バレーボール男子イタリア1部リーグ・セリエAは2025年4月20日、3戦先勝方式のプレーオフ(PO)準決勝第4戦が行われ、リーグ連覇がかかる石川祐希が所属するペルージャ(レギュラーシーズン2位)は敵地のユーロスオーレ・フォーラムでチビタノーヴァ(同3位)に0-3(25-23/25-21/25-20)のストレート負けを喫した。この結果、ペルージャは2連勝して決勝進出に王手をかけながら、その後連敗して通算2勝2敗に追いつかれた。決勝進出チームは4月24日の準決勝第5戦で決まる。
ペルージャが今季1セットも奪うことなく敗れたのは、2024年9月からの公式戦45試合目で初めて。スーペルレガで連敗するのは2025年1月12日と19日にトレンティーノとチビタノーヴァに敗れて以来、今季2度目だった。空席が目立った試合はイースター・サンデーの日中に行われたことも影響して、観客は4月12日に同会場であった準決勝第2戦よりも1,600人以上少ない2,675人だった。この試合のMVPは、チビタノーヴァの守備で抜群のパフォーマンスを見せた22歳リベロ、フランチェスコ・ビソットが獲得した。
石川は8得点、返球処理に迷い失点

ベンチスタートとなった石川祐希は途中出場の限られた出場機会で8得点(アタック決定率50%)。返球率69%(A+Bパス)をマークしたレセプションや献身的なディグでチームを救う場面があった一方で、要所でアタックミス3本。サーブミス2本。自陣エンドライン際の返球処理をちゅうちょして失点につながる場面もあり、プレーに安定感を欠いた。
準決勝第5戦はペルージャのホーム、パラ・バルトンで4月24日(木)20時半=日本時間4月25日(金)3時半試合開始で行われ、勝者が中2日の4月27日(日)から始まるPO決勝(アウェー)ですでに決勝進出を決めているトレンティーノと対戦する。

今季のワーストゲーム
今季のペルージャが見せたワーストゲームだった。勝てば決勝進出が決まる大一番でペルージャは最悪の試合をした。ストレートの完敗は今季45試合目で初めて。チーム全体のミスで31点をチビタノーヴァに与え、そのうちとりわけサーブミスで21失点と自滅してしまうのだから、流れを手放して当然だ。
最大3点をリードしていた第3セットも、ペルージャがひざをがっくりと折るような「敗色濃厚」を決定づけるプレーがあった。そのプレーに、石川が絡んでしまった。
それは第3セット、ペルージャが16-16に追いつかれた場面。ベンタラのバックアタックを処理した相手のディグが、そのままダイレクトでペルージャコートのエンドライン付近に跳ね返ってきた。
その時だ。山なりのボールをオーバーパスで処理する体勢を取りかけた石川が寸前で判断を変えた。背中から倒れこみながらアウトと判断して見送ったのだ。「インかアウトか」のビデオ判定で試合は中断。リプレー映像ではボールが石川の伸びた髪の毛をかすめてコートに落ちていた。
石川に透けて見える迷い
これまで見たことがない、躊躇や迷いが透けて見える中途半端なプレーだった。ペルージャはすかさずタイムアウト。仕切り直そうとするが、石川はその後にスパイクを2本立て続けにミスして、20-23でベンチへ下がる。ペルージャの苦渋のベンチワークにつけ込む格好で、チビタノーヴァはニコロフの5連続得点などで試合を決めた。
石川はこの日、返球率69%(A+Bパス)をマークしたレセプションや身を投げ出してのディグで見せ場はあったが、ミスによる失点も先発出場のベンタラと並ぶ「6」と安定しなかった。一長一短の「短」が悪目立ちした、そんな試合だったと言わざるをえない。
世界一のプレーヤーを目指して自らが選択した王者ペルージャでは、限られた出場機会で「満額回答」が求められる難しい立場だ。石川の試練は続くが、その先にきっと栄光の頂がある。
アンジェロ・ロレンツェッティ監督(ペルージャ)「今日の試合について考えなければならない。私たちはベストを尽くせなかったし、特にサーブが不十分だった。サーブが入らなければ、試合を続けるのは難しい。サーブでブレイクを奪えなければ、それ以外で何もかも勝ち取らなければならない。私たちはそれができなかった」
ジーノ・シルチ会長(ペルージャ)「このチームは、追いつめられた状況でも、良い結果を出せる。必要なのは、自分たちへの自信を取り戻すこと。このチームは決勝戦を落とすわけにはいかない。彼らは決勝戦に値するからだ」

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