米大リーグ・ドジャースの大谷翔平(30)が2025年3月15日、今季開幕戦に先立ち行われた巨人とのプレシーズンゲーム後、自身のInstagramで長嶋茂雄さん(89)=巨人終身名誉監督=とのツーショット写真を公開してSNS上を駆け巡った。大谷が凱旋ツーランホームランを放った巨人との試合前、東京ドームで撮られた写真だという。
59歳差の球界のスーパースター同士は、警備会社大手セコムのCMで共演中。そんなつながりもあってか、車いすの長嶋さんは大谷との再会を喜び、大きく口を空けて精一杯笑っているように見える。
この写真を見て、自分が新聞記者時代の21年前に書いた1本の記事を思い出していた。
過去に書いた記事の多くは忘れてしまっているが、この長嶋さんにまつわる記事は覚えている。それは朝日新聞のスポーツ面のある小さなコーナーに自分が初めて書いた記事だったからだ。
朝日新聞朝刊のコラム「ハーフタイム」
朝日新聞朝刊スポーツ面の隅っこに「ハーフタイム」という短行コラムがある。以前は毎日必ず載っていたが、ここ十数年は掲載は随時。スポーツにまつわるちょっとしたこぼれ話を3段落18行〜21行でギュッと圧縮して紹介するコーナーで、テーマは基本何でもあり。行数が限られるからこそ、データばかり詰め込み過ぎてもダメで、リズムも大事。サラッと読んでもらうにはそれなりの技術がいる。
「ハーフタイム」の掲載競争率は高く、複数の記者が「書きたい」と志願してきた時は、その時のデスクの判断で最も面白いものが採用される。私が駆け出し記者の時はデスクから「オチをつけて」とよく言われた。記者の署名はないが、私は朝日の記者時代、この「ハーフタイム」のコーナーを書くのが好きだった。(下に記事が続きます)
21年前に脳梗塞、頑張れ「ミスタージャイアンツ」
いまから21年前の2004年3月、当時アテネ五輪の野球日本代表監督に名が挙がっていた長嶋茂雄さんが脳梗塞で倒れた。一時は生命の危機がささやかれたが、懸命なリハビリで一命をとりとめた。大谷は当時9歳だった。その当時に私が書いた記事が以下のものだ。2004年5月10日に配信された記事は今もネット上に残っていた。
巨人の本拠地東京ドームに隣接する東京ドームホテルのバーで、メニューにないあるカクテルの注文が増えている。その名は「ミスター・ジャイアンツ」。
2000年6月の同ホテルの開業前、当時巨人監督の長嶋茂雄さんが来店。その際、バーテンダーが即興で出したオリジナルカクテルが、口コミで広まった。オレンジジュースとフランボワーズリキュールをシェークしてシャンパンで割る。すると、巨人のチームカラー「オレンジ」を奏でる。
「早く元気な姿を」。1杯2,000円のカクテルをカウンターで傾け、「ミスター」の回復を願うファンは、世代を問わないという。
長嶋さんの回復を願って、心を込めて書いた。スポーツそのものの記事ではないし、読売巨人軍の話題をよく朝日新聞のデスクが通してくれたと、も今では思う。相変わらずオチはない、下手くそな記事。でも、自分にとっては大事な記事。長嶋さん、いつまでもお元気で。
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