4人制車いすハンドボールの全国大会「第4回Knockü Cup(以下ノッキューカップ)」が2026年7月18日、東京・新宿コズミックスポーツセンターで開催されました。今回は大会アンバサダーを務めた佐藤美月をはじめとするリーグH女子・アランマーレ富山の5選手が参加。トップリーグからデフやビーチなどの多彩なプレイヤーが、車いすハンドボールを楽しみました。
アランマーレから5人

4人制車いすハンドボールの全国大会「ノッキューカップ」は年々広がりを見せています。佐藤美月(アランマーレ富山)は高精度のサイドシュートを誇る、リーグH女子でも有数のレフトウイングです。車いすハンドボール日本代表のエース・諸岡晋之助(Knockü SC新宿)の声かけで、今回の参加が実現しました。開会の挨拶では「今日この場で、皆様と一緒に車いすハンドボールをすることを、とても楽しみにやって参りました」と話し、参加者の心をつかんでいました。
「2026年1月に金沢であったハニービー石川戦の前座で、車いすハンドボールのエキシビションマッチがあって諸岡さんとお話するようになり、今回この機会をいただきました。私だけでなく1月の試合を見て興味を持ったアランマーレ富山のメンバーも参加しています」
アランマーレ富山からは佐藤のほかにも司令塔の酒井優貴子、ライトウイングの松浦志織、1対1が強い高比良琉南、フィジカルの強い菊地美羽が参加しました。なかなかの豪華メンバーです。競技は日本代表クラスがぶつかり合うチャレンジカップと、初心者が楽しむビギナーズカップに分かれて行われました。初出場のアランマーレ富山はビギナーズカップに参加しました。
酒井優貴子(アランマーレ富山)、パス&ラン

初めての車いすハンドボールにとまどっていましたが、アランマーレは試合のなかでアジャストしていきます。10分1本勝負だった初戦の5分過ぎから、見違えるほど展開がスムーズになりました。プレーメーカーの酒井は、デビュー戦の勝利を笑顔で振り返ります。
「ありがとうございます。初めての試合に勝てて、本当にうれしいです。最初は緊張もあって、みんなの動きが硬かったですが、5分経ったら車いすハンドにも慣れて、ミスも減って、最終的には勝利できたのかな。諸岡さんから『ポイントはオフ・ザ・ボールのパス&ランだ』とアドバイスをもらっていたので、自分でボールを持って動こうとするよりは、みんなでパスをつないで走る意識でやりました。試合の途中で『あっ、見えた!』みたいな瞬間がありました。オフ・ザ・ボールでパスをもらって、ワンツーパスで行けそうだという狙いどころが見えました。車いすの操作はなかなか難しいので、私はパス&ランでがんばります」
オフ・ザ・ボールの動きは、酒井が7人制のハンドボールでも得意にしているプレーです。位置取りで優位に立ちながら、シンプルに崩すプレースタイルが、車いすハンドボールでも効果的でした。
松浦志織(アランマーレ富山)、スペクタクルシュート


4人制の車いすハンドボールには「スペクタクルシュート」と呼ばれる技があります。車いすで360度一回転してからのシュートのことで、2点が入ります。初めて車いすでプレーするだけでも大変なのに、この一回転に挑戦してシュートを決めていたのが、アランマーレの松浦でした。
「ここに来るまでの電車のなかで、車いすハンドボールの動画を見てきました。本当に車いすに乗ったことがなかったので、世界選手権の映像で体の使い方を勉強しました。皆さん体の重心の使い方がうまくて、なるほどなと思いましたね。上肢の力が抜けてしまったら回れないから、体幹を固めるというか、遠心力に負けないような体の使い方を意識しました。ハンドボールとは全然違う要素が詰まっていて、本当におもしろい競技ですね」
普段から横川卓也トレーナーに鍛えられているだけあって、重心の使い方や体幹の固め方などがスムーズに言語化されています。松浦はヒザのケガに泣かされてきた選手なので、車いすでプレーする利点を感じていました。
「ヒザのケガを繰り返してきたから、ハンドボールでは未だに怖さが残っています。でも車いすならヒザのケガが一切怖くないから、とても魅力的に感じました。テーピングをグルグル巻きにしないとプレーできないので、引退後は気軽にハンドボールをできないだろうなと思っていましたけど、こういう競技があると知って世界が広がったというか、こういう第2の道があるのかと思いました」
新しいシーズンはライトウイングのレギュラーでがんばって、数年後に引退したら車いすハンドボールを楽しむ。そんな松浦の姿が見られそうです。
デフ日本代表・大西康陽が体験

今回のノッキューカップには、アランマーレ富山だけでなく、様々な競技からの参加者がいました。2025年11月のデフリンピックでハンドボール日本代表だった大西康陽は、試合とは別の「体験会」に参加しています。
「日本のデフハンドボールがこれから強くなっていくために何が必要かと考えた時に、いろんなところから吸収していきたいなと思いました。今は健聴者のチームに参加したり、今回のように車いすハンドボールに参加したり、これからはビーチハンドボールにも触れてみたいです。ハンドボールの視野を広げて、いろんなところで経験を積んで、デフの日本代表に還元していきたいです。人数が少ないなかで、どうやって攻めていくのかを考えるのが、車いすハンドの楽しみなのかな」
意欲的な大西は、ミニゲームでGKをやりながら、攻撃参加で4対3の数的優位を作り、得点を決めていました。一番動ける選手がGKをやるのが、車いすハンドボールの鉄則です。エンプティゴールのリスクを背負いながらも、タイミングよく攻撃参加できれば、ノーマークを作れます。大西は「GKでずっと止まっているのも、もったいないかなと思って」と照れながらも、会心のノーマークシュートに手応えを感じていました。車いすやビーチで4対3の崩し方がわかれば、デフハンドボール日本代表の得点力もアップするでしょう。
ビーチのミラルスもプレー

車いすハンドボールと同様に4対3を攻めるビーチハンドボールからは、東京で活動しているミラルスが参加しました。メンバーは3つのチームに混ざって、ビギナーズカップでプレーしました。ミラルスのエース・丸本恵は「そっちに行きたいのに、体が言うことをきかない」と嘆いていました。頭ではイメージできているのに、車いすだと思う通り動けないもどかしさがあるようです。これは慣れていくしかありません。





![Pen&Sports[ペンスポ]スポーツ特化型メディア](https://sports.pen-and.co.jp/wp-content/uploads/2026/01/スポーツを深くしる手書き_白字.png)





\ 感想をお寄せください /