【バレーボール】ペルージャ開幕10連勝、モンツァに逆転勝ち。石川祐希は途中出場7得点

バレーボール男子のイタリアリーグ1部セリエAは2024年12月1日（日本時間12月2日）、レギュラーラウンド第10節が各地であり、日本の石川祐希（28）が所属するペルージャは敵地で、モンツァにセットカウント3-1(25-27,25-15,25-17,25-20）で逆転勝ちし、開幕からの連勝を10に伸ばした。ペルージャは勝ち点3を積み上げ、単独首位をキープした。モンツァは7敗目（3勝）。

石川は公式戦3試合連続でスターティングメンバーを外れたが、第1セットの21-21の場面でワンポイントで起用されたのち、第4セットの6-8の場面で再びコートに送られ、7得点。そのセットを奪い、チームの勝利に貢献した。この試合のMVPにはブロックポイント4、サービスエース2を含む12得点とスパイカー並みの活躍を見せたセッター、シーモーネ・ジャンネッリが今季リーグ戦で初めて選ばれた。（記事下に順位表）

途中出場で「一発回答」を出した石川

ここが勝負所と見た、ペルージャのロレンツェッティ監督が動いた。

第4セットで2点を追う6－8の場面だ。これ以上リードを許したくないその場面で、そこまでチーム屈指のポイントゲッターとして躍動していたOPベンタラとOHセメニウクに見切りをつけた。2人同時に選手交代する「二枚替え」で送り出されたのは、OPエレーラと石川だ。フルセットには持ち込ませない。ここで流れを変えて、このセットで勝負をつけるんだ。そんな「メッセージ」がその采配には込められていた。

今季こそ12チーム中11位に低迷するモンツァだが、昨シーズンの準優勝チームで地力はある。さらに今季チビタノーヴァから加入した元イタリア代表のベテランOPザイツェフ（36）がチームを引き締め、この日は彼自身も12得点と当たっていた。3,983人の地元の大観衆に後押しされたモンツァにペルージャは苦戦し、第1セットはデュースの末に落としていた。

監督の采配に石川は「一発回答」でこたえた。

コートに入ってすぐ、ザイツェフのライトからのスパイクをブロックで仕留めて、いきなりダメージを与える。笑顔はなく、即座に試合に没入しようとする緊張感を纏っていた。モンツァのエッケリ監督もすかさずタイムアウトを取って応戦するが、流れはそこからペルージャへ傾いた。

17-17から石川のレフトからの2連続スパイクを皮切りに5連続得点で突き放す。

仕上げのマッチポイント。石川の強烈なビッグサーブがエンドライン際のきわどいコースを突く。相手のビデオチャレンジの結果は「イン」の判定。ノータッチエースでとどめを刺したのを会場のリプレイ映像で確かめた石川は、こぶしを握り締めて静かに喜んだ。

役割が細分化、この日は「クローザー」

各国代表クラスがひしめくチーム内のポジション争いが激しく、CEV欧州チャンピオンズリーグにも参戦中のペルージャは、過密日程の長いシーズンを総力戦で乗り切るために、試合によって役割が分業化、細分化される傾向にある。この日の試合はその典型だった。

昨シーズンまで4年在籍したミラノや日本代表ではスターティングメンバーで長時間プレーするのが当たり前の石川だったが、ペルージャでは限られた時間や局面で結果が求められる立場も担う。

野球で言えば、これまで通りの先発投手を任されることもあれば、ワンポイントの中継ぎや、ロングリリーフ、そしてこの日のように「クローザー」を託されることもあるのだ。イタリア挑戦10年目の石川は、そんな新たな世界線で新境地を切り拓いている。

セリエA順位表[2024.12.1現在]

順位	チーム	勝点	試合数	勝	負
1	ペルージャ	28	10	10	0
2	トレンティーノ	27	11	9	2
3	チヴィタノーヴァ	23	11	7	4
4	ピアチェンツァ	20	10	7	3
5	ヴェローナ	18	10	6	4
6	ミラノ	15	10	5	5
7	モデナ	14	10	5	5
8	チステルナ	12	10	4	6
9	パドヴァ	10	11	3	8
10	ターラント	10	10	3	7
11	モンツァ	7	10	3	7
12	グロッタツォリーナ	2	11	0	11