最後は相手のジャンプサーブがネットにかかり、あっけない幕切れだった。バレーボールのVリーグ2部(V2)で首位の北海道イエロースターズは2024年3月16日、函館アリーナでのホームゲームで、トヨタ自動車サンホークス(リーグ8位)にセットカウント3-0(25-11,25-21,25-15)でストレート勝ち。序盤から相手をねじ伏せる展開の完勝で、今季2試合を残して早々とV2初優勝を決めた。 Vリーグ参入5シーズン目。2023年6月に「サフィルヴァ北海道」から改名したばかりの「イエロースターズ」が2024年秋から刷新されるVリーグを前に、最後のV2王者となった。
陳建禎が3連続サービスエース
第1セットから圧巻の攻撃だった。とりわけ効果的だったのは、V1パナソニックやJTでもプレー経験がある元台湾代表主将の陳建禎のサーブだ。4点リードの15-11から力感あふれるジャンプサーブで崩し、トヨタ自動車に決定機を与えない。郡浩也の緩急の効いたレフト攻撃もはまって、陳建禎のサーブで10連続ブレイク。23-11からは陳自身の3連続サービスエースでねじ伏せ、相手の戦意を喪失させた。
陳は試合後、「練習通り自分のいいパフォーマンスが出せた。みんな一緒に優勝に向けて頑張ってきました。最高のチームです!」と雄たけびを上げた。
VOMとなった陳選手には、
— 北海道イエロースターズ【公式】ホームゲームは3/16.17@函館アリーナ (@yellowstars_vb) March 16, 2024
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冠マッチDAYありがとうございました😊#どんぐり #北海道イエロースターズ #イエスタ pic.twitter.com/Vtijtd4WvC
今季は入れ替え戦なし
10チーム3回戦総当たりで行なうレギュラーシーズンは全27試合のうち25試合を消化した。イエロースターズは21勝4敗。勝率は8割4分。今季V2ではほぼ無敵だった。
ただ、リーグを統括するVリーグ機構は、2024年10月から、リーグ改革を前提に新たにライセンスを与えるチームでつくるトップリーグ「SVリーグ」と2部にあたる「新Vリーグ」に再編するため、今季は入れ替え戦が実施されない。北海道イエロースターズがV1の下位チームとどれだけ渡り合えるのか、力試しをする機会がないのは惜しまれる。
さらに気になるのは、2024年秋から始まる来季の北海道イエロースターズの立ち位置だ。チームは将来的なSVリーグ参入を見据えてライセンス申請を2023年11月に済ませているが、来季からSVリーグに即参入することにはならなそうだ。
SVリーグ加盟には5000人収容のアリーナの確保(当初シーズンは3000人)や、売上高6億円(当初3シーズンは4億円)などの極めて高難度な要件があるなか、イエロースターズの場合、アリーナの確保はまだ。売上高も現状ではとうてい要件を満たさない規模感だ。(下に記事が続きます)
高い要件が壁 まずは知名度アップ
北海道に拠点を置くチームにとっては、ホームアンドアウェー方式の遠征費も大きな負担としてのしかかる。チームの独自調査によれば「北海道イエロースターズ」の札幌市内の知名度はまだ20%に満たず、SVリーグ参入前に、知名度アップや愛されるチーム作りが先決という考えがフロントには根強い。
チーム幹部によると、今月中にもVリーグ機構が発表するトップリーグのSVリーグの審査で、北海道イエロースターズは「準加盟」(正会員に順ずる資格)の扱いとなることが現実路線といい、少なくとも来季は2部にあたる「新Vリーグ」でプレーすることになりそうだ。あるチーム幹部は「最後のV2王者になって、次は最初の新Vリーグ王者を目指す。それからSVリーグへという方がストーリー性がある。現時点のイエロースターズはいきなり最高峰のリーグに上がって勝てないチームになり下がるよりも、その下の新Vリーグで優勝争いすることの方を、スポンサーも望んでいる」と話した。
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