バレーボール男子日本代表・大塚達宣(25)はイタリア・パワーバレーミラノで3季目を迎える。2026年10月17日(現地時間)に開幕するリーグ戦に向けたプレシーズンマッチで、今季初めてミラノの選手としてプレーした大塚に話を聞いた。 イタリア男子スーペルレガで今季、プレーする日本人選手は大塚のみ。ミラノの初戦は10月18日午後6時(日本時間19日午前1時)、アウェイでチステルナと対戦する。
プレカップ、サントリーとの対戦なし

国内外のクラブを招致したプレカップ戦は10月10日-11日、イタリア各地で行われた。そのうち1つで中部マルケ州イェジで開かれた「イェジカップ」に参加したのは強豪チヴィタノーヴァ、ミラノのイタリア2チームの他、日本のサントリーサンバーズ大阪、ギリシャのオリンピアコスの合計4チームだ。ミラノは同カップ準決勝では3-1(25-17、19-25、25-21、25-22) でオリンピアコスを下したものの、決勝ではサントリーを破ったチヴィタノーヴァに1-3(23-25、29-31、21-25、14₋25)に敗れたミラノ。残念ながら、サントリーと対戦することは叶わなかった。
決勝の後のインタビューで、大塚はこう話した。
「イタリアのこの雰囲気の中に日本のチームがいるって不思議な気分でしたけど、知ってる選手もいて日本語で話したりしてほっとするところもありましたし、僕らも含めこういう国際的な大会に出るのはよい経験だと思います。できれば試合で対戦したかったですけど」
イタリア到着後、合宿地へ直行

2026年7-8月のネーションズリーグに始まり、優勝してロス五輪の出場権を獲得したアジア選手権、中心選手としてチームをひっぱり銀メダルを獲得した愛知・名古屋アジア競技大会と、濃厚な代表活動を終えたのはたった1週間前。アジア競技大会終了翌日の10月4日にはもうイタリア行きの飛行機に乗っていた大塚だが、現在のコンディションはどうなのだろうか。
「身体に痛いところとかはないです。ただ長時間フライトで体が固まったりはしてたので、そこから変なケガにつながらないように今まで以上にケアするようにしています」
イタリアに着いたその足で、直接チームが待つ合宿地へ向かった。ミラノの家には一度も帰っていないと言う。
「すぐに合流して本当に良かったです。家から練習に通うのではなく、合宿で1日中みんなと一緒に生活することができたので、チームメートとのコミュニケーションをたくさんとることができましたし、リーグ前にチームの仲が深まったと思います。僕にとってはめちゃくちゃ貴重な1週間でした」
シモンとオルドゥナは「みんなのパパ」

今季のミラノは、7年に渡ってミラノを指揮したロベルト・ピアッツァ監督が退任し、ギジェルモ・ファラスカが監督に就任。さらにエースでキャプテンだったオポジットのレゲルスやセッターのカチョパなども移籍し、チームメンバーも大きく変わった。19歳の選手から40歳前後の選手まで、年齢の幅が広い。
ミラノに今季加入した選手で最も注目されているのは、ロベルランディ・シモンだろう。39歳の大ベテランは、208㎝の強靭な体から打ち込まれる強烈なクイックとサーブ、そして鉄壁のブロックで「世界最強のミドルブロッカー」と称えられるとともに、「優しい巨人」の愛称を持つ人格者でもある。キューバ代表キャプテンを22歳で務めてから17年、この夏の北中米予選ラウンドにも出場し、見事にロス五輪出場の切符をつかみとった。「ブロックのつき方とか、横の選手にも指示をいろいろ出してくれる」と、大塚も早くも彼から多くのことを学んでいると言う。
もう一人のベテラン選手は、イタリアで数多くのクラブを渡り歩いてきた43歳のセッター、サンティアゴ・オルドゥナ。「彼はいい意味で練習にぴりっとしたものを持って来てくれるんです。雰囲気を締めてくれるっていうか」。
シモンもオルドゥナも「2人ともみんなの“パパ”、ですね。みんなを可愛がってくれる」。実際、一番若い選手とは24歳と、親子と言ってもおかしくない年齢差がある。年齢的には中間にいる大塚だが、プレーの中でもチームビルディングの中でも、自分のキャラクターのまま自然にやれていると感じている。
「3年目で慣れるスピードも早くなっていることもありますが、とにかく、この1週間の合宿でチームが本当にまとまりました」と、大会前の合宿の成果を繰り返した。
3兄弟の末っ子シモーネ・ポッロ「タツは最高」

チーム最年少は、この9月に19歳になったばかりのシモーネ・ポッロだ。ポッロという名字を見て、ピンとくるファンも少なくないだろう。長兄のパオロ(25)は2001年から2005年までミラノでプレーし、石川祐希とは3シーズン、大塚とも1シーズンを共にしたセッターだ。次兄のルカ(22)はイタリア代表とモデナでプレーするアウトサイドヒッター。この“ポッロ三兄弟”の末っ子が遂にスーペルレガデビューを果たすこととなり、こちらも大きな注目を集めている。
プレカップ戦とはいえ、スーペルレガのチームでの初戦の感想を尋ねると、「リーグ戦はまだ始まってないですが、ずっとここでプレーしたいと夢見ていたので、とても感激しました。リーグ戦が楽しみだし、今日の試合が良いスタートになったと思います」と目を輝かせた。
「若い分プレッシャーも人一倍かかると思うが、何が起こっても集中力を切らさないように、自分を失わずに楽しむこと」は、先輩プレーヤーの兄2人からの助言だそうだ。
最年長で同じセッターであるオルドゥナやシモンについては、「ベテラン2人とも素晴らしい人物で、できる限りのことを分け与えてくれます。僕はとにかく何事にも耳を傾けたい。僕のような若い選手たちと年長者たちとは良い調和関係ができていると思います」と語る。
大塚との関係を尋ねると、「昨年のチーム(シエナ)では日本人選手が練習に参加していたことがあるんです。日本の人はみなとても感じがいいし、なによりタツは最高ですね。すぐに打ち解けることができました」実際にウォーミングアップの最中や試合の合間など、ボディタッチをしながら談笑する仲睦まじい2人の姿を何度も見ることができた。
大塚、今季はケガなく「ベスト4」

今季の個人の課題とチームの目標を大塚に訊いた。
「実は最初、監督やメンバーが代わって(イタリア語が)聞き取れるかが不安要素でした。ピアッツァの声は2年間聞き続けてきたし、ずっと一緒にやってると耳が慣れてくるんですけど、聞き取りやすい人と聞き取りにくい人がいますよね。でもこの1週間でそれにも慣れることができたのでほっとしています」と、最初に挙げたのは意外にもイタリア語の聞き取りだった。まだイタリア3年目とは忘れてしまうくらい、大塚はイタリア語を流暢に話し、すっかりと溶け込んでしまっているからだ。
同じアウトサイドヒッターには、昨季からチームメートのレチネ(27)、ベルギー代表のロッティ(25)、イキーノ(22)に加え、ブルガリア代表のタタロフ(22)も新加入。大塚も「スタメンで出られるか分からない」と気を引き締める。
チームについては「今年は欧州の大会がなくリーグだけに集中できるので、今まで叶わなかったベスト4に入りたいですね」。ストレッチをしながら、自分自身を頭に思い浮かべるような表情で、ゆっくりと続けた。
「僕にとっては、日本もイタリアも一本道っていうか。アジア選手権でもアジア大会でも得た経験はとても大事なものですし、こっちでもまたいろんな経験するだろうし。いいことも悪いことも含めて全部ひっくるめて自分がどうなっていくか。この先何が起こるか分かりませんが、まずは目の前のこと、1日を大事にして、1試合1試合、練習も生活も…なんやかんや言って僕ももう26になるので。この2年はケガしてきたので、今季はケガなくやりきりたいので、今まで以上にケアをしっかりと」。
最後は「頑張ります!」と大塚らしく笑顔で締めくくった。


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