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【ハンドボール】元おりひめジャパンも参加 | 全日本ビーチハンドボール選手権

男子決勝戦で、BBJの山本竜也がアクロバティックなシュートを放つ=2025年10月、愛知県碧南市の碧南緑地ビーチコートで(久保写す、以下すべて)
男子決勝戦で、BBJの山本竜也がアクロバティックなシュートを放つ=2025年10月、愛知県碧南市の碧南緑地ビーチコートで(久保写す、以下すべて)
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第27回全日本ビーチハンドボール選手権大会が2025年10月25、26日、愛知県碧南市の碧南緑地ビーチコートで開催されました。通称「全日本ビーチ」は、年に一度の全国大会です。男子は日本体育大学OBチームのBBJが優勝。女子は日本代表経験者が揃うSWAG(愛知・関東)が3連覇を達成しています。

目次

女子はSWAGが3連覇

女子優勝の瞬間。6mスローを決めた川畑博美(写真右端)に、SWAGのメンバーが駆け寄る
女子優勝の瞬間。6mスローを決めた川畑博美(写真右端)に、SWAGのメンバーが駆け寄る

全日本ビーチ女子の部は、SWAGが3連覇。圧倒的な強さを見せつけました。これまで2連覇はあるものの、2022年には決勝でTethis東京(東京)に敗れ、3連覇を逃しています。今年は「絶対に3連覇する」との目標を掲げ、自費でオランダ遠征に行くなど、例年以上に気合が入っていました。

準決勝から登場したSWAGは、raccolta大阪(大阪)、MIRALUZ(東京)をいずれもセットカウント2-0で寄せつけず、堂々の3連覇でした。スペシャルプレーヤー(GKの代わりに入り、シュートが2点になる選手)の谷川祥子は「どこよりもビーチの練習をしてきましたから」と、自信に満ちた表情でした。谷川自身もオーストラリアに住んで、本場でビーチハンドボールを続けながら、節目の大会には帰国して、チームをまとめてきました。

決勝戦では、DF要員の川畑博美が最後に6mスローを決めて、見事全員得点を達成しています。川畑は「もう、ドキドキしましたよ。私が決めれば、全員得点になるから、最高にプレッシャーがかかりました」と言いながらも、記録達成を喜んでいました。(下に記事が続きます)

審判の笛にもアジャスト 

SWAGの加藤真彩は国内最高のサウスポー。審判の基準に合わせて、プレーを微調整していた
SWAGの加藤真彩は国内最高のサウスポー。審判の基準に合わせて、プレーを微調整していた

オランダ遠征の収穫のひとつに、海外の笛へのアジャストがありました。今回の全日本ビーチでは、リーグHでも笛を吹くシモン和田クラリス審判員がメインで担当しています。デンマークでビーチの経験のあるシモンの笛は国際基準で、ゴールラインではなく、GKに対して両足が揃った状態で一回転しないと「回転不足」で2点になりません。SWAGの左腕エース・加藤真彩は、決勝での1本目のシュートこそ1点扱いになりましたが、即座に修正。2本目以降は2点シュートを確実に決めていました。「シモンさんの基準にアジャストできました。これもオランダ遠征の成果です」と、加藤は落ち着いていました。

2020年のコロナ禍以降、ビーチの日本代表活動は停止しています。世界を見据えて強化してきたSWAGのメンバーが、もう一度国際大会でプレーできる日が来ることを、切実に願うばかりです。(下に記事が続きます)

初出場のMIRALUSが準優勝 

MIRALUZは初出場で準優勝。笑顔とまとまりがあった
MIRALUZは初出場で準優勝。笑顔とまとまりがあった

女子の準優勝は、初出場のMIRALUZ(東京)でした。天理大学で活躍した丸本恵、イズミメイプルレッズでプレーした三田未稀が中心となり、2025年に立ち上げられたチームです。特に誰かがリーダーシップを発揮する感じはないのに、チームには一体感がありました。監督兼任の瀬川萌は「誰か1人が引っ張るのではなく、みんなで作り上げていくのが、ウチの目指しているスタイル。ウチの選手は自立していますから」と、試合中は特に指示を出さずに、選手の好プレーを誰よりも喜んでいました。

三田未稀(元イズミメイプルレッズ)、ビーチに

イズミメイプルレッズの人気選手だった三田未稀。プリンセスは砂の上でも輝きを放った
イズミメイプルレッズの人気選手だった三田未稀。プリンセスは砂の上でも輝きを放った

学生時代からバックプレーヤー一筋だった三田未稀は、MIRALUZではピヴォットに転向。空中でパスをキャッチして、スカイプレーを決めていました。「練習ではあまり決まらないんですけど」と、三田は照れていましたが、本番に強いのはいい選手の証拠です。日本リーグを引退後にビーチを始めたものの、当初はそこまで本腰を入れていませんでした。しかし2024年にTethis東京で気合を入れて練習に取り組み、今年はMIRALZでピヴォットに挑戦し、新境地を開拓しました。メイプルレッズでは「プリンセス・ミタミキ」と呼ばれた人気選手が、やっと本気でビーチハンドに向き合うようになりました。少し時間はかかりましたが「プリンセス・ミタミキ、ビーチに降臨」と言っていいでしょう。(下に記事が続きます)

男子VのBBJ 、藤江恭輔(元大同特殊鋼)が大活躍

大同特殊鋼のセンターだった藤江恭輔は、2年目でビーチに順応。キレキレの1対1で、BBJの得点機を演出した
大同特殊鋼のセンターだった藤江恭輔は、2年目でビーチに順応。キレキレの1対1で、BBJの得点機を演出した

男子は日本体育大学のOBチーム・BBJ(神奈川)が2年ぶりに王座に返り咲きました。大学時代からビーチハンドを経験している面々に、2024年から元大同特殊鋼の藤江恭輔が加わっています。日体大出身の藤江ですが、ビーチは未経験。引退後に初めて出場した昨年は「ビーチはビーチで、奥が深い競技ですね」と言っていました。それから1年。しっかりと練習を積んできた成果が、試合にも表れていました。

現役時代同様、砂の上でも、藤江は鋭いカットインを見せつけます。「雨で砂が固まっていたのがよかったかな」と藤江は言いますが、鋭い切り返しは大同時代と変わりません。さらにはカットインでDFを凹ませてから、小川豪嗣とのクロスでミドルシュートを打たせていました。1対1が切れる司令塔の定番とも言えるプレーです。藤江は「気持ちよかったですね」と満足そうでした。後輩の「ヤマタツ」こと山本竜也は「藤江さんはこちらの要望をすぐに理解して、コート上で表現してくれる。ハンドボールIQが違います」と、先輩のプレーに驚いていました。

久保侑生GKコーチ(大同フェニックス東海)がプレー

前に詰めながら、ループシュートを叩き落とす。BBJの久保侑生(大同フェニックス東海GKコーチ)が大会を盛り上げた
前に詰めながら、ループシュートを叩き落とす。BBJの久保侑生(大同フェニックス東海GKコーチ)が大会を盛り上げた

さらに2025年から、大同フェニックス東海の久保侑生GKコーチがBBJに参戦しました。筑波大学出身の久保が、なぜ日体大のBBJに入ったのでしょうか。これまでも久保は、子守をしながら配偶者(旧姓・塩田紗代、元北國銀行)のビーチでのプレーを観戦していました。その間もBBJの松永健監督から「いつになったら試合に出るの?」と誘われていたそうです。今年はリーグHの中断期間に全日本ビーチがあったこともあり、BBJでビーチハンド初挑戦となりました。

久々の実戦復帰とは言いながら、久保の存在感は圧倒的でした。ノーマークに強く、ダイナミックに前に詰める姿は、現役時代そのまま。前に詰めてきた久保をかわそうと、相手がループシュートを打ってきたら、長い腕でボールを叩き落とします。「これは僕の得意技のひとつ」と、久保は笑顔を見せていました。あまりにもシュートを止めるので、決勝の対戦相手の熱砂(東京)からは「シュートを決めたら、お前もリーグHレベル」との声が出るほど。それでも久保は「僕が前に詰めてくるのがわかって、決勝の後半は対応されました。次の手を考えないと」と反省していました。(下に記事が続きます)

永田しおり・池原綾香ら、元おりひめジャパンも

デンマークでも活躍した池原綾香(元三重バイオレットアイリスほか)は、今年もCharlie’sでビーチハンドを楽しんだ
デンマークでも活躍した池原綾香(元三重バイオレットアイリスほか)は、今年もCharlie’sでビーチハンドを楽しんだ

三田や藤江、久保の他にも、近年は全日本ビーチに参戦するリーグH経験者が増えてきました。熊本ビューストピンディーズの永田しおりGM代行兼テクニカルコーチは、リーグ戦中も体を動かし「全日本ビーチに備えています」と言っていました。Charlie’s(神奈川)に加入して3年目で、年々ビーチのプレーが上達しています。日体大OGが主体のCharlie’s(神奈川)には、池原綾香(元三重バイオレットアイリスほか)もいました。日本人初のヨーロッパチャンピオンズリーグ出場者の池原も、砂の上では勝手が違うようですが、美しいシュートフォームは健在でした。

男子では大橋隆之(元豊田合成)がすっかりビーチの人になり、今年はレッドイーグルス(愛知)という新しいチームを立ち上げ、参戦しています。「松井佑誓、嶋村尚人と柱になる若手がいるので、これからは若手の育成に力を入れていきます」と、次世代を育てようとがんばっています。

高校生からリーグH経験者まで、多くの人たちが触れ合えるのが、ビーチハンドボールの魅力です。キャリアや年齢は違っても、砂の上ではみんな仲間。勝ち負けも大事ですが、それ以上に大切なのは「ビーチハンドの仲間を増やす」気持ちです。

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