サッカー日本代表は2025年6月10日、市立吹田サッカースタジアム(大阪)で北中米ワールドカップ・アジア最終予選グループCのインドネシア戦に臨み6-0で勝利した。試合は立ち上がりから終了のホイッスルまでホームの日本が攻め続け、インドネシアをシュート0本、コーナーキック0本に完封。最終予選のラストマッチとして相応しい試合内容だった。
日本は同予選の最終節を終えて7勝2分1敗で勝点23でグループCの1位。晴れて2026年の夏に開催されるW杯本大会に出場する。
前半3発・後半3発の大量6得点
試合は、15分に左サイドからの三戸舜介(スパルタ・ロッテルダム)の右足クロスに走り込んだ鎌田大地(クリスタル・パレス)が頭であわせて、至近距離からの強烈なボールはGKが触れるも、そのままゴールに吸い込まれる。日本が先制(1-0)。
19分には、久保建英(レアル・ソシエダ)が左CKでデザインされたショートコーナーをすると鎌田大地とスイッチして左足クロス。GKの右足に阻まれるも、そのこぼれ球をゴールポスト付近の町野修斗(ホルシュタイン・キール)が落とすと久保が左足裏でコントロールから右足でシュートし追加点(2-0)。
45+6分には、右サイドから久保建英が佐野海舟(1.FSVマインツ05)との連携で中央突破するとゴール中央にパス。走り込んだ鎌田大地がドリブルから右足シュートするとゴール左に決まる(3-0)。
55分に中村敬斗(スタッド・ランス)が、細かいパスの連携で左サイドを突破すると中央に向かってドリブルで前進して左サイドに散らす。そのボールを町野修斗がクロスし、森下龍矢(エクストラクラサ・レギア・ワルシャワ)が右足でニアサイドにきっちりと決める(4-0)。
58分には、高井幸大(川崎フロンターレ)の縦パスを受けた佐野海舟が前進して前線に入れたボールを町野修斗が落とす。そして久保の左足ループパスを町野修斗が左すねに当てて得点(5-0)。
80分には、俵積田晃太(FC東京)が左サイドでボールを受けるとドリブル突破からクロス。ゴール中央で中村敬斗が左足でシュートし相手選手がブロックしたこぼれ球を最後は細谷真大(柏レイソル)が右足インサイドで枠左上に狙いすまして決める(6-0)。
日本が前半3発・後半3発の大量得点を決めて完全勝利を収めた。(下に記事が続きます)
佐藤龍之介(岡山)、W杯最終予選の史上最年少出場
今回初招集された佐藤龍之介(ファジアーノ岡山)が69分に久保建英と交代で途中出場し右ウイングバックとしてプレー。18歳237日での出場は、ワールドカップ最終予選の史上最年少記録で、国際Aマッチでは歴代4番目だ。
久保建英は歴代2番目の若さで国際Aマッチのデビューをしており、新旧の若手スターが交代するシーンは印象的だった。
久保が初のキャプテンとして若手をリード
森保一監督は久保建英(24歳)に初めてキャプテンマークを委ねる判断をした。本来の主将である32歳のベテラン遠藤航(リヴァプール)と揃い踏み。未来の日本代表を育てる意思が明確で、多くの若手選手がW杯予選を経験できたことは、今後につながる大きな収穫だった。
この試合で久保は1得点2アシストと大活躍。2得点した鎌田大地とは初の同時出場となった。この常連組のコンビネーションから多くのチャンスが生まれた。
佐野兄弟が初共演
前節オーストラリア戦に続き、佐野海舟は先発出場した。そして実弟の佐野航大(NECナイメヘン)が61分に途中出場し、兄弟の初共演を果たした。佐野航大にとっては代表デビュー戦でもあり、心強かったことだろう。森保監督は実に粋な演出をした。
日本代表の兄弟同時出場は、2006年8月のアジア杯予選イエメン戦で佐藤勇人と佐藤寿人がプレーして以来19年ぶり。ワールドカップ予選では、1993年10月に三浦泰年と三浦知良が同時出場して以来となった。
佐野海舟は、あらゆるところに顔を出して有効な攻撃を構築。ドイツでの活躍そのままに、日本代表でも即戦力であることを示した。65分には、ペナルティエリア付近で縦パスを受けると反転から強烈な右足ミドルシュートもわずかに枠を外れ、天を仰いで悔しがった。
すると、弟の佐野航大が兄に呼応するように見せ場をつくる。66分に久保建英からスルーパスを受けると、左サイドでフェイントをして相手を外しクロス。GKが弾いたボールに久保が詰め再びGKが弾くと、佐野航大が中央にボールを供給。
一連の流れで67分には、右サイドを突破した森下龍矢のクロスに佐野航大が中央でダイビングヘッドもGKが足に当ててセーブ。
この数分間、佐野兄弟が大きな見せ場を作った。2人は24歳と21歳で、今後もサムライブルーで共に活動することになるだろう。(下に記事が続きます)
鈴木淳之介(湘南)が日本の最終兵器に
この試合でデビューした鈴木淳之介(湘南ベルマーレ)は、先発フル出場。11分に左サイド後方から左足クロスを上げると町野修斗の頭にピンポイントで合わせた。ヘディングは、クロスバーの上に外れたが先制点かという場面だった。
180cmはセンターバックとしては、そこまで長身ではないが86分のヘディングでのクリアの打点は高く、空中でのボディバランスも良かった。中盤からコンバートした選手ながら、空中戦のセンスも高いことを示した。
一番の強みである最終ラインでのビルドアップや自らドリブルで前進して相手を剥がすプレーが随所で冴え渡った。ポリバレントな守備の選手として日本代表の貴重なオプションになることを証明した。
21歳と若く、あと1年でさらに成長することだろう。ゲームプランによっては、試合を決定づける働きをすることが期待できる。(下に記事が続きます)
日本が攻め倒し、インドネシアはシュート0本・CK0本
大量リードをしても、楽にボールを保持して無難に試合を終わらせるのではなく、果敢に得点を取りに行った姿勢は評価できる。チームが勝つのも重要だが、各選手が生き残りをかけて必死にアピールした結果だ。
インドネシア代表のパトリック・クライファート監督は、日本のあまりの強さに完敗を認めざるをえなかった。
[北中米ワールドカップ・アジア最終予選データ(2025年6月10日)]
日本:インドネシア
- [スコア]6-0
- [ボールポゼッション]71%:29%
- [シュート数]21本:0本
- [枠内シュート数]11本:0本
- [コーナーキック数]8本:0本
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