ミラノがクラブ史上最高の3位フィニッシュだ。バレーボール男子のイタリア・セリエAは2024年4月27日(日本時間4月28日未明)、3戦先勝方式のプレーオフ3位決定戦の第4戦があり、日本代表エースの石川祐希が所属するミラノは超満員のホームのアリアンツ・クラウドでレギュラーシーズン1位のトレンティーノに3-1(25-21, 18-25, 25-20, 25-21)で快勝した。黒星発進からの3連勝でクラブ史上最高位となる3位に輝いた。2010年創設、2014-15シーズンにセリエAに昇格したミラノは来季、欧州最高峰のチャンピオンズリーグへの出場権を獲得した。全4セットで先発出場した石川はサービスエース2本を含む両チーム断トツの28得点。チーム総得点の4分の1以上をたたき出す驚異的なパフォーマンスでMVP(最優秀選手)に輝き、有終の美を飾った。
生涯ベストゲーム級の活躍
セリエA挑戦9年目。世界最高峰のこのリーグで18歳からひたすら自分を磨いてきた石川にとって間違いなく生涯のベストゲームの一つになるだろう。ミラノでこの2シーズン、中核選手としてチームを4強に導いた今季の3位決定戦。この日、ミラノでのラストゲームに石川は、昨季の悔しさだけでなく、セリエAで積み上げた技術と経験のすべてをぶつけ、出し切った。
セットカウント1-1に追いつかれた第3セット。この勝負どころで石川はここぞとばかりにギアを上げた。11-10の接戦から石川は相手ブロックをよく見て、スパイクをはじくように当てて技ありの1点をもぎ取る。バレーボール専門配信サービス”Volleyball World TV”の目の肥えた実況が「Clever!(賢い)、Very Clever!(とても賢い)」と唸る。
さらに自身のサービスエースで連続得点。実況がまた唸る。「Monster ace! Magnificent!(怪物のようなエースだ!すばらしい!)」。続くポイントは石川が後衛のバックライトから無人のエリアに叩き込んだ。「Wow!……..」。実況も言葉を失う石川の3連続ポイントでミラノが流れを引き寄せた。
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石川「すごく楽しめた」
第3セットを取って楽になったミラノは第4セットもイケイケだった。メルガレホ(キューバ)、レグルス(ベルギー)らがコンスタントに得点を重ね、仕上げは石川だ。
22-20からほぼ助走のない苦しい体勢からバックアタックを決めると、続くポイントも石川のバックアタック。セッターのポッロ(イタリア)はもう石川しか見ていない。そしてマッチポイント。2段トスからスパイクを決めて、3連続得点で勝利を手繰り寄せた。レギュラーシーズンからの連戦で終盤のスパイクはさすがに打点が下がっていたが、石川はそこを冷静な状況判断とスイングの速さ、巧みな緩急でカバーした。
試合後のインタビュー。「チームはとてもよくプレーできたし、自分自身もシーズンの最終戦でとてもいいプレーができた。最後までよく頑張ったし、すごく楽しめた。ありがとう!」と総立ちのミラノファンに感謝した石川。パリ五輪を終えた後の来季はミラノ以外のクラブへの移籍が濃厚な石川。ラテンのノリで喜びを爆発させるわけでもなく、初めて登る山の景色を味わうように喜びを静かにかみしめる姿が石川らしかった。
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