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【ハンドボール】大同フェニックス東海、弱点補強し「変わる覚悟」

芳村優太監督で、大同フェニックス東海は王座奪還を目指す=2025年9月、久保写す(以下同じ)
芳村優太監督で、大同フェニックス東海は王座奪還を目指す=2025年9月、久保写す(以下すべて)
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2025年9月6日に開幕したリーグHから、今回は男子の大同フェニックス東海を紹介します。2000年代後半に鉄壁の5:1DFで黄金期を築いた大同ですが、2015年のプレーオフを最後に、リーグのタイトルから遠ざかっています。今季はU-19日本代表監督の経験もある芳村優太監督のもと、大きく変わろうとしています。 

目次

強みと弱みはっきり

日本体育大学から昨季途中に加入した藤坂尚輝。キレキレの1対1と強烈なブラインドシュートで、チームのファーストオプションになった
日本体育大学から昨季途中に加入した藤坂尚輝。キレキレの1対1と強烈なブラインドシュートで、チームのファーストオプションになった

リーグH元年だった2024~25年シーズンの大同フェニックス東海は、14チーム中5位でした。プレーオフでは4位のレッドトルネード佐賀に勝ったものの、ファイナル進出はなりませんでした。昨季途中から日本代表のセンター・藤坂尚輝が加わり、バックプレーヤー陣の充実ぶりはリーグでも指折りです。その一方で、GK、3枚目DF、ピヴォットと、チームの背骨になるべきポジションがやや手薄でした。だぶつき気味のバックプレーヤーを整理して、足りないところをどう補うのか。補強ポイントは明確でした。(下に記事が続きます)

芳村優太監督は大同初「日本人プロ監督」

U-19日本代表監督を務めたこともある芳村優太監督はアナリスト出身。語学堪能で、世界のトレンドにも精通している
U-19日本代表監督を務めたこともある芳村優太監督はアナリスト出身。語学堪能で、世界のトレンドにも精通している

2025~26年のシーズンに向けて、大同は大きく動きました。アナリスト出身の芳村優太監督を、大同では初の「日本人プロ監督」としてトップに据えました。韓国出身の姜在源(カン・ジェウォン)監督とプロ契約を結んだ以外は、大同はずっと生え抜きの日本人社員を監督にしてきました。その流れを変えて、大同でのプレー経験のない芳村監督を抜擢し、プロ契約を結んだのです。リーグ最多、18度の優勝回数を誇る名門・大同特殊鋼の本気が伝わってきました。

富田恭介コーチ兼アナリスト復帰

現役時代は大型のトップDFだった富田恭介コーチ。ピヴォットとしても一流だった
現役時代は大型のトップDFだった富田恭介コーチ。ピヴォットとしても一流だった

さらには大同特殊鋼、トヨタ車体(現ブレイヴキングス刈谷)で活躍した富田恭介をコーチ兼アナリストで呼び戻しています。富田コーチはDF力のあるピヴォットで、日本代表の中心選手でした。大同の課題であるピヴォットとDFの強化に打ってつけの人材です。ドイツでのコーチ留学から戻って、8月にチームに加わったばかりですが、チームにいい影響を及ぼしています。他にも福井永平寺ブルーサンダーでエースに成長した中田凌河が復帰するなど、大同は出戻りの人材を受け入れています。「生え抜き主義」からの大きな変化です。(下に記事が続きます)

新外国人選手モルゲンソン、ライン際でくさびに

片手を高く挙げて、的を示すモルゲルソン。いいピヴォットの存在が、バックプレーヤーを育てる 
片手を高く挙げて、的を示すモルゲルソン。いいピヴォットの存在が、バックプレーヤーを育てる 

新任の芳村監督は、新たな外国人選手の獲得に自ら動きました。欲しかったのは「3枚目が守れて、ピヴォットでしっかりと位置を取れる選手」。芳村監督の要望にピッタリだったのが、エストニア出身の22歳、アルトゥル・モルゲンソンでした。192㎝の上背があって、若くて勤勉。かつて大同で活躍したデネル・ヤーニマーからの「こういう選手が日本にフィットしそう」という推薦もあり、エストニアの若手有望株が日本に来ることになりました。

2025年9月6日の開幕戦(ゴールデンウルヴス福岡戦)では、モルゲンソンの片手キャッチからのポストシュートが、チームのファーストゴールになりました。ライン際で位置を取ってからのワンハンドキャッチは、昨季までの大同になかった強力な武器です。芳村監督は「アルトゥルがライン際に入ったことで、バックプレーヤーもピヴォットを見るようになって、ポストパスも増えてきました」と、相乗効果を口にしていました。デビュー戦では不運な失格もありましたが、モルゲンソンは「次はもっとよくなるよ」と前向きでした。芳村監督は「アルトゥルは若いけど冷静で、感情的にならない。人柄のよさも含めて(豊田合成ブルーファルコン名古屋の)ディエゴ・マルティンみたいな選手になれる」と期待しています。(下に記事が続きます)

守り勝つ大同の復活へ

堅守速攻で勝ってきたのが大同の伝統。失点が減れば、速攻での楽な得点も増えてくる(写真は可児大輝)
堅守速攻で勝ってきたのが大同の伝統。失点が減れば、速攻での楽な得点も増えてくる(写真は可児大輝)

モルゲンソンはDFでは3枚目に入り、可児大輝や小澤基らとコンビを組みます。中田をトップに出す5:1DFもありますが、メインは6:0DFになります。開幕から2試合はややハイスコア気味とはいえ、個々のDFの意識は高まっています。富田コーチは「DFのシステムは芳村監督がしっかり作ってくれるから、僕は1対1をどう守るかを伝えていきたいですね。ドイツ留学で学んだDFの引き出しがあるので」と話していました。

大同がリーグを制していた時代は、GKを含めた堅い守りが最大の武器でした。2005年に就任して黄金期の基盤を作った姜在源監督の5:1DFは、大同の財産でありよき伝統です。しかしハンドボールが進化した今、それだけでは勝てなくなりました。新しい6:0DFで失点を防ぎ、勝つことができたら、再び大同の時代が来るでしょう。 (下に記事が続きます)

河原脩斗のフットワーク、攻守でカギ

豊富な運動量で勝負する河原脩斗(写真右)。攻守のバランスがいいので、出場時間も長くなる
豊富な運動量で勝負する河原脩斗(写真右)。攻守のバランスがいいので、出場時間も長くなる

OFではセンター藤坂の個の強さだけでなく、いろいろな選手を上手に使い分けながら、全体の得点を伸ばしていきたいところです。ライトバックの一番手になる河原脩斗は「芳村監督のハンドボールはシンプルだから、やることが攻守にはっきりしている」と言います。河原であれば、自慢のフットワーク力を攻守に発揮するのが、勝利に貢献する近道。右の2枚目DFがベンチから遠い側になった時でも、河原が脚力で守ってくれるから、攻守にバランスが整います。 

勝負の節目、キャプテン小澤基

球際に強い小澤基。大事な局面でのワンプレーで、チームメイトを奮い立たせる
球際に強い小澤基。大事な局面でのワンプレーで、チームメイトを奮い立たせる

チーム全体のバランスを整えるのは、キャプテンの小澤です。2枚目と3枚目の両方を守り、OFではレフトバック、センターの2ポジションを担います。藤坂に気持ちよく打たせるための球回しに徹する時間帯もあれば、後半の勝負どころでは自ら点を取りにいきます。さらには開幕戦で見せたルーズボールへの執念が、チームに火をつけます。今季も勝負の節目は小澤に託すことになるでしょう。何度も言いますが、小澤基は勝負の責任を背負える選手です。

伝統超えろ

短期決戦に強い大同の伝統は受け継ぎながら、新しい戦術、新しいスタイルでリーグ制覇を目指していく
短期決戦に強い大同の伝統は受け継ぎながら、新しい戦術、新しいスタイルでリーグ制覇を目指していく

就任1年目の芳村監督は「これまでの形を変えようとは特に言っていません。ただ、チームを作り上げていくうちに、今までと変わってくる可能性はありますね」と話します。2005年度からの10年間で9回プレーオフを制した名門の歴史を大切にしながらも、時代に合った形でチームを強くしていけるか。今季のキャッチフレーズは「ONE CHANGE 変わる覚悟が伝統を超える」です。

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