPSGはどのようなチームに発展していくのだろうか。育成は結実するまでに時間を要し、まだピッチ上で顕著な変化は見られない。しかし、一貫した哲学とチームの結束を重視するバルセロナ流の指揮官がそこにいるだけで、今いる選手たちへ意図は十分に伝わるだろう。

PSG パリ・サンジェルマン・フットボール・クラブ(Paris Saint-Germain Football Club) 1970年にパリFCとスタッド・サンジェルマンが合併して現在の形になった。本拠地はパリ16区にあるサッカー専用スタジアム、パルク・デ・プランス(約48,000人収容)。フランス最高峰リーグ・アン(Ligue 1)で最多13回の優勝を誇る名門クラブ。過去にはブラジル代表ロナウジーニョ、スウェーデン代表ズラタン・イブラヒモヴィッチなどがプレーした。1995-1996シーズンにUEFAカップウィナーズカップを獲得。欧州チャンピオンズリーグの初優勝を目指す。

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