ハンドボールのリーグHは2025年6月12日(金)から3日間、東京・代々木第一体育館でプレーオフが行われます。出場する女子5チームの特徴や選手を紹介します。ここまでの戦いを見る限り、今年の女子に絶対的な本命はいません。どこが勝ってもおかしくないし、ひとつのプレーが勝敗を大きく左右しそうです。
| 日時 | チーム1(順位) | チーム2(順位) | ||
|---|---|---|---|---|
| 準々決勝 | 6/12(金) 13:30 | ハニービー石川(4位) | vs | 熊本ビューストピンディーズ(5位) |
| 準決勝① | 6/13(土) 11:00 | ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング ブルーサクヤ鹿児島(2位) | vs | プレステージ・インターナショナル アランマーレ富山(3位) |
| 準決勝② | 6/13(土) 13:30 | 香川銀行GiraSol kagawa(1位) | vs | 準々決勝の勝者 |
| 決勝 | 6/14(日) 13:00 | 準決勝①の勝者 | vs | 準決勝②の勝者 |
1位:香川銀行シラソル香川

2024-25シーズンはプレーオフ初出場。2025-26シーズンはレギュラーシーズン1位と、リーグ加盟から毎年ステップアップしています。亀井好弘監督の2対2をベースにしたOFは再現性が高く、理詰めでプラス1(1人余った状況)を作り出します。センターの岡田彩愛は自らの得点力を餌にしながら、2人目、3人目を上手に絡ませます。レフトバックの松浦未南は日本代表でカットインに磨きがかかり、1対1はワールドクラス。この2人にライトバックの江本ひかる、ピヴォットの藤井愛子が絡み、さらには和田薫、西川千華の両ウイングまでパスが回れば、どこからでも点が取れます。
今季最大の補強は、2026年4月1日から加わった今井郁維GKコーチ。名将・亀井監督の唯一の泣きどころだったGKの運用を補い、下馬場燦、比嘉楓の強力なGK2枚を上手に使い分けています。トーナメントに強く、連戦になるほど当たりまくる下馬場。骨盤前傾の見た目からわかるように、瞬発力に優れた比嘉。2人揃って大当たりすれば、2024年12月の日本選手権初優勝のような展開が生まれるでしょう。
引退者、退団者も多いため、今年のプレーオフがひとつの集大成と言えそうです。3枚目DFでチームを支えるキャプテン立石恋菜を中心に、一体感を持った戦いに期待しましょう。ツキのあるライトウイング田渕伶奈がどこで出てくるかも、ポイントになりそうです。
2位:ブルーサクヤ鹿児島

2025年12月の日本選手権では劇的な試合を勝ち抜いて優勝。2026年1月からは大阪体育大学を率いた名将・楠本繁生監督が就任と、ドラスティックな1年を過ごしてきました。レギュラーシーズンでの楠本監督は「様子見」といった感じで、たまに星を落とすこともありました。プレーオフでは、本来の「勝負師」の姿が見られるでしょうか。日本一勝ち方を知っている楠本監督の存在は、相手にとって脅威です。
楠本監督のハンドボールを熟知しているキャプテン笠井千香子は、本職はピヴォットですが、年明けからセンターでボールを回す機会が増えてきました。速攻でボールを運べて、セットOFでも展開力があり、ラテラルパスでズレを作ります。笠井がセンターになったら、ピヴォットには大型の青麗子が入ります。長いリーチで空中のパスをつかみ取って、なだれ込むように退場つきの7mスローを獲得します。ライトウイングの服部沙紀は高精度のフィニッシャーでありながら、DFの嗅覚も抜群。2025年のプレーオフファイナル(ハニービー石川戦)終盤では、クロスアタックからボールを奪い、相手を戦意喪失させました。
奥山紗彩、高来葵美ら大阪体育大からの新加入選手も交えて、12月の日本選手権とはまた違った布陣での戦いになるかと思われます。でも最後に頼りになるのは、守護神・宝田希緒のスーパーセーブ。データに裏打ちされたセービングで、プレーオフ連覇に導いてくれるはずです。(下に記事が続きます)
3位:アランマーレ富山

2025年9月の開幕当初は、チームが仕上がっていませんでした。シーズン序盤を鍛練期に充てていたのが理由のひとつです。横川卓也トレーナーの「ウチは年明けからですよ」との言葉どおり、2026年のリーグ再開からは「筋トレ集団アランマーレ」らしい力強さが戻りました。
ライトバックに韓国人・兪少延(ユ・ソジョン)が加わったのも、チームにとって大きなプラスです。右利きの檜木祐穂しかいなかったポジションに、左利きで1対1が切れる兪少延が入ったことで、選手起用のバリエーションが広がりました。2026年5月24日の三重バイオレットアイリス戦では、前半に檜木が利き手のずれた位置から3連続得点。終盤に相手がプレスDFを仕掛けてきたら、兪少延がスペースを切り裂き、勝負を決めました。ライトバックが怖いからDFが寄ると、ライトウイングの秋山なつみが高確率で仕留めるなど、レギュラーシーズン最終戦で右側の得点力が最大化されました。
GKではフレア・ハマーが欠場する間に、笠野未奈のキャラが立ってきました。ナマケモノのようにブラブラしながら展開を先読みし、シュート局面では爆発的な動きでシュートを阻止します。ハマーが戻れば、笠野との2枚看板でゲームを支配できるでしょう。4年連続プレーオフに出ていますが、プレーオフではまだ勝ち星はなし。福田丈ヘッドコーチは「1勝すれば、絶対に乗っていける」と、初戦突破に照準を合わせています。
4位:ハニービー石川

ここ2年ほどで主力が8人ほど抜けて、かつての女王も顔ぶれが大きく変わりました。苦しい戦いのなかでも、2年目の河合辰弥ヘッドコーチは「レギュラーシーズンは地力を上げる場。7人攻撃等の奇策を使わず、乗り切りました」と、信念を貫きました。河合ヘッドの我慢強い選手起用もあり、各ポジションがグレードアップしています。
センターでは2年目の小柴夏輝が一本立ちしました。しなやかなカットインに、意表を突くステップシュートなど、小柴の爆発力がないと短期決戦では勝ち上がれません。以前よりも淡白なミスが減り、信頼される司令塔になってきました。2対2の得意な関洋香、球回しが得意な坂下碧も要所で挟みながら、60分間試合を作っていきたいところです。ライトウイングには回り込んで打ち込める安田つぐみが定着しました。2枚目DFができない弱点を、ウイングにすることで「回り込んでロングが打てる」強みに換えています。
3年ぶりのプレーオフ制覇に欠かせないのが、GKを含めたDF力。須東三友紀GKコーチは、馬場敦子、犀藤菜穂のGKコンビに「阻止率5割な」と、厳しいノルマを課します。3枚目DFの佐原奈生子、中村歩夢が3連戦でケガなく戦うことも、勝利への絶対条件。プレーオフに合わせて戻ってくるであろう、キャプテン吉留有紀の存在も欠かせません。絶妙な間合いからのパスカット。相手のセンターをバチンと止めるクロスアタック。勝負の責任を背負い、相手に牙をむく闘争心。強いハニービーの伝統を次代へつなげる選手です。(下に記事が続きます)
5位:熊本ビューストピンディーズ

最後のひと枠にギリギリで滑り込みました。魅力的な選手は多いのですが、人員配置が少々気になります。レフトバックとセンターで主に起用されるのが、キャプテンの須田希世子、細江みづき、米澤綾美、齊藤詩織ですが、4人ともセンタータイプでロングヒッターがいません。シーズン後半は細江をレフトバックにして「打ち屋」の役割を背負わせていましたが、細江本来の「オシャレなポストパス」まで消えていました。プレーオフでは起用法を整理して、個々のよさを最大限に生かせるようにしたいところです。身体能力の高い谷藤悠は、チームでも数少ない点取り屋タイプなので、いいアクセントになるかもしれません。
強みはGKを含めたDF力。かつて「DFのオムロン」と言われた伝統は、今も生きています。3枚目には屈強なグレイ クレア フランシスと腕の長い服部沙也加がいて、2枚目の須田、宮迫愛海、植松花乃には機動力があります。GKには安定感抜群の下屋奏香、爆発的にノーマークを止める前田優、リーグ最年長で研究熱心な田口舞が揃っています。堅牢なDFから、両翼の小泉彩奏、吉野珊珠の速攻につなげるのが勝ちパターン。小泉はこの1年でレフトウイングらしくなり、ライトウイングの吉野は鮮やかなループシュートでGKを翻弄します。
優勝すれば、2014年以来12年ぶり。短期決戦で勝つためには、洪廷昊(ホン・ジョンホ)ヘッドコーチが繰り出す多彩なフォーメーションを、全員で理解してやり切ることです。節目の点数をしっかり取れれば、3連戦を乗り切れるだけの選手層はあります。今季限りでチームを去る、宇野史織の意地にも期待しています。

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